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知らないままで

帰り際、隣のクラスを通ると数人の男子の声が聞こえてきた。


「蓮。何時になったら、結城を落とせるんだよ」

って…。

えっ、私?

「もう少しだって…。彼女、俺の事気にし出してるから……」

って、大谷くんの声。

何?

私を落とす…って…?

まさか…だよ…ね。

「一ヶ月以内に彼女を落とすんじゃなかったのかよ」

って声が聞こえてくる。

期限つき…。

「どうせ、落としたらほかるんだろ?」

って、数人の笑い声。

「彼女、可愛そう」

そう言って、ゲラゲラ笑ってる。

えっ…。ゲームだったの?

私は、一瞬目眩を起こした。

大谷くんは、彼らのゲームに参加して、私に告白してきたんだ。

そっか、そうじゃなきゃ辻褄合わないよね。

「どうだろうなぁ…」

大谷くんは、はぐらかすように言ってるけど、遊びだったんだと想像がつく。

私、一人が悩んでたんだ…。

何だか、バカみたい。

私なんかが、相手にされる筈無いものね。

その時。

ドン!

足元がふらつき、入り口のドアに鞄がぶつかった。

その場に居た男子が、私を見て顔を青ざめさせていく。

大谷くんもその一人。

「夏実ちゃん…」

青ざめた顔で大谷くんが言う。

「ごめん。聞くつもり無かったんだけど、聞こえちゃった」

私は、努めて明るく言い放って、走り出した。

「夏実ちゃん!」

大谷くんの声が廊下に響いた。




家にも帰りたくなくて、近所の公園のベンチで一人で泣いていた。


あんなこと、知りたくなかった。

こんなにも胸が痛いなんて…。

知りたくなかった。

彼の言葉を信じて、好きになり始めてたのに…。

裏切られたみたい。

人を信じるって、難しいや。

初めて知った、この感情。

私は、何時も慶太に守られていたんだね。

周りには、誰も居ない。

暗闇の公園で、一人涙する。

誰にも気兼ねなく泣ける場所。

もう、学校に行きたくないな。

こんな思いするなら、知らないままの方が良かった。

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