日常の一コマ
ヤンキーを書きたくなったので書いちゃいました!異世界に飛ばすのは2話目からになりそうです。
是非読んでいってください!
グシャ、と鼻が潰れる音が路地裏に響く。
「さすが鬼塚さんだ!怖いもんなしだぜ!」
別にその音が聞こえるほど通りが静かなわけではない。
むしろ、そこに屯している数十人の若者達のせいで騒がしいほどだった。
あるものはゴツイバイクから野次を飛ばし、あるものは鼻ピアスなんてものをしていた。
一般人に見せれば10人が10人、ヤンキーの抗争だと思うだろう。
事実そうだった。
その中でも一番目を引くのがひとりの男が先ほどの音を発生させた張本人だ。
名を鬼塚剛毅と言う。
刈り上げた赤い髪に、常に睨んでいるかのような三白眼。
2m近い巨体が他の人間より頭二つ分ほど抜けていた。
「ったくよぉ。飯奢るって聞いたから手伝いに来たってのに、お前らも戦えや、オラァ!」
そう言いながら近くにいたこちらに釘バットを向けている奴に蹴りを食らわせる。
声を出す暇もなく、地面と水平に飛び壁に叩きつけられる。
「いやぁ、鬼塚さんがいるなら俺たちほとんど出番ないようなもんじゃないっすか!」
実際に調子よく話してるほうの若者達は各々タバコを吸ったり野次を飛ばしたりと完全に勝利ムードだ。
一方、鬼塚に対峙している奴らは角材やバットを握り、鬼塚のみを見据えている。
逃げるという選択肢はなさそうだ。
「鬼塚ァ!テメェなんでそっちの味方してんだよ!こっちも飯だすって話したじゃねぇか!」
バッドを握っている男がそう叫ぶ。
それに言葉を返したのはさっきから鬼塚と話している男だった。
「へっ!んなもん決まってんだろうが!俺たちと鬼塚さんは兄弟の契りを」
「こっちは鰻、お前らは焼肉。今日の俺の気分が鰻だったってだけだ」
「そりゃねぇぜ!鬼塚さん!」「あんまりだろ鬼塚ァ!」
「くそ!やっちまえ!いくらなんでも10対1だ!数で勝ってんならなんとかなんだろうがよォ!」
「「「オオオオォォォォオ!!!!」」」
その言葉に武器を構えていた若者達が一斉に襲いかかる!
「オォ!まとめてかかってこいや。相手してやるよ!」
振り下ろされたバットを拳を突き出すことによってへし折り、そのまま突き出してきた野郎の頭をぶち抜く。
ガチッ!と硬い部分に当たる音がしたが、鬼塚には関係のない話だ。
振り抜く。
その後ろから走ってきた男二人を巻き込んで額の割れた男が地面に臥す。
巻き込まれた奴らもコンクリの地面に頭を強打して動かなくなった。
「後7人!」
目の前の惨状を見ても男たちは恐れず鬼塚に襲いかかる。
左右から凪ぐようにして振るわれた2本の鉄パイプを脇腹で受ける。
「へっ、いくら鬼塚っつってもこれは効いたろ!」
「効かねぇよ雑魚が!」
事実、振るわれた鉄パイプは軽くひしゃげ、鬼塚の脇腹には痣すら出来ていない。
「ま……マジかよ!」
「鬼塚さんはお前らとは身体のつくりがちげぇんだよ!流石鬼の喧嘩屋!よ!鬼塚剛毅!日本一!」
「うっせぇぞオメェら!騒ぐ暇あったら手伝えってんだよ!午後から茜と約束あんだよ!」
「鬼塚さんデートっすか!?」
「かぁー!羨ましいっ!相手はあの茜さん!」
「俺たちのマドンナ!」
「だからうっせぇってんだろうが!戦え!クソ!オラァ!あと5人!」
鉄パイプをもって唖然としてる二人を殴り飛ばす。
「オラァ!隙ありぃ!」
「ねぇよんなもん!」
まっすぐ振り下ろしてきた角材を蹴りによって粉々に砕き、そのまま顎を蹴り飛ばす。
数十センチ浮いた男はそのままピクリとも動かなくなった。
「……ま、死んじゃいねぇだろ。あと4人!どうした!」
「「「「う……ウアァアアァアァア!!!」」」」
倒されていく味方を見て半狂乱になったのか、他の男共が武器を振り上げて一斉に襲いかかってきた。
「まとめて消し飛べ!雑魚共がァ!」
まっすぐ突っ込んできた4人をまとめて横蹴りで吹き飛ばす。
4人は縺れる様にして壁に突っ込み、動かなくなった。
「オイ、終わったぞオラ。鰻の金出せ」
「ウッス!ありあっした!」
「あぁ……あとな」
鬼塚は勝利に酔いしれてタバコを吹かしてる男のタバコの火が付いた部分を指ですりつぶした。
「俺はタバコが嫌いなんだ。覚えとけ」
「ウ、ウッス……」
「じゃぁな」
そう言うと鬼塚は路地を出ていった。
「マジで強いよな鬼塚さん」
「指見たか?火傷すらしてなかったぜ」
「マジかよ……流石鬼の喧嘩屋……」
「頭が上がんねぇの茜の姉御だけだって話だぜ?」
「鬼塚さんでも女には勝てねぇのか!」
「ちげぇねぇや!」
「「「ははははは!!」」」
ここまでありがとうございました!