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名もない物語  作者: 林檎の神
7/7

断罪者

アトロたちが森につく一日前


森ではひとつの団体が村に向けて進んでいた。

馬車に三人とその回りに八人

馬車に乗っているのはきらびやかな装備の太った男と牧師の格好をした四十代の男性、そして馬を操る御者。

周りの男たちは前方に四人と後方に四人の隊列を組んでいる。


「もうすぐ、僕の獲物の吸血鬼のいる村なのか、ルシェール?」


「はい、もうすぐでございます。」


「これで僕は英雄になるんだ」

グフフと笑みを浮かべながら男はお菓子をむさぼり食う。


このブクブク太った男の名前はマークベル・ベーコン 19歳

男爵家の長男であり、その権力で好き勝手に生きている。

趣味が女子供への暴力という、いわゆるゲスで自分の思い通りにならないとすまない性格である。

その性格から周りの同年代の貴族からも距離をおかれており

最近、親にも少し控えるように注意をされている。

しかし、マークベルはそれに対して頭に来ており、親や同年代の貴族どもをどうにかできないか悩んでいた。

そんなとき、たまたま見ていた歴史書にこの森を抜けたところにある村の吸血鬼伝説というものを見つけた。

そして、親に反省している振りをしながら騎士の道に進む胸を両親に伝えて、騎士団にはいる前に、一緒にはいる同期の者と差をつけるため経験を積んでおきたいといい、その予行練習にこの村までいきたいのでお金を出してくれと頼み込んだ。

普通は、なぜこの村なのかが気になるものだが両親はマークベルがようやく正気に戻ってくれたと喜んでお金を出した。

その金で傭兵と自分を支持してくれる協会のものに多目にお金を包んでここにいる牧師を借り受けた。


「はい、マークベル様 これであなたも英雄となりそれ相応の名誉と権力が手に入り あなた様がこの国を統治する日もそう遠くないでしょう。」


そんな話をしているがそれは何かが風を切る音によって絶ちきられた。

トスッ

「うっ……」

後方の護衛の一人の胸に矢が生えた。


弓か放たれた場所はそう遠くなく十メートルほど離れた茂みからだった。

そこには所々武装をした五、六人ほどの集団がいた。

「と、盗賊だぁ」

護衛のうちの一人が叫んだ。


「へっへっへっ、こりゃあ運が良いぜ、お前ら

見たところ貴族様御一行だぜ。」


「やりましたね親方。」


「俺にも一応家族がいるんでね。

悪いがお前らには、俺たちの肥やしになってもらうぜ」


「何をやっているお前たち、馬車を囲むようにして隊列を組み直

せ。

マークベル様に指一本触れさせるな。」


牧師に指示を受けた傭兵たちは急いで馬車を囲むようにして戦闘体制に入った。


「被害は?」


「あそこに倒れている一名だけです」


「わかりました」


そういうと牧師は胸に掛けている銀製の十字架に触れて数秒目を閉じると馬車からおりた。


「ほう、なかなかやるようだな牧師」


「分かりますか?」


「お前、本当に牧師か?」


「ええ、さて今日も迷える子羊に手を差し伸べますか。」

そういって手につけていた白い手袋をはずしてから指をならす


それらの一連の行動に盗賊の頭らしき人物は眉を少し寄せる

牧師の身のこなしから手練れというのが伝わってくる。


「ちっ、うまい仕事だと思ったのによ。」


「カルトぉ! 魔法の用意だ

他の連中はカルトの魔法が整うまで死ぬ気で守れ。 」

「「「 へいっ 」」」


「魔法使いがいるのですか。これは素晴らしい」

にぃーと気味の悪い笑みを浮かべる。


そして牧師が動いたのをきっかけに戦闘が始まった。

「お前らはベーコン様をお守りしとけ」


そう言いながら、牧師は切りかかってきた盗賊に回し蹴りを食らわす。

それから飛んできた矢を避けてから駆ける。

斧を持ち上げ振りかかろうとしたものには懐にいれていた、痺れ薬の塗られたナイフを投げて戦闘不能にし、槍で攻めてきたものには素早い動きで腕を後ろに回して背中と腕の間に槍を滑り込ませてから、固定してそれを軸にして顎に蹴りを吸い込ませる。

