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一緒に登校

「なぁ、夏実ちゃんって、部活やってなかったよね?」

突然聞いてくる彼。

「うん。他の人に迷惑かけたくないから、辞めたんだ。散々悩んだんだけどね」

私、どんくさいから、迷惑掛けるの目に見えてるし…。

「じゃあさぁ、バスケ部のマネージャーやってくれない?」

えっ…。私が、マネージャー?

「今さぁ、マネージャーが居なくて、夏実ちゃんなら、やれるだろ?」

やったこと無いけど、大丈夫かなぁ…。

不安が募る。

それに、私がやることによって、ファンの子達が、詰めかけるんじゃないの?

「ダメかな?」

彼が、腰を屈めて、顔を覗き込んでくる。

えっと…。

そんな、懇願するような目で見ないで。

断れなくなっちゃうじゃない。

「ダメ、じゃないけど…。慶太の事、聞かれるだろうし…」

慶太の話しを出せば、断れるんじゃないかと思ったけど…。

「慶太なぁ…。アイツ、雑誌にも取り上げられてるしなぁ」

そうなんだ。雑誌にも取り上げられてるのか、初めて知ったよ。

「まぁ、聞かれても俺がフォローするし、大丈夫だよ」

って、ポンポンと私の頭を叩く。

えっ、これって断れられ無い方向になってる。

断るつもりだったんだけど…。

「…う、うん。私、頑張るね」

何を頑張ればいいんだろ?

「夏実ちゃんは、頑張っちゃ駄目だかんね」

と返された。

この台詞、最近聞いた覚えがあるんだけど…。

「一人で心細いのなら、和田さんも誘ってさ」

彼の口から、彼女の名前が出てくるとは、思わなかった。

何処で、知ったのかなぁ?

彼の前で、彼女の名字を言った覚えがないから、気になる。

「う~ん。そうしたいけど、彼女、部活入ってるから、無理に誘えない」

私が、そう答えると。

「そうなのか?それじゃあ、仕方ないか…。今日からでも出れる?」

何で、落胆してるの?

何か、胸の中がモヤモヤする。

「それは、慶太に相談しないと…」

私の言葉に彼が不思議そうな顔をする。

「何で、慶太が出てくるんだ?」

「それは…。うちの親が、病院を経営してるのは知ってるよね。だから、家事全般を二人で交代でやってるんだ。…で、今日は、私が夕飯を作る番なの。昨日、私の代わりに慶太が夕飯を作ってくれたから、それで…」

事情を説明をすると。

「…あっ、昨日、そんな事言ってたな。わかった。慶太に連絡してからでいいから、今日中…昼にでも教えてくれる?」

彼が、振り返りニッコリと笑う。

うっ、眩しいです。

て言うか、これって、ヤバイんでは…。

「う…うん、わかった」

彼が、そう言って自分の教室に向かう背中を見送る。


ここまで来る間、ずっと周りの目が私に向いていた事、気付いていたのかな…。

しかも、棘のある視線ばかり。

彼の隣に居る限り、この視線が突き刺さるのかと思うと辛いかも…。

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