表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Infection mold  作者: 匿名民
1/5

プロローグ

その昔、インファモゥルドは繁栄を期していた。

「インファモゥルドを知っているか」と尋ねれば誰もが皆、口をそろえてこう言った。


「機械の国だよ」と。


そしてある人は言った。


「カビの国だよ」と。



機械とカビ


この二つは全く関係の無いモノのように思えるが、インファモゥルドはその二つを切っても切れぬ関係にした。

その理由はカビが増殖する際に発生するドクラポリウムというエネルギー性の高い気体にある。インファモゥルドはその気体を自国の発展の為に利用した。これは偏にインファモゥルドの科学技術が発達していたおかげであろう。ドクラポリウムエネルギーを使う方法がまだ確立していなかった時代に突如発見された、エネルギーの活用法。

これは世界を揺るがす大発見だった。

インファモゥルドはこのエネルギーを自国だけで取り扱い、やがて他国を侵略して行った。


この世界では侵略された国の者は奴隷になるのが常であったが、エネルギーで溢れたこの国ではもはや奴隷など必要なかった。

エネルギーは掃いて捨てるほどある。それに、足りなくなったらカビを増殖させれば良いだけなのだ。

労働は全てロボットに任せ、国民達は優雅な日々を送っていた。

蒸気機関車も、カビ用に改良され蒸気の変わりに白カビが排出されるようになった。そのため、国民は外出するときには必ずペストマスクを着用する事が当たり前となっていった。


しかし、彼らは忘れていた。

表があれば裏があるように、メリットがあれば必ずデメリットがあり、光が眩いほど影が濃くなるように、メリットが大きければそのぶんデメリットも大きくなるという事を。


それは、唐突に起こったわけではない。何か白い粉のようなものが少しずつ積もっていき、わずか十数年で街は真っ白になった。

その頃からだろうか、奇妙な病が起こり始めたのは。

皮膚が指の先からだんだんと白くなり、全身が真っ白になると同時にパラパラと灰のように崩れていくのだ。

いち早くその病の原因に気づいたのは科学者達だ。

原因、それはカビだった。国じゅうに蔓延したカビは建物だけでは飽き足らず、人間までをも蝕み始めたのだ。


科学者は隔離施設を作りその地域を、第一区域、第二区域、第三区域、危険地帯と分けた。

科学者と一部の金持ちは一番安全な第一区域、その他の者達は第二区域と第三区域へ、そして危険地帯にはロボットを送りエネルギーを採取し続けていたのだった。



これが、もう170年も前の話だ。


現在では第三区域までもが危険地帯とされ人間が生きていけるのは第二区域までとされている。

だが、その第二区域が使い物にならなくなる日も、もう近いであろう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