表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
名もない物語  作者: 林檎の神
4/7

拾ったのは猫ですか?いいえヒロインです

遅れてしまってすいません。

色々と予想外のことがありました……

それはそうと、読んでくださりありがとうございます。

五話以降名もない物語は毎週水曜日の週掲載へと変わります!

これからも是非読んでください

「498ぃ……はぁはぁ」

汗がこめかみを伝って鼻先から落ちる。

「499ぅー」

腕はとうに限界まで来ており悲鳴をあげ震えている。

「500ぅっ!!」

トレーニングの腕立て伏せを終え、息を荒げながら体を地面に伏してそのまま転がり仰向け状態へとなる。

「はぁはぁはぁ……きつい」

辺りはまだ少し薄暗ぐらい感じで気温も低くて地表部分に霧が発生しており火照った体を冷ますように包む。

アトロは震えながらも体を起こした。

隣では、アレスが逆立ち片腕立て伏せをしていた。

片腕であるのにハッハッハッハッ!!っと驚異的な早さで腕を動かす。

「995!,996!,997!,998!,999!,1000っ!!」

最後の片腕立て伏せの勢いで飛び上がり着地をする。

「いやぁ良い汗かきましたね。どうかしましたか?」

依然として息がきれて腕が震えているアトロにアレスは息がきれている様子もなく疑問の声を投げかけた。

「いや、はぁ別に大したことはないからはぁはぁ気にしないでくれアレスさん。」

(あの筋肉やはりただの見せかけの筋肉ではないのか)

「そこの川に汗を流しに行きませんか?」

アレスはすぐいったところにある川の方を指差して告げた

「いや、いいよ。まだ俺はここにいるから先に流してきてくれ」

そうアレスに勧めて汗を流しにいかせるとそのまま再び仰向けの状態へとなった。

(やっぱり朝にトレーニングをしなくてはならないと体が覚えているな……何かの手掛かりになるか?)

そう記憶を失ったその日にも体が覚えていたようで朝に筋トレをしなくてはならないという使命感に駆られたのだ。

そして、ちゃんとその日の朝にも筋トレを行った。

それから毎日続けている。

十分ほどたってから汗を流し終えたアレスが帰ってきた。

「じゃあ次は俺がいこうかな」

シャツを脱いで川に向かう。

(かなり、鍛えられてますね……)

アレスは初めてアトロがシャツを脱いだのをみたが一目で長年鍛えられて出来た体というのがわかった。

それゆえにより一層アトロのことがわからなくなった。

(アトロさんは何者なのでしょう)

アレスの悩みなど露知らず暖かい香りが鼻孔を刺激し山から漏れだした光は一瞬で辺りに広がり、朝が訪れた。

「はぁ冷たくて気持ちぃー」

川の温度はなかなか冷たくて気持ちがよい。

近くでは小さな魚たちが群れをなして泳いでおる。

近くの草原では兎がひょこっと穴から顔を出したり縮めたりを繰り返してこちらを警戒しておる。

(肉……うさぎ肉か、悪くはないな)

