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7 クロ狩り

 真木の予想通り、クロ狩りは翌日行われた。

 早すぎる。予想されていたけど、こんなに早いとは思わなかった。急な全校集会で、不安は隠せなかった。

 壇上に立つ校長の後ろに立って、全体を見回す青年がいた。校長の説明では、最近学生の間で流行っている病気があるようで、専門家の人に来てもらって確認しているとのことだった。すぐに見分けは付くから時間はかからない、もし病気に罹っていたとしても死ぬわけではない、そう説明された。

 あの青年がシロか。政府にバレたシロ。シロがクロを見つけて報告する理由って何だろう。嫌がらせか。自分は見つかってしまったから、道連れにしたいとか。でも、クロに希少価値はない。クロを操りたいのか。操ることで優位に立ちたいとか。でも、報告する必要はない。個人的に利用すればいい。シロが洗脳されていなければ良いけど。

 俺以外のクロも、これがクロ狩りだとわかっているはずだ。俺が自分のことを知らなかったのが例外で、普通はどこかで自分がクロだということを知る。火傷ばかりする子供なのだから、初めに医者や親が気付くだろう。それと同時に想いが強いと小さな爆発が起こるから、周りが気付く。俺は感情の起伏がなかったから火傷の回数も少なかったし、規模も小さかった。火傷との関連性に気付いたときには感情を抑えるようにしたから、周りの人は気付かなかった。もしかしたら、とは思われていたのかもしれないけど。医者と親は、火傷をしなくなったから安心して何も言わなかったのかも。

 悪いことをした。俺の行動が、いろいろな人を巻き込んだ。クロだということを隠して生きているのに、こういう形でバレるなんて。全校生徒の前で晒されるわけではないらしいけど、監視が付くのは間違いない。

 左手の甲の火傷を押さえた。鈍く痛む。

 これからが、本番だ。真木がシロだと特定されないように、俺が気を付けないと。

「以上で、全校集会は終了です。速やかに教室に戻ってください」

 放送部のアナウンスで、生徒は出口へ向かって行った。

 壇上の青年を見ると、目が合った。俺の周りに単語が浮かんでいるはずだ。青年は、同情するような視線を向けてきた。

 ああ、そうか。囚われたシロには自由はないんだ。俺のことを報告することは、シロにとってはどうでも良いことなんだ。シロほど希少ではないけど、特別な人間。同じようで同じではない。でも、監視される対象になる。特別になることは、幸せじゃないんだ。

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