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元・平民の革命   作者: Eiri
平民のエラン
12/14

キオとジルス 後編

 「ア、起きたカ」


 タイミングが良いとはまさにこのことダ。


 ーーーまぁとりあえズ、目が覚めてよかっタ。


 男がまだぼんやりとした漆黒の瞳をオレに向けル。


 焦点の合わない視線が段々はっきりしてきテ、しっかりとオレを捉えるトーーー


 「うわッ!」


 男は大きくベッドの上で飛びのいタ。オレも人間と会ったのは今回が初めてだシ、オレを見て驚くのは当然かもしれないガ……。  


 「オイオイ、助けた奴に対してとる行動カ?そんなに驚くことないダロ。全ク、人間はみんなそうなのカ?」

 「始めて見たら、人間じゃなくても驚くと思います……」

 「人間以外?魔獣とかカ?」

 「……魔獣?」


 話が噛み合わなイ。おそらく常識が違ウ。男の言動では魔獣が何かも分かっていなさそうダ。人間に出会ったこと事体が初めてのオレには何をどう話せば良いか分からなイ。


 ーーー名前を名乗るくらいはした方がいいカ。


 「オレはキオ。オレ達は緑の一族デ、七精霊の内ノ、緑の精霊の加護を持つ妖精族。デ、オレはその緑の一族の長ダ。お前ハ?」


 男に名乗るよう促すト、さっぱり意味が分からないといった様子だった男が我に返って姿勢を正しタ。


 「俺はジルス。ヘルーニの村の村長です」

 「お前も長なのカ。親しみを覚えるナ。ジルス・ヘルーニって言うのカ」


 オレがそう言うとジルスは困った顔をしタ。梅紫色のサラサラとした髪を右手でわしゃわしゃとかキ、「うーん」と唸っていル。


 「平民に姓は無いんですけど……」

 「ン?何か言ったカ?」

 「まぁ、俺は一応村長だし、ジルス・ヘルーニになる……んですかね?」

 「そうカ。ジルス・ヘルーニ、よろしくナ」


 オレが手を差し出すト、やっとジルスはわずかに笑顔を見せてオレの手をそっと握っタ。





 「ところでジルス。お前どうして森にいたんダ?少なくともここ数百年の間に人間がこの森に入ってきたことは無かったゾ」


 オレはロウが作った豚肉のカウラ焼きをほおばっタ。カウラの味に加えロウ特製のレーモ汁がさらにおいしくさせていル。レーモというのは小さくて黄色の酸っぱい実のことダ。ジルスもオレと同じように口を動かしながら「それはですね」と話し始めタ。


 「ここ最近村の畑が謎の獣の被害に遭ってるので、その獣を調査しに来たんです」

 「お前ひとりでカ?」

 「俺一人で、です」


 カウラ焼きを口に運ぶ手は止めずにジルスは続けル。


 「村のみんなは今ちょうど夏の作物の収穫期で忙しいし、もうすぐ商人が来るので、手工業組も一つでも多くの商品を作ろうと頑張ってますから。暇なのって俺くらいなもんで。……一人で突入した結果、村を襲ったらしき獣に俺が襲われたわけですが」


 「俺って何も考えてないんですよね」と力なくジルスが苦笑しタ。


ーーー大丈夫カ、コイツ。


 オレは同じ長として心配になっタ。顔に出ていたのカ、ロウが給仕をしながら「キオ様も同じですヨ」と言うのデ、負けじと「多少は考えてるゾ、多少ハ!」と反論しておいタ。一応オレだって必死に長をやっているのダ。そんなことはロウが一番分かっているだろうガ。


 「お前と村を襲ったのはネヴェラっていう魔獣ダ。……ジルスは魔獣が何かも分かってなさそうだナ」

 「はい、分かりません!」


 清々しいほどにはっきりと言ったジルスを見ていよいよオレはため息を隠せなイ。


 「一般的なやつくらいは知っておいた方が良いと思うゾ」

 「いやー、俺たち平民には関係ないことだったので知ってる人もいないですし。多分お貴族様なら知ってるんじゃないですか?」

 「デモ、魔獣のことを知っといた方がお前と村のためになるダロ?」


 そう言うとジルスはすぐに口を閉ざしタ。タイミング良くロウが運んできてくれたキーカンの紅茶で乾いた口の中を一度潤してからオレはジルスの目を見据えタ。


 「ジルスが遭遇したのはネヴェラっていう闇の魔獣ダ。日が暮れるころに活動を始メ、森に来た人間に魔法をかけて迷わせて獲物にスル。普段は森の外に出ないんダガ……今年の夏は森の恵が少ないから村にまで出没したんだろウ」

 「それ、どうにかできないんですか?そのネヴェラっていう魔獣のせいで結構困ってるんです」


 ジルスが本当に困りきったように眉を下げタ。


 「じゃあ討伐するカ?」

 「それは嫌です」

 「………ハ?オレには言ってる意味が分からないゾ」


 まさか討伐に反対するとは思わなくて思わずオレは呆けタ。討伐しないんならどうするっていうんダ。するとジルスは当然のようニ、


 「だってそんなの可哀想じゃないですか。ネヴェラ達も生きるためにしていることですから、むやみやたらと退治するのは嫌です」


 ーーーコイツ、面白いナ。


 普通魔獣に対して可哀想なんて言うカ?それも村を襲った害獣ニ。感心するのを通り越して呆れるほどのお人好シ。オレはコイツを気に入ってしまったようだっタ。


 「なら提案ダ。これを受けるかはお前次第」


 ジルスがごくりと唾を飲ム。オレは僅かに身構えたジルスに言っタ。


 「オレ達緑の一族と村同士契約をしないカ?」

やっと、やっと村同士契約にたどり着きました。

次回はその名の通り村同士契約です。

……意外とキオの語尾変換疲れるんですよ(笑)

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