それから魔法使いを沈めようと魔法使いの方を向くと

「このくそ化け物がこれでも食らえってんだ」

魔法の構築を終えたカルトと呼ばれたローブに杖を構えた男が叫ぶ。

「グラビティ!!」


【グラビティ】

無属性の中級魔法で対象の重量を五倍にする


「ぐっ……なんてことになると思ったか?」


「なっ」

残った頭領とカルトは信じられないという表情を浮かべる。


それは当然だ

五倍というものの、影響力はとてつもない。

例えば70㎏の人間であれば350㎏という重さがかかる。それなのに目の前の男はなんでもないようにたっている。

この魔法は魔法適正が低いカルトが仲間のために血ヘドを吐きながら修得したものであった。


「残念だったな、このくず供が。」

それからは、頭領が少しばかり抵抗するがそれまでだった。

カルトも信じられないという顔をしている間に意識を狩り取られた。


………………

…………

……


盗賊たちが目を覚ますと辺りはずいぶんと暗くなっており自分達が縄で縛られているのに気づいた

そして森の広い空間で固まった状態にさせられていた。

周りは松明で囲まれていて明るかった。


「ちっ、くそ頭が……」

「お頭」


「やぁやぁ目が覚めたかいくず供が」

嫌みな笑みを浮かべた牧師が目の前までやって来た。


「神はこうおっしゃっておる。ゴミは始末をしっかりしろと

しかし神は寛大だ!!最後の別れくらいはさせてやるとおっしゃっている」


そういうと牧師は優しげな笑みを微笑んだ。


その言葉に頭を下げて別れをする。


「お頭今までありがとうございました。」

「「「ありがとうございました」」」

「いや、悪かったなお前ら、俺が相手を見抜けなかったせいで」

「いえ、結構楽しくやっていけましたからね」

と槍を操っていた男がいう

「最後の心残りは皆家族か……家族が路頭に迷わなければいいがな」

「そうですね」

「とにかく今までありがとう、そして家族の幸せを願って」

「「「「家族の幸せを願って」」」」

最後と思えぬ笑みを浮かべる


「牧師さんよ。ありがとな

最後の別れをさせてくれて。」


「いえいえ、神からの言葉ですから」

といって牧師は懐から麻痺薬を塗った短刀よりも長めの剣を取り出す。

「そこが俺たちの十字架かい?」


牧師の横には木で作られた十字架が十本ほどあった


「嫌々、違いますよ。これは……おぉーい!!こいっ。」

その声を聞き付けて傭兵が四人ほど駆けつける。

そして耳元で何かを牧師がささやく。

それを聞いた、傭兵は目を見開いてから渋々と言った形で頷いた。

そしてから、一人がもと来た道へ行き数分してから縄を大量に持ってくる。


「それでは処刑を開始しますと言いたいところなんですが……

その前に余興をしたいと思います」


余興という言葉に盗賊たちは首をかしげる。


「ショウタイム!!」

手を大きく広げて牧師は笑みをどす黒い浮かべる。


「アポート」

牧師がそう告げると30歳ばかりの女の人が現れる。


それを見たカルトは震える。

「ミーシャ?」

そういわれた女性は意味が分からないと言った風に辺りを見回したあとにカルトの方を向いた。

彼女はカルトの奥さんであった。

「あれ、カルトなんで縄にこどもたちぃ」

すべてをいい終える前に牧師は剣で女の首を跳ねた。


カルトは頭が真っ白になってすぐに牧師を見た。

牧師は剣の血をねぶりながら、猟奇的な笑みを浮かべた。

「はぁ、いい……とてぇもきもちがいい……」

と恍惚なため息をはく


「きっさぁまっあ!!!」

妻を殺されたカルトは怒り狂い縄を引きちぎろうとカルトはやっけになるがどうにもできない。


「アポート」「アポート」「アポート」「アポート」

と連続で十回唱えるとそこには住人の子供と女性が現れた。

皆どうしてという表情を浮かべて近くにあったミーシャの死体を見つけて悲鳴をあげる

「アイラ!!」

「ナイーダ!!」

と、次々と盗賊たちは女性と子供の名前を呼ぶ

「十字架に張り付けろ。」


「いやぁ!!」

「パパぁーママァー」

「やめてくれぇ頼むその子だけは……」


そんな声はむなしく傭兵たちによって十字架に磔にされてゆく


「う~ん、なんとも言えないなぁこの感じ」

盗賊たちは怒り懇願し女性と子供たちは泣いて助けを求める

「やめてくれぇ」

「もうしないかぁ、その子と妻だけはぁ!」


「まずは一本ずつぅー」


そういって牧師は剣で子供と女性たちの腕を一本ずつ切り落としてゆく。


「いたいたいたいよぉ!」

「たぁずけぇてぇぇ」

「あなたぁ」


こうして、地獄の夜は訪れた。

三時間後、

いたぶり、家族の死んでいく悲鳴を聞かせ死んだらもう一度アポートを八回ほど行い誰も出てこなくなったところでまた同じことを繰り返した。

家族が全員が殺された頃には盗賊たちは全員、死んだ目をしており、口や目そして鼻からは液体を垂らして廃人と化していた。

それから牧師は盗賊たちを解放してやった。

皆ふらふらしながら家族だったものを抱き締めて動かなくなった。


「うぅーん、やはり気持ちが良いものですね。

罰を与えることは……堪らない」


牧師は腕を伸ばして肩を鳴らす

この牧師の名前は

サタラ・モーゼ

狂気と紙を愛すし[断罪者]の、異名を持っている男

趣味は断罪というなの……










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