頭の中でもう肉を食べることでいっぱいである。

川から上がると急いで着替えを済ましてアレスに狩の話を持ちかけた。

「アレスさん。俺ちょっと肉が食べたくなっちゃってさ狩を手伝って貰ってもいい?」

「ほう、狩ですか。久しくやっておりませんな。しかし、兎や鹿ごときなら捕まえられるでしょう」

胸を張って答える。

するとアトロは

「提案してて悪いんだけどちょっと時間貰ってもいいかな?」

と言った。

「えぇ構いませんが?一人でやっても構わないんですよ?」

「いやいや、其れは流石にこっちの気が引けるからさ一時間でいいから。」

「分かりました。それでは少し寝かして貰っても構いませんか?結構疲れがたまっていて、もう一眠りしたいんです。」

「勿論。」

そう言うとアレスは木陰に向かっていき横になりすぐに眠りだした。

一方アトロは怪しい笑みを浮かべるとそそくさと何処かへむかう。

一時間後

アレスを起こしそうと近づくと起こす前に目を覚まして大きく伸びをした。

「おはようございます。用事はすみましたか?」

「あぁ、用事といっても保険みたいなものだけどね。」

怪しい笑みを浮かべて川の近くの兎の巣まで歩いていくと目的のそれはこちらに気づいたのか。顔をひょっこり出し耳をせわしなく動かす。

赤い目と黒い瞳が交差する。

先に動いたのは兎だった。

まさに一瞬であった。

「あの足は【ファストラビット】足の早さが恐ろしく速い兎ですよ。」

「あれ普通の兎じゃなかったのか」

足に力を込めてアレスが捕まえにいこうとするとアトロに止められた。

「アレスさんたのみがあるんだがあの山の方に追い込んでくれないけ?アレスさんの力で捕まえると肉塊になりかねないからさ」

ここからみて右側の方に指を指す。兎が向かったのは真っ直ぐである

「作戦はありますか?」

「一応ね」

「分かりました。任せてください」

兎顔負けのスピードで走り出してうまく右側に追い込んでいく。

それに対するアレスはぼうっと立ったままである

「アレスさんそのまま真っ直ぐ頼む」

アトロが動かないのにおかしく思ったがそのまま真っ直ぐ追い込んでいく。

「アレスさんスピード落としてくれ!!」

「了解です」

アレスは疑問に思いつつも言われた通り徐々にに落としていく。

対する獲物である兎の方はびびっていた。

自分より速い生物にあったことなどなく

今まで自分に追い付いてくるものなどいなかったのだ。

それに追いかけてくるのは筋肉の化け物だ。

驚かない方がおかしい。

ようやく、自分を追いかけてくる相手も疲れてきたらしくどんどん差が生まれてくる。

しかし、油断はできないのでこの先にある自分の隠れ家に急いでいこうとした。

そこで衝撃が襲い一瞬で気を失った。

それは兎が勝手に倒れたようにしか見えなかった。

アトロはそれをみるとガッツポーズを決める

「狙い通り。」

アトロはそう言いながら決めポーズをとっている

「アレスさぁぁん回収してきてくんない?」

ぼうっとしていたがすぐに現実に戻り急いで回収しにいく

せっかくの獲物が起きて逃げたら大変だ。

「任せてくださぁーい」

兎のもとに行こうとしたところでこけかけた。

「おっとっと」

そして兎のもとにいくと足に草が絡みついていた

しかし、よくみると兎の足が草の輪に引っ掛かっていた

難なく兎を回収してくると

アトロは得意顔で

「実は罠を仕掛けていたんだ」

といった

「だから、時間がほしかったんですね。」

「そうの通り。万が一に備えてな。」

それから二人は兎の血抜きのと皮剥ぎをしてから焼いて瑠璃色の実の果汁を絞ってかけていただきました。

足が速いだけあっていい感じに引き締まっていて肉はけっこう美味しい。

「しかし、意外と博識なんですね。」

「そういえばそうだな。疑問にも思わなかった」

話をしている二人にそれは近づいていた

のそりのそりのそりと

「ん、アトロさん。何やら黒い塊が近づいてきてます」

アレスは食事を止めてその黒い塊に警戒にする。

「あれは、人か?」

よくみると耳のようなフードをつけた人であった

「油断しないでください。盗賊やも知れません」

いきなりその全身が黒い人が声を出した。

「あぁあ、ああぁ」

そして、バタリと不思議な声をあげたと思うと倒れたのだ。

「怪我人か?」

アトロはその倒れた人物のもとに駆け寄った。

「おい、大丈夫か?」

フードで顔は見えなかったが近づいたことによってはっきりとわかる。

肩までの烏の濡れ羽色の髪にふっくらとした桜色の頬と柔らかそうな唇。

その唇から虫の羽音のような声が聞こえる。

「……たぁ」

閉じていた緋眼を開けて先程よりも大きな声を出す。

「お腹すいた……ご飯ください」

言い終えるとガクッと倒れた

「何でだよっ!!」

頭をスパーンッと叩く

「あぅ……」

緋色の瞳が涙目となる

「ご飯くれないの?」

少女は上目遣いで訴えかける。

「……あげないとはいってない。」

そう告げたあとに、はっと気づいて後ろをみるとアレスが口許の髭を擦りながらニヤニヤしていた。

「青春ですか?」

「あぁもうっ!!」

どうにでもなれと倒れた少女を背負って焚き火の地点までつれていく。



ガツガツガツと残っていた兎と先程とったばかりの魚で作った焼き魚をすごい勢いで食べる。

「す、すごいですね」

汗が頬を伝う。

「あぁ」

そして、全部食べ尽くすとてをあわせて

「御馳走様」

とつげた。

顔に焼き魚の欠片をつけて。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