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鬼の喧嘩屋  作者: 鉄紺
7/17

肉体言語(通じるとは言ってない)

ここで異世界転移お約束です。

お気に入りが2件になりました!ありがとうございます!

GWが終わってしまったのでペースは少し落ちてしまいますが、執筆は続けていきますので、これからもよろしくおねがいします!

「ほら!見えてきたよ!よかったぁ。まだ開いてた」


 どうやらなんとか間に合ったらしい。

門の近くで門番が篝火に木を継ぎ足していた。


「おぉ!二人共無事だったか……!?なんだその狼は!?」


 こちらに気づくと元気に声をかけてきたが剛毅の顔の隣に並んでいる狼を見て素っ頓狂な声を出した。


「襲われたから相手してやった。完勝だぜ?」

「武器も持たないでか……?」

「拳と足があんだろうが。それで十分だ」


その言葉に門番は顔を下げ、肩を震わせた。


「……」

「どうした?」

「くくく」

「おい?」

「アッハッハッハッハ!拳で?そいつらを!?アハハハハハ!い、いかん。腹が痛い!」

「なにが言いてぇんだよおっさん!」

「なに、そいつらを武器を持たずに殺したのはお前さんが初めてってだけだ!そんなことをする奴は見たことがない!いや!気に入った!その豪胆さ!まさにシーカーだ!アッハッハッハ!」

「なんか、腹立つな」


 ここまで大声で笑われるとなんか無性に腹が立つ。

おい、指を指すな。折るぞ。


「まぁまぁ、剛毅。ステイステイ」


茜が俺の前に来て両手でまぁまぁと宥めようとする。

オイ。


「馬か俺は?」

「馬よりタチが悪いよ。それで門番さん」

「門番?あぁ、そういえば名前を告げていなかったな。私の名前はアルベルト。これからよろしく!」

「うん!よろしくね!それでさ。この狼って売れるの?」

「あぁ!もちろん売れるぞ!売れるのは牙と皮だな!薬草よりは金になる!」

「そうか、そいつはよかった。森から担いで来たもんがゴミだったらどうしようかと思ったぜ」

「換金ならシーカーギルドでやっているから行ってみるといい!この時間ならまだ買取しているはずだ!」

「そうか、ありがとよ」

「じゃあね!アルベルトさん!」

「おお!今日はゆっくり休まれよ!」


 アルベルトに別れを告げてシーカーギルドに向けて歩き出す。

が、


「おい」

「なに?」

「なんか目立ってねぇか?」


歩いている人達が皆こちらを見ているようなきがする。

いや、見ている。


「いや、見るでしょ。そりゃ。そんなもの二匹も背負ってれば。重くないの?」

「いや、全然」


 合わせて100キロは下らないだろうが、剛毅には負担にならなかった。


「丈夫だねぇ剛毅」

「それが取り柄だ。開けてくれ、茜」

「うん、わかった」


 シーカーギルドの扉を開けると、前も感じた不躾な視線が刺さる。

とりあえず無視だ。

両肩のもん下ろさねぇと喧嘩も出来ねぇ。

今の時間混んでいるのだろう。

受付の列に並び嫌な視線に耐えながら自分の番を待つ。

やっと一番前につき、カウンターを見るとリザが驚いた顔をして固まっていた。


「……」

「おい」

「……あっ!二人共お帰りなさい!怪我はなかった!?それにその狼は!?」

「怪我はないよ。あ、これ音無草」

「あ、はい……15株ありますね……じゃなくて!」

「喧嘩売ってきたから買ったんだよ」

「でも、剛毅さん武器持ってないじゃないですか!」

「蹴り殺したンだよ」

「……」


 その言葉にリザが絶句していた。

そういや、武器を使わねぇで殺した奴はいないんだったか。

そんな簡単に手に入るもんなのかよ武器って。


「アルベルトには笑われたよね。武器も持たずに倒すなんて!って」

「そうだな。で、こいつは買い取ってくれんのか?」

「……本当なんですか?武器も使わずに倒したって」

「マジだよ。それでこいつは?」

「あ、はい……首に打撃痕……こっちは鼻と首、鈍器みたいなものは持ってないし、本当に素手で殺したのね……特に傷ついてもないし、うん。解体するの分のお金を引いて二つでワルティール銅貨100枚になるわ」

