表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/22

1 出会い

 目の前には倒れた大木と下敷きになった車。車の中には人影が見える。人影はかすかに動いていた。

 登校前のトレーニングで山道を走っていたところで見かけた事故。助けを呼ぶにも携帯電話は圏外だ。

 日中でも人通りが少ない道だから、早朝だと余計に人は通らない。騒ぎになっていないから、事故が起こってから通りがかった人や車はないのだろう。

 さて、他人の命か自分の命か。

 俺はただの事故の目撃者だ。しかも起こった瞬間を見ていないから、事故発生からどれだけ時間が経ったかわからない。走って携帯が繋がる場所に行くには十分以上はかかる。救助が来たとしても、大木を退けるのに時間がかかる。それだけ時間が経つと車の中の人は死んでしまうかもしれない。

 いろいろ考えたけど、それは言い訳だ。答えは最初から決まっていた。車から五メートルほど離れ、大木に向けて手を伸ばした。

「燃え」

「箱! みずち! くさび!」

 ろ、と言う前に、言葉が被さった。三つの単語が発せられた瞬間、大木は吹っ飛んで行った。

 衝撃はない。体に反動はなかった。

 まさか無事でいられるとは。死ぬ覚悟で爆発を起こそうと思ったのに、無傷で思ったとおりのことが起こった。

 呆然としていると、後ろから腕を掴まれた。

「馬鹿! 人助けで死ぬつもり!?」

「……それでも良いかな、と」

「あーもう! 一生隠すつもりだったのに!」

 イライラと髪を掻く女子は、近くの高校の制服を着ていた。ここは通学路にはならないと思うけど。

 女子高生は深いため息を吐いた後、強引に腕を引っ張った。

「とにかく、ここを離れるよ。説明するから、私の家に行きましょう」

 有無を言わさないで、女子高生は腕を掴んだまま歩き出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