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プロローグ あの日を振り返って

「翔太!お前はそんな怪我くらいでくたばってしまうのか!」

それは母だった。目をカッと開け口を裂けると思うくらい大きく開いて叫んでいる。

ハッとなって目を覚ました。視界が揺らいでいる。相当頭をやられたのか…。いや違う。仰向けに寝ているらしい私の体も揺れている。担架ではこばれているのか…。突然私の視界にマイケル・フォスター1等軍曹の顔が飛び込んできた。

「サー!頑張ってください!あともう少しです!サー!」

私の頬を叩きながら叫んでいる。右半分の顔がヒリヒリする。火傷を負ったような…いや、俺は負ったのかもしれん。俺はなんでここにいる。なぜだ。

そうか!俺は今ベトナムにいる。そして中国軍の総攻撃で爆発に巻き込まれた。そしてどこかを負傷した…。しかし眠い。非常に眠い。やがて私はマイケルの声も聞こえなくなり、再び地の底に落ちるように気を失っていった……。



あの日から30年、私は1日たりともあの日を忘れることはない。9日後覚醒してから焼けただれた右頬と右肩を見たときの衝撃、絶望や不安。私は決して忘れられないだろう。しかもあの時にあと少し位置がずれていたら確実に死んでいただろう。今でもつくづく思う。私は何に生かされてきたのか。死神は私をことごとく避けていった。それどころか私はアメリカ軍史上最多の547人を射殺してしまったのである。

もっともこれが私が開戦1年目からイギリスの連続殺人鬼「ジャック・ザ・リッパー(切り裂きジャック)」をもじって「ジャック・ザ・リーパー(死神ジャック)」と呼ばれたのもこれが原因だったのであるが…

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