街の外へ
あまり話は進んでいません!これからもこんなペースで進んでいくと思います。すいません!頑張ります!許してくださいなんでもしますから!
元来た道を引き返していけば、街を囲んでいる白い壁を門の形に削り取ったようにしてポッカリと5mほどの穴が空いていた。
見れみれば外側に開くようにして巨大な両扉が付いている。
あそこが南門で間違いなさそうだ。
近くに行けば門番らしき人物が一人、ヒマそうに外を眺めていた。
「こんにちは!」
茜が元気よく話しかけた。
外を見ていたからだろう、気づかなかった彼はちょっとびっくりしたように肩を動かしたあとこちらを見た。
「あ?あぁ、こんにちは。外に出るのかい?」
「あぁ、なにか許可いんのか?」
これだけ厳重に壁で囲ってあるんだからなにかあろうだろう。
そう思っての質問だ。
「身分証を出してくれればそれでいいよ。それにしても大きいねぇ君、大剣だって振り回せそうだ」
「大剣なんてあるんですか?あ、これカードです」
「はい……確かに、ゴウキ君とアカネちゃんだね。もちろんあるさ!硬い大型の生き物を狩るときなんかは大型のハンマー使いと大剣使いがよく出てくるよ。一種の花形だね!」
「そうなんですか?私にも見る機会があったらいいなぁ!ね、剛毅?」
「あぁ?あぁ、そうだな。俺はやんねぇけど」
「えー!見てみたいなぁ」
「ははは、毎年、春になると大型狩りが始まるから楽しみにするといいさ!あれは見ものだよ!はい、それじゃあ気をつけてね!森の奥は危険が沢山あるから。遭難する人だっているんだからね」
話してみてわかったことだが、随分と話したがりやのようだ。
こんな忠告もするあたり、悪い人間ではないのだろう。
二人は外に出て歩き出した。
一歩外に出ればすぐに草原になっており、遠くに森が見える。
穏やかな陽気に心地よい風。
外に出るにはいい天気だ。
「森ってまぁまぁ、遠くだねぇ」
「歩いていきゃ何時か着くだろ。行くぞ」
「疲れたら背負ってね剛毅」
「冗談」
目の前の森を目指してひたすらにまっすぐ歩いていく。
途中で角の生えた兎や三角や四角が組み合わさった奇妙なものがふわふわと浮いていたりと奇妙な生き物がちらほらと見えた。
「アレなんだろうね?なんかいろんな図形を組み合わせた様な模様の奴」
茜の近くをふわふわと浮かんでいるそれは色とりどりの図形を描いた羽を持っている蝶だった。
「ここら辺特有の生きもんじゃねぇの?」
「そっかー。なんかこういうの見てるとファンタジーって感じだよね!さっきの見た?一本角の兎だよ!?何のために生えてるのさ!?」
「いや、知らねぇよ。明後日の講習で聞いてみたらどうだ」
「それもそうだね。あ、森が結構近くなってきたよ」
前を見れば遠くにぼんやり見えていた森も50mほど手前まできていた。
「音無草を最低でも15株だね。あっ!」
茜が何かに気づいたのだろう、唐突に声を上げた。
「どうした?」
「何に入れよう……?」
どうやら音無草を入れるものを持ってきていなかったようだ。
「お前のバッグあんだろが」
剛毅は茜が片手に下げているバッグに入れるものだとばかり思っていた。
「土で汚れるのは嫌だよ!高かったんだよ!?これ!?……あー、剛毅」
茜がじーっと剛毅を見上げる。
いや、正しくは
「んだよ」
剛毅の頭の後ろのフードだ。
「君の服、フード付いてるじゃん」
それだけで何を言いたいのか察したのだろう。
咄嗟に答える。
「俺も嫌だよ!」
「「……」」
「「ジャンケン!ポン!!」」
「くっそ!くそ!負けた!」
ふたりの意見が割れたときはジャンケンをするのが決まりとなっていた。
勝率は茜9割だ。
最初にグーを出す癖があることを茜は剛毅に告げていない。
「それじゃあよろしくね!土はできる限り払うから!」
「出来る限りじゃなくて全部払え!」
「前向きに善処するよ!」
「クッソ!」
ギャーギャー騒ぎながら歩いていれば50mという距離はあっという間だった。
今ではすぐ目の前に森が広がっている。
あまり森に入るということをしない昨今、なかなかに貴重な体験だった。
奥の方を見れば木々が貪欲に太陽の光を求め続けた結果だろう。
陽の光が地面に落ちている場所は一つもない。
奥から涼しい風が頬を撫でていった。
森の奥を見て茜が思案顔で告げる。
「こういうのって木に目印つけて歩いていくんだっけ?」
「いや、まっすぐ歩いてまっすぐ戻ればいいだろ」
剛毅の愚直な考えに茜が待ったをかける。
難しいことは考えない男なのだ。
「いやいやいや!こんな木が沢山生えてるところでまっすぐ歩けるわけ無いでしょ!……うーん。じゃあ、あの街の壁が見える範囲でだけ作業しよう!一緒に!」
「別々じゃいけねぇのか?効率いいだろ」
「熊とか出たら困るじゃん!非力な僕はあっという間に餌にされちゃうよ!その点剛毅だったら餌にされる前に少しは抵抗出来るじゃん!」
「俺も負けるの前提かよ」
「人間、熊には勝てないよ!」
なんでそんなに熊を推してくるのか剛毅にはわからなかったが、茜が一人で行動したくないことはわかった。
「じゃあ、さっさと探すか。音がない静かなところを探すんだったな?」
「うん。見た目でも結構わかるかも知れないけど。とりあえず話しながら歩き回ってみよう。音がしなくなったらそこらへんにあるんじゃないかな?」
そう言うと茜は森と草原の間をゆっくりと歩き始めた。
あくまでもあの壁が見える範囲で探すようだ。
剛毅はため息を一つ吐くと茜の後ろをついていった。
ここまでありがとうございました!
次あたりが戦闘があるかもしれません!
剛毅の身長は2m近く
茜の身長は150近くです。見上げるのも納得ですね。