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アジアを守るため、再び日本の土を踏むため、国連軍のため、愛する妻子のため

「ヒット!さすがですね!」

スピンという銃声とともにサイレンサー付きの銃口から発射された7.62㎜×51弾は400メートル先の的を貫いていた。俺はデザート・タクティカルアームズ社製のボルトアクションスナイパーライフルであるSRSA1のボルトハンドルを操作して薬莢を排出(排莢)するとともに次弾をチャンバーに送る。この銃はブルパック式と言ってマガジンが普通のとは違ってトリガーの後ろにある。こうすることによって銃の長さは小銃並みに、射程はそのままにできる。

先月、中国がマレーシア、ベトナム、フィリピンの3国に宣戦布告し侵攻してから世界第3位の軍である中国軍は破竹の進撃を続けて各地で連戦連勝していた。一方、国連では北中露を除いた安全保障理事会で近いうちにアメリカ軍主体の国連軍が編成されることが決定した。つまり俺たちアメリカ海兵隊第3海兵遠征軍は中国軍と戦うことがほぼ確定したのだ。俺たちはそのために日々猛訓練を重ねていた。しかし例の決定から2週間が過ぎ、3週間が過ぎついには1ヶ月が過ぎて俺たちのイライラは積もるばかりであった。みんなが戦いたくてウズウズしていた。

「チクショウ……」

俺はそう呟いて再び引き金を引いた。



3日後2031年6月6日 キャンプ・コートニー

俺たちリーコン・マリーンが偵察大隊本部に集められた。ブリーフィングルームに集められた俺たちは隊ごとに分けられ座らされた。普段ならこんなことはない。いつものブリーフィングではない、そう思った時少佐は我々に封筒を配り始めた。しかもまだ開けぬようにとの命令付きのである。

「よしでは開けてくれ」

その言葉とともに一斉に封筒を開ける音が聞こえ同時に部屋全体が一瞬にして緊張に包まれた。中に入っていたのは本物の作戦司令書だったのだ。司令書によると我ら偵察狙撃部隊はリーコン・マリーンの小隊に1人ずつついてフィリピンにおいての海兵隊の上陸予定地点に隠密行動で上陸、敵情の把握及び士官の狙撃という斥候任務を受けた。

……これが海兵隊武装偵察部隊フォース・リーコンの主任務である。海兵隊が作戦を行うにあたってアメリカ軍のどの部隊よりも早く敵地に入り威力偵察を行う。間違いなくアメリカ軍の中で1番危険な部隊である。しかし今回の作戦は次元が違う。相手は世界第3位の軍事大国である中国。ISILのような素人集団とは勝手が違う。奴らはよく訓練され、装備も近代的である。しかし我らが成功しなければアメリカ軍ならず全国連軍の今後の作戦に支障をきたす。何が何でも成功させなければならない任務である。出発は来週の朝7時。MV-22Fスーパー・オスプレイヘリコプター2機に分乗して辺野古基地を出発し演習中の空母「ロナルド・レーガン」に着陸し2日訓練に付き合った後俺たちはそのまま横須賀海軍基地に向かいそこで原子力潜水艦「インディアナ」に乗り作戦へ出発する。

「インディアナ」には小型潜水艇が搭載されており我々は上陸地点付近までそれで移動する。水中でそれを下りた後泳いで上陸地点まで移動し上陸する。そう、よく映画で見るように俺たちは音もなく少人数で上陸する。

その後は3日間斥候活動を続ける。

俺はその日帰っても作戦のことは話してはいけないことになっていた。何しろ超極秘作戦だ家族にも話してはいけない。

実は俺は現在アメリカ海兵隊偵察狙撃手訓練コースの中のAコースという訓練内で250点中248点というカルロス・ハスコックが出した歴代最高得点をに初めて並び現在海兵隊のの中で最強というポジションにいたためこの作戦にも抜擢されたのだと思うしそれゆえ信頼されたということでもある。


出撃前日、子供達が寝た後俺は妻を呼んで明日から岩国基地へ用事があるから1ヶ月くらいで戻ると言って(もちろんまったくのウソである)肩をポンポンと叩いて寝床に就いた。俺はその夜の夕飯に出た味噌汁の味を忘れることはできないであろう。少し濃かったが具沢山で美味しかった。


出撃当日、沖縄県、辺野古飛行場

日本の道を勝手に装甲車で走るわけにはいかない我々は仕方なくバスに乗って移動することになった。家族との別れをすでに終えていた俺たちの顔にはもうすでに心配そうな色は消えていた。

飛行場到着して俺たち偵察狙撃兵は担当する分隊にそれぞれ分かれていくことになる。配属される分隊はもう決まっており、コードネームで俺がスネーク分隊、マイケルはジャガー分隊、ジェリーはスパイダー分隊、ベンはレーブン(カラスの仲間)分隊に配属されることとなっていた。

スネーク分隊は分隊長ウォルカー大尉(スネーク1)、通信兵ルイス少尉(スネーク2)、偵察兵サンチェス1等軍曹(スネーク3)、偵察兵クーパー2等軍曹(スネーク4)、そして俺(スネーク5)の計5人で構成される。こうして集まった俺たちは迎えに来た2機のMV-22Fスーパー・オスプレイの1番機に乗り込んだ。今さらあれこれ考えても無駄だ。俺は暴走する中国からアジアを守るため、再び生きて日本の土を踏むため、これから上陸する全国連軍のため、そして何より愛する妻子を守るためこの重要かつ危険なミッションに身を投じるのだ。

そう考えると沸々と闘志が湧いてくるのがわかった。何が何でも成功させてみせる!そう決心すると銃を握った手に力が入った。

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