リーコン1日目
次のターゲットは学校の屋上にいるおそらく本国との通信を指揮している時間だったがすでに私の最初の狙撃で敵の緊張は極限まで上がっており、なかなか頭を出さなかった。
そのまま30分が過ぎ、敵の対狙撃手対策班も出てきた。しかしそれが狙いだった。敵の対狙撃手対策班の士官を排除すれば敵の対狙撃手能力は著しく低下する。距離にして約600m。対狙撃手対策班の隊員は合計3つの双眼鏡がいくつも鉄棒に鈴なりにくっついたようなものを屋上に設置していく。すると出てきた!少尉を表す1つ星の肩章が見える。敵の士官は頭を低くしながら動き回って指令を出している。最終的に横一列に並べられつつある機材のうちの1番右の機材の横に就いてなにやらトランシーバーで何かを話している。今見えるのは頭だけだ。つまりこの場合600mの距離でヘッドショットを狙わなくてはいけない。
ちなみに中国兵が設置している機材は銃声と発火炎を感知する機材だが今の俺には通用しない。銃声を抑えるサイレンサーの先に発火炎を抑えるフラッシュハイダーを取り付けており、中国の時代遅れの対狙撃手機材は無意味に等しかった。敵少尉の頭に照準を合わせ、そしてHMDに表示された情報をもとにダイヤルをいじり、照準を合わせる。深呼吸をして息を止めた。
…ここだ!
そう思ったと同時に引き金を引いた。ロングバレル(長銃身)仕様のSRSA1スナイパーライフルから発射された.338ラプアマグナム弾は少尉の被っていたケブラー製のヘルメットを貫通し頭部に命中した。命中した反動で揺れた士官の頭はそのまま壁の中に消えていった。
ボルトハンドルを操作し次弾装填及び排莢を行い、止めていた息を再開し始める。狙撃はここまで。これ以上やると位置がバレる。それだけは避けたい。俺はその旨を伝えようとマイクをオンにした。
「こちらスネーク5、狙撃はここまでだ。これ以上やると位置がバレる。ただいまから全員航空隊のための目標探索に移れ」
全員が順次了解の返事を送ってきたので俺はSRSA1狙撃銃を退けて腰のコンバットベルトに装備してあった多目的双眼鏡を取り出した。この双眼鏡は同じくコンバットベルトに装備されているGPS装置と繋げて使用する。
その状態だと双眼鏡はスポットモードになりGPSを使用してのスポットが可能になる。
その情報を分隊長であるウォーカー大尉の持つ端末に送るとその端末の地図に目標が入力される。それを日米連合航空部隊が爆撃する。開始から30分、俺たちはSAM(Surface to Air Missile:地対空ミサイル)やAAA(Anti-Aircraft Artillery:高射砲)などの対空砲のスポットを終わり、全体的にもほとんど終わっていた。俺は交代時間になったので寝ていたクーパー2等軍曹を起こしてバッグを枕代わりにして横になった。
やっと1日目が終わった…いよいよ明日が国連軍が中国に宣戦布告する日か。明日から1日が長くなるな…
そう思いながら目をつぶった。