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私の意思は?



あれだけあったおかずは、全て空になった。

ほとんど食べたのが、慶太と蓮くんだ。

「ごちそうさま。未だ、私仕事が残ってるから、部屋に戻るわ」

母さんが、席を立ち部屋に戻って行く。

「夏実。片付けは、俺がやろうか?」

慶太が言ってきたが。

「ううん、私がやるから慶太は蓮くんをお願い」

私はそう言うとテーブルの食器類を流しに運んで行く。

食後のコーヒーを用意して、リビングのローテーブルに三つ並べる。そのまま母さんの部屋に行きドアをノックし。

「夏実です。コーヒーを持ってきました」

そう声を掛けるとドアが開き。

「ありがとう、夏実。貰うわね」

微笑を浮かべて、お盆事持っていく母さん。

そのままドアが閉まる。

母さんの嬉しそうな顔、久し振りに見たかも……。

何て思いながら、キッチンに戻って食器を洗い始めた。



リビングでは、男三人の雑談が始まっていた。

何となく耳を傾けていたら。

「学校での夏実って、どんな感じ?」

慶太が、蓮くんに聞いていた。

どうやら、話題は私みたいだ。

中学のときと、余り変わってないと思うけど……。

って言っても、蓮くんとは中学の時も今程関わっていないから、わからないと思うけど……。

「う~ん。クラス違うから何とも言えないけど、相変わらずモテてるかな」

蓮くんの言葉に、手にしていたお皿を滑らせてしまう。

カチャって食器同士が当たる音が鳴る。慌ててお皿を見れば、割れていなかった。手に取った途端滑らしたのがよかったのだろう。

「夏実、大丈夫か?」

父の心配そうな声に。

「うん、大丈夫だよ」

そう返事を返して再び洗い物を再開する。

私がモテてるって、あるはずないんだけどなぁ……。

私の周りに居る娘の方が、可愛いし美人だと思う。

「相変わらずなんだ。その事、夏実は気付いてない感じだな」

慶太の抑揚のない声が、何故か怖い。

「同じ中学出身のヤツで、夏実の事狙ってるヤツが居てさぁ、そいつが堂々と宣言するからあからさまに近付くヤツは居ないが、遠巻きで見て惚れるヤツがチラホラ居るな」

蓮くんの言葉に私自身が信じられなくて、ソワソワしてしまう。

「……で、連は焦って夏実に告白したのか……」

慶太の言葉に顔が熱くなる。

「ちょ…慶太。おじさんの前……」

慌ててる蓮くんの声が聞こえてくる。

「えっ。蓮くん。夏実に告白したのか?それで、夏実は?」

父さんの反応が早く、蓮くんに問い質す。

「"今は未だ応えることは出来ない。ただ、気になる人だ"とは言われました」

蓮くんは、私が言った言葉をそのまま口に出す。

うっ……確かにそう返した。

「そうか……。蓮くんが、夏実を……」

意味深な想いが父さんの口から出ているのがわかる。

「父さんは、知らなかった?夏実に寄ってくる虫けらを蓮と退治してたんだよ俺」

慶太が、自慢げに言う。

「そうだったのか……。だから、夏実の恋心が育たなかったんだな」

父さんの落胆した声と溜め息が聞こえてくる。

どう言うことだろう?

「仕方ないだろう?俺の姫さんは鈍感だからさぁ、急に誰かに拐われるよりも俺が認めた男に委ねたいと思うだろ?」

慶太が拗ねるように言う。

「だからって、やり過ぎは遺憾だろうが…」

父さんが、慶太を諭すように言う。

「だって……母さんが、夏実に男を近付けるなって…言うから……」

もう、本当になんなの?

結局、母さんも慶太も私の気持ちをまるっきり無視してるんじゃない。

ハァ~。

こんな話、聞きたくない。

私は、食器を片付け終えると、リビングとは別のドアから出て、自分の部屋に戻った。

そして、ドアに鍵を架けてベッドにダイブした。





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