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弱さ

何時間ここに居たのだろうか?

ベンチに膝を抱えて座り、膝に額を付けていた。

そこに砂を踏み込む足音が近付いてきた。

顔をゆっくりとあげた。そこには、ホッとした顔の慶太が居た。


「夏実。こんな時間まで何してたんだ?」

慶太が無造作に私の隣に座り、優しい声で聞いてきた。

「何もしてないよ。ただ、ボーッとしてただけ」

回りが暗いことをいいことにそう告げた。

今の私は、泣き腫らした後の酷い顔をしてるから見られたくなかった。

「そんな嘘、俺に通用すると思ってるわけ?そんな、鼻声で言われても納得いくかよ」

そう言って、私を優しく包み込む。

「何が、そんなに辛いんだよ。俺に全部ぶちまけろよ。聞いてやるから」

慶太は、自分の事のように優しく言葉をかけてくれる。

私は、その優しさに甘え、慶太にしがみつき泣きじゃくりながら、ゆっくりと今日あったことを話した。



「そんなに辛いなら、俺の学校の編入試験受けるか?」

突然の言葉に吃驚して、慶太を見ると真面目な顔をしていた。

「今の学校へ行きたくないんだろ。だったら、俺の学校の編入試験を受けて、俺と一緒に行こうぜ。そしたら、夏実も傷付かないだろ?」

慶太が、私の背中を擦りながらゆっくりと言う。

「それに俺が近くに居れば、何があっても守ってやるし…」

私は、その言葉に頷いた。

もう、自分が傷つくのが嫌だったから…。

こんな臆病な自分、誰かに守ってもらわなきゃ、何もできない自分。

「じゃあ、親父達に言って、手続きするか…。ほら、家に帰るぞ」

慶太が、私の手を握って立たせてくれる。


私に何かあると守ってくれた慶太。

また、甘えてしまった。

「ありがとう、慶太」

「うん」

私には頼りになるお兄ちゃんがいる。

それが、何よりも心強かった。

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