やっと合流
「エランー!行くゾ、早く起きろっテ!」
「まだ夜中じゃねーか!」
「この時間にネヴェラが寝付くんだヨ!連れを探しに行くんダロ?!」
「行く!」
ガバッと俺は勢いよく飛び起きる。ベッドのそばには布団を剥ぎ取ったキオと呆れたように俺を見るメリアがいた。
「あのね、子どもじゃないんだから抵抗せずにさっさと起きなさいよ」
メリアがはぁ、とため息をつく。まだ月の華12の刻を過ぎたばかりなのだ。いくらなんでも眠すぎる。
これ以上もたもたしているとメリアに雷を落とされそうなので、いそいそと外に出る支度をした。
「少し寒いな」
「森の中ってのもあるだろうナ」
結界から一歩出ると、涼しい風がふっと俺達の横を通り過ぎていった。
月の華12の刻を過ぎたばかりなのでまだ充分暗い。なんの当てもなく2人を探し出すのは難しいと思う。探知魔術とか、そういう系統の魔術があればいいんだけど、と僅かな期待を込めてキオを見ると、キオは肩をすくめた。
「そんな目で見るナ。安心シロ、オレらにとって森は家と同じなんだからナ」
「森が家と同じって規模大きいな!?」
キオが「しっしっし」と笑い、右手の人差し指を立てて一度くるりと手首を回すと、指先に深い緑色の光が灯った。そして「サーシャ」と唱えると光がキオの指を離れ、大きさを増し上空へ弾け散った。
「今のは?」
「探知魔術。無数の光が四方八方に散って対象を見つけてくれル。緑属性は探知魔術に秀でてるんダ」
「へぇ、確かに言われてみればイメージ的に想像はつく。基本植物系なんだな」
「基本は植物。花は若干対象外。花には花の小精霊がいるからナ」
小精霊……?と俺が首を傾げていると、横でメリアが弾んだ声を上げた。
「見て、さっきの光が戻ってきたわ!」
キオが放った光がふよふよと再びキオの元へ集まり、夜の中で深い緑の光が輝く様は幻想的で感嘆の溜息が出るほどだ。光は緑の軌跡を空中に描きながら、まるで「こっちへおいで」とキオと俺達を誘うように淡く点滅を繰り返し森の奥へと飛んでいった。
「行くゾ」
キオに促され光を見失わないように歩を進める。俺はメリアの後ろに立ち、周囲を警戒しながらついて行った。
昼と夜では森の様子が全く違った。しばらくすると昼間通ったらしき道に出たが、見覚えのない花がいくつかある。夜にしか咲かない花なのだろうか。よく目を凝らすとわずかに発光しているようにも見える。
あれも魔木のように魔力を持った植物なのかもしれない。そのことに気を取られて考えながら歩いていると、すぐ目の前を歩いていたメリアにぶつかった。じろっと射抜くような視線を向けられ、ビクッと肩が上下する。
「エラン」
「……はい」
「前方不注意。何か考え事してたでしょ。そういう時のエランは絶対何かやらかすんだから、もう少し気を付けなさい。いい?」
「はい」
段々メリアがメリアの母親に似てきた気がする。メリアの母親も同じようなことを俺に言うのだ。
「これ以上怒る人なんて増えなくていいんだけど……」
「お前いつも怒られてんのカ?しっかりしろヨ、村長の息子ダロ?」
「補佐にいつも怒られてたっぽいお前に言われたくねぇ!あと、俺はいつも怒られてるわけじゃない!」
全力で否定しても「そうか良かったナ」と言われた。なんだ、このあしらわれてる状況は。キオの俺を見る目が年下を見る時のそれと同じになっている。
ーーーキオのが長く生きてるけど精神年齢は同じだろ?!
さらに抗議しようと口を開いたその時、「ひゃあっ?!」と幼い子どもの声がした。
声の発生源を辿ると、道の少し先に洞窟がある事に遅まきながら気付いた。キオの放った光が「ここだよ」と言うように数回瞬いてから空中へ溶けるように消滅し、俺とメリアは顔を見合わせる。
ーーーあの中にミュナとイータが?
その答えにたどり着くやいなや、考えるより先に俺は走り出していた。背後でメリアの戸惑ったような声がしたが風を切る音に掻き消された。
「ミュナ、イータッ!」
「エラン?エランだぁっ!」
洞窟へ飛び込むと、ミュナが勢い良く飛びついてきて、奥の壁には背をもたれかけさせて驚いたように目を見開いて俺を凝視するイータがいた。
お久しぶりです。
数年ぶりですが、ゆっくりちまちま更新していこうと思います…!
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