不思議な気持ち
短めです。
「……という事で、話しも終った事だし、蓮。飯食ってくか?」
慶太が、話しは終ったとばかりにぶち切った。
へっ……。何で、そうなるの?
「いいのか?」
蓮くんも蓮くんで、慶太に聞いてる。
否、そこは私にも聞くべきじゃ……。
蓮くんは、私には一切目を向けてこない。
ムム。っこれはどうとるべき?
「いいよ。今日は夏実が作る番だし」
意味ありげにニコニコ顔で慶太が言う。
何で、ハードルあげてるのよ。
蓮くんが私を見てくる。
何か、期待してそうなんですが……。
「いいじゃん。人数多い方が、楽しいし」
って何のこっちゃない。
ただ、慶太が漣くんと私をからかいたいだけじゃん。何て、思ってしまうのは私だけでしょうか。
「決まりな。ってことで夏実宜しく。蓮、俺の部屋に行くぞ」
そう言って、慶太は自分の鞄を手に立ち上がるとさっさとリビングを出ていく。
勝手に決めるなって。蓮くん戸惑って置いてってるじゃんか。
「あの、蓮くん……」
おずおずと声をかければ、弾かれたように顔をこちらに向けて。
「夏実ちゃんごめんな。準備、大変だよね」
って、申し訳なさそうな顔をして言う。
「ううん。こっちこそごめんね。慶太が無理を言って」
私も、蓮くんの気持ちを無視して決めてしまう慶太の代わりに謝る。
「慶太の事は、何時もの事だから、気にしてない。けど、夏実ちゃんに迷惑かけてるよな」
苦笑いを浮かべて言う彼が、なんだか可愛いって思えた。
こんなの初めてかも……。
男の子を可愛いなんて、思った事一度もなかったんだけどなぁ。
何て思ってたら。
「蓮。早く来いよ」
と二階から慶太の急かす声。
「おう」
蓮くんは、そう返事をして私に軽く手を挙げるとリビングを出て行った。
残された私は、キッチンに足を向けていた。