「いらねぇじゃん。音無草」


 つい言ってしまった。

音無草を探して数時間。

狼を殺して5分。

狼の方が高いってどういう事だよ。


「いやいや!いるでしょ!これで二泊泊まれるよ!あ、金額はそれでいいです。ありがとうございます!」

「あ、はい。では音無草と狼合わせてワルティール銅貨190枚です。用意しますので少しの間椅子に座ってお待ちください」

「おぅ」

「わかったよ!」


 ちょうど良く空いている席があったので座らせてもらう。


「それにしても大繁盛だな。シーカーギルド」

「そうだね……でも南のほうは全然すれ違わなかったね。なんでだろう?」

「さぁなぁ、それも明後日聞いてみればいいだろ」

「うん……」


 だらだらと会話をしていると、顔を真っ赤にした野郎が歩いてきた。

千鳥足でかなり酔っ払っている。

歩いてきた方向を見ればなるほど、ここ居酒屋もやってんのか。

男は茜を見るとニンマリと笑い話しかけてきた。


「おっ、君可愛いねぇ。どうだい?そんな鶏冠みたいな髪した男と話してないで、俺と一杯」


隣にいる俺まで匂ってくる。

酒クセぇ。


「いえ、あの、お酒は飲めないので」


茜が無難に断る。

まだ18歳だしな。酒を飲むのは20になってからだといつも言っていた。


「初々しいねぇ!いいよそういうの!ほら、俺奢るからさ。ちょっとだけ飲んでみようよ?ね?」


 いい加減しつけぇ。


「おい」

「あ?」


 話しかければこちらを睨めつけてきた。


「んだよ。今俺が口説いてんのわかんないの?ト・サ・カ・君!ったくよぉ。獣クセェし、ホントは鶏系の獣人なんじゃねぇの!?」

「……それは俺に喧嘩売ってんのか?」


 売ってなくてもどうでもいい。

こういうのは俺がどう受け取るかだ。

一発ぶん殴ることは決定事項だ。

でも聞いとく、喧嘩売ってんだったら数発殴る。


「売ってんのだよ!そんなこともわかんないのかい?鳥頭君!」

「ッ!上等だ!オラァ!相手してやるよ!」

「いいぜ!かかってこいよ鶏!」


 その言葉に周りでこちらを見ていた奴らが歓声にも似た声を上げる。


「おい!見ろよあれ!」

「喧嘩だぜ!」

「喧嘩だ喧嘩だ喧嘩だ!」

「俺は赤髪に30!」

「俺は酔っ払いに20だ!」

「負けんなよ!」


 男が拳を振り上げ襲ってくる。

在り来りなテレフォンパンチ。

こんなもん、あくびしながらだってよけられる。

右足を引き、顎に向けて飛んできた拳を躱す。

そして左足で野郎が踏み込んできた右足を踏みつけ。


「くたばれ酔っ払いが!」


お返しとばかりに右ストレートを顎にお見舞いする。


「ぐっぁ!」


男は変な声を出して地面に伏した。

拳の応酬に周りの奴らが沸く。

茜は額に手をあて空を仰いでいた。


「おいおい、どうした酔っ払い。一撃でノックダウンかよ。飲み過ぎじゃねぇの?」

「ぐ…く、くそ!お前!タダじゃおかねぇ!」


 野郎は起き上がると乱れた髪もそのままに腰に下げていた剣を抜いた。

顔に目がいって、武器持ってんの気付かなかったな……。


「どうした?ビビったか?おい!どうなんだよ!」

「武器もったくらいで粋がんなよ。弱く見えるぜ」


 その言葉に外野が騒ぐ。


「よく言った!」

「あいつどこの誰だよ?」

「さっき狼背負って入ってきた奴だ」

「今日の朝登録に来てたぜ」

「ってことはルーキー!?おいおい、ルーキー相手に剣抜いてんのかよ!」

「やばくね?てか、相手だれよ」

「あいつ確かDランクだぜ」

「おいおい!Dランクとか、一緒にされると困るんだけど!」

「うるっせぇ!外野は黙ってろ!」


周りのがやに男が怒鳴り散らす。


「おぉ、怖い怖い」

「ですが笑えますねぇ」

「おい!お前ら煽んな煽んな!」


更に聞こえてきた声に男の顔は来た時よりも真っ赤だ。


「っクソ!容赦しねぇぞ鶏ィ!」


 そう言って剣を振り上げて来た。

振りなれてはいるのか、まっすぐな剣筋だ。

 しかし、んなもん当たらなければ角材と何ら変わりない。

刃物だってんならナイフなんかは二日に一度は目にしてる。

大きく左に避けた。

もしもがあれば困るからだ。

 振り下ろされた剣は酔っているせいなのか、男の筋力がないせいか、地面に突き刺さった。


「くそ!ちょこかと!」

「当たるかよそんな大振り!薪割りかァ!?」


 外野には受けたらしい。

周りからデカイ笑い声が聞こえる。

男は剣が抜けず四苦八苦しているようだ。

 隙だらけだろうがよ。

右足で剣を握っている両手を蹴り上げ、剣から手を無理矢理に吹き飛ばす。

そして上がった足で脳天に踵落とし!

剣を振りおろしたため、下がっていた頭はひどく狙いやすかった。


「ガッ!!」


どうやら決め手だったみたいだ。

男は痛みに声を一度上げて地面に倒れた。


「おいおい!新入りが勝っちまったぜ!」

「あれは酔っ払ってるからだろ!」

「でもなかなかできるもんじゃねぇぜ!剣相手に拳でなんてよ!」

「ナイスファイト!」


周りの野次が褒めたたえたり、賭けを外したと嘆いたりしている。


「いや、止めてよ!」


そんな中茜が叫び声を上げた。


「こういうとこなんだろ。ここは。住みやすくていいぜ」

「僕やっていける気がしないよ……」


茜は今日一番のため息を吐いた。


ここまでありがとうございました!

ヤンキー設定で剣の恐怖感を薄くしちゃったけど、もっと怖いかな?

うーん……まぁ、振るのがモブだったからそんなに怖くなかったということでひとつ

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