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任務中断!新戦地へ!

2031年6月20日 午前4時45分

「Friendly air strike incoming.(味方の空爆が来ます。)」

日米連合航空部隊が上陸前最後の空爆を開始した。国連軍が中国軍に宣戦布告してから1日が経過し、空爆が頻繁に行われるようになった。中国軍もこれを迎撃して追い払ったりしているが今の所制空権はこちらにある。いよいよ2時間後上陸開始だ。艦砲射撃もその前に行われる。これで思う存分戦える。

そう思ったその時だった。

「スネーク2より全体へ!繰り返す!スネーク2より全体へ!上陸作戦は中止!!繰り返す!上陸作戦は中止だ!いますぐ母艦に戻るぞ!」

衝撃だった。作戦中止…?そんなのありえない。ここまで来て中止はないだろう。

一斉に無線が荒れ始めた。

「Are you fuck'n serious!?(おめー正気か!?)」

「What the fuck happen!?(何が起きたんだ!?)」

「スネーク2より全体へ!ロシア軍がアメリカと日本に宣戦を布告した!今にも北海道に上陸開始しそうな状況だ!俺たちはそれを援護に行く!」

「なにィ!?ロシア軍がっ!?」

「FUCK!!(クソッタレ!!)」

俺たちはまさに怒りに満ちていた。3日間の偵察のおかげで上陸作戦は完璧に進む…はずだった。ロシア軍さえいなければ!

すぐに荷物をまとめ、ドライスーツを着て大急ぎで海底に停泊させていた小型潜水艇に乗り込んだ。その後俺たちの母艦である強襲揚陸艦「ブーゲンビル」に横付けし、小型潜水艇ごと引き上げられた俺たちは足早に本作戦責任者のギブズ少佐に詰め寄った。

「どういうことですか!?少佐!」

少佐は大きなため息を一つついて話し始めた。

「ロシア軍が30分ほど前に北海道で大規模な上陸作戦を開始した。俺たちがいない日本はロシア軍に勝てるわけがない。今から日本を援護しに行く。」

それっきり誰も話さなくなってしまった。どうしたものかと思っていたら少佐が再び口を開いた。

「この戦争…とんでもないものになるぞ…」

同感だった。中国とロシア軍をいっぺんに相手にしなければならない。

その後今後の行動を一通り説明された俺たちは各自武器の点検をした。ちなみに俺はこの時まで試験段階のSRSスナイパーライフルを持っていたが、ここから海兵隊の制式狙撃銃であるM40A6に装備を変えることになる。この狙撃銃は軽量かつ折りたたみ式のストックのおかげで取り回しも便利、今まで自作しなければならなかったチークパッドも調節式のが備え付けられており、有効射程も伸びた。

セミオートスナイパーライフルはSSRという小銃として持っているSCAR-Hのスナイパーライフルバージョンとなった。

なぜ俺がこの試験段階の銃を持っていたか、実はこのSCARシリーズ、すでに20年近く制式ライフルの座を保っており、なおかつ近年銃においての技術進歩が著しくすでにこれらより高性能な銃が計画されて来ているのだ。そこでアメリカ政府は今年に入って銃の大規模な入れ替えを検討していた。その候補のうちの一つの検証役が俺に回っていたということだ。

…何はともあれ急遽北海道に向かうことになった俺たち第3海兵遠征軍は航行中の揚陸艦の中にいた。フィリピンへの上陸作戦はアメリカ本土から増援として送られてくる第1海兵遠征軍総勢19,00人に託されることになってアメリカ陸軍も動き出した。ロシア戦線にはアメリカ本土から第3軍が、フィリピン戦線にはこれまたアメリカ本土から第1軍がそれぞれ派遣される予定である。しかもヨーロッパにも基地を持つアメリカと戦争を始めたからにはロシア軍のEUに対する宣戦布告は必須だった。ついに第3次世界大戦が始まろうとしている…誰もがそう思い始めた。



2031年6月24日 午前6:00

日本 北海道東海岸沖

「上陸開始!」

艦内アナウンスとともに上陸が開始された。俺が乗る強襲揚陸艦「ブーゲンビル」に限らず今派遣されている揚陸艦はウェルドックという艦尾に位置するドック型の施設がある。海兵隊はここから揚陸艇やEFV(Expeditionary Fighting Vehicle:水陸両用装甲車)を発進させる。しかもこの「ブーゲンビル」のようなアメリカ級強襲揚陸艦は強力な航空戦力をも搭載できるため戦闘機や戦闘ヘリ、輸送ヘリなど上陸作戦を支援する航空機が搭載されている。さらに我らを護衛している第7艦隊にはミニッツ航空母艦「ロナルド・レーガン」(搭載機数約70機)が配備されており、そこには世界最強の戦闘能力を有する特殊部隊として有名な海軍のSEALs(SEa:海 Air:空 Land:陸)が便乗していると聞いている。一方日本側は多目的支援艦(要するに強襲揚陸艦)「はるな」と輸送艦「くにさき」に水陸機動団一個大隊約800人及び20式水陸両用装甲車27両及び16式機動戦闘車20両が搭乗している。まさに今現在アジアに展開できる日米最強の部隊であった。その他にも護衛として海上自衛隊第3護衛隊群、アメリカ海軍第5空母打撃群、そして第15駆逐隊の合計駆逐艦15隻、巡洋艦3隻、空母2隻の大艦隊が護衛についてくれていた。ちなみに海上自衛隊は護衛艦「ひゅうが」にを改装してVTOL(垂直離着陸)戦闘機であるF-35Bを4機搭載することで軽空母に格上げしていた。


俺とその他23人のリーコン・マリーンと乗り合わせたMV-22Sサイレント・オスプレイのエンジンが動き出した。半分開いた後部ランプからは俺の乗った機体の後ろに飛行甲板に並んだ残り3機のサイレント・オスプレイが見える。俺たち海兵隊の第3偵察大隊96人と海軍のSEALチーム3の8名はすぐに戦力を必要とする陸自に加勢するためにこの機体で一気にF.O.Bがある音威子府という街まで飛ぶ。ちなみに海軍のSEALチーム3はもともと韓国に駐留する部隊のため全部隊員はこちらに来れなかった。おそらくすぐ北の北朝鮮が気になるのだろう。

はじめゆっくりと回っていたプロペラは段々早くなっていき、強風が半分開いたランプから入ってくる。そしてついにフワッという感覚とともに機体は離陸しすぐに左方向に退避する。今に見てろロシア野郎…お前らはアメリカと日本に対してその毛むくじゃらの中指を思いっきり立てた。今から俺たちはそれを噛みちぎりに行く。



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