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鬼の喧嘩屋  作者: 鉄紺
13/17

初めての依頼選び

お気に入りにしてくれた6名の方々ありがとうございます!これからも続けて書いていきますので、ご愛読のほどよろしくお願いします!

 話をしているうちにシーカーが活動する時間になったようだ。

何人ものシーカーがコルクボードから依頼書を取っていく。


「ほら!僕たちもはやくみつけよう!」


左にあるコルクボードを見てみればFと書かれている依頼書は結構あるようだった。


「どれにしようか、あ!これとかいいんじゃないかな?包蜜花の採取」


Fランクの中の採取では一番高い金額だ。

5つでワルティール銀貨1枚。


「高いなりの理由があんじゃねぇのか?」

「それはリザさんに聞いてみよう!」


そう言うと茜は依頼書を剥ぎリザの元へ向かっていった。

時間が時間だけに列が出てきており、並ぶ。


「リザさん!包蜜花ってなんですか?」

「包蜜花というのは淡いピンク色の花弁が特徴的な花です。この花弁が球体になるようにしてくるりと内側に丸み込み、そこに蜜と種を貯めます。この依頼はその蜜を集める依頼ですね。完全に蜜を貯めた包蜜花は胡桃ほどの硬さになりますから、なにか入れる袋を持っていくといいですよ。包蜜花は森の中で取ることができます。大きさもまた胡桃ほどの大きさですよ」

「なるほど!わかりました!ほかになにか気をつけることってありますか?」

「そうですね、狼を倒したなら多分大丈夫だと思うのですが、ボイスモンキーが包蜜花を好物としていますので、襲われる可能性があります。ボイスモンキーというのは周りの音を真似する猿で、人の声を真似ることがあるので森で声が聞こえてもすぐに近寄ってはいけませんよ」

「あぁ、それで……その猿は幾らになるんだ?」


 金になるなら倒すが、金にならないなら戦わないに限る。


「平均的なボイスモンキーですと一匹ワルティール銅貨で60枚になります。捌けるのならボイスモンキーの喉笛と毛皮がお金になります」

「まぁ、倒せたら倒すかな……捌くのは無理だ」

「やったことないもんねぇ……あ、包蜜花を入れる袋を買うのにいいところってある?」

「それなら朝凪という名前のお店がオススメですよ。安くて丈夫ですし、番蟲も売ってますから」

「「番蟲?」」


なんだそりゃ。


「番蟲というのは二匹で一匹で蟲です。常に一緒に行動し、離れればどんなに遠くても一直線でそちらに向かおうとする性質があるんです。なので、片方の蟲を街において、片方の蟲を持ち歩くんです。これがあれば道に迷っても帰る方向だけはわかるんですよ」

「なるほど、そいつは便利だ」

「お金が足りたら買おうね」

「そうだな。あぁ、朝凪って店はどこにあるんだ?」

「朝凪でしたら東通りの中央近く、瓶の看板が目印です。青い屋根だからわかりやすいと思いますよ」

「わかった!早速行ってみるよ!」

「はい、いってらっしゃいませ」

「いってきまーす!」

「あ、そうだ。リザ」


 気になっていたことがひとつあった。


「はい、なんでしょう?」

「ギルド内で諍いがあってもペナルティとかないのか?」

「日常茶飯事ですから。欺術で壊れても治せますし。あ、ですが、わざと壊すのはダメですよ」


……寛容だな、シーカーギルド。

 中央を通って東通へ進む、中央には巨大な噴水があり憩いの場として機能していた。

ここには屋台も置かれておらず噴水の音と子供達の遊ぶ声がよく聞こえる。

 そんな場所をからそう遠くない場所に朝凪はあった。

青い屋根の家が一つしかなかったから間違いないだろう。

 扉を開ければ外よりやや暗めに作られた店内はどこか、秘密基地を思わせるようだ。

不思議な香りが仄かに鼻をくすぐる。

扉を閉めれば外の音も限りなく小さくなり、まるで別世界のようだ。


「いらっしゃい。何をお求めで?」


 声をかけてきたのは、魔女のような三角帽を深くかぶった少女だ。

ロッキングチェアに腰掛け膝の上に乗った猫を撫でている。

少女と判断したのは声が若かったからにほかならない。


「小さな袋と番蟲を探しに来たんだがあるか?」


声をかけると、あるよ。と短く答え、猫を下ろすと店内を一回りし瓶に入った小さな蟲と袋を持ってきた。


「合わせてワルティール銅貨50枚」


財布を持っているのは茜だ。

チラとそちらを見る。


「うっ……10…20……はい。50枚」

「確かに、うちは午後の鐘が7回なるまでは開いてるからまた用があるならおいで」

「わかりました。ありがとうございます」


外に出ればまた喧騒が耳に飛び込んでくる。


「不思議なところだったな」

「うん。店主さん?も女の子だったし、ちょっとおはなししてみたいな」

「また、後ですればいいだろ。そんなことより金稼がねぇとな」

「そうだよ!もう銅貨20枚しかない!」


そんなに減ったか、稼がないと明後日からの宿がない。


「とりあえずまた森に行こう!今回は少し奥に入るから用心してね!」

「こっちのセリフだっての。オラ、行くぞ」

「あっ!ちょっと待ってよ!その前に番蟲の片方宿においてこないと!足幅違うんだから合わせてよ!」




ここまでありがとうございました!

ロッキングチェアというのはゆりかごみたいに揺れる椅子のことです。


包蜜花についてのリザのことばを足しました。

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