双子うさぎの餅つきと初日の出
童話というものを書いたことがなくて、自分なりに考えて書きました。
至らないところは多いかもしれませんが、
よろしくお願いいたしますm(__)m
あるところに、りんごとモモという双子のうさぎがいました。何をするのも一緒で仲の良い姉妹です。そんなに匹には一年に一度、大切なお仕事があります。それはお正月を迎える時に欠かせないお供えの鏡餅を大晦日までに街のみんなのところへ配ることです。りんごともものお家は、昔からずっとお餅屋さんをしていました。それもあって今では街中のみんながお店に買いに来ます。けれど、二匹だけでは毎日お店を開けるのは大変で、最近は年に一度、お正月に飾る鏡餅が必要な年末だけお店を開けるようにしています。今年の仕事はどうなのか、そんなことを考えて12月を過ごしていました。
ぺったんぺったんぺったん・・・・・
12月28日。いつもなら静かな調理場のはずだけれど、今年はもうすでにりんごたちは餅つきを始めていました。それは注文を締め切って、注文の数を数えていた12月20日の出来事があったからです。
「「はあ~」」
夜の9時。注文の集計を終えた頃、二匹はため息をつきました。なぜかというと今年の注文の数があまりにも多かったからです。街のみんなからの注文はいつもの事なのですが、今年は隣町からも注文が来ていました。今まで隣町から来ることまで考えていなかったので、材料についての問題はありませんが、配達する日までの時間があまりありませんでした。
「どうしよう」
あまりにも不安な気持ちが強くて、モモが口からこぼしてしまった。それをりんごは優しい笑顔で一言、『大丈夫。頑張ろう!』と声をかけてあげました。するとモモは一言、『うん、頑張る』と笑顔で返しました。励まされて少し自信を取り戻したモモ。けれど心の中ではちょっぴり不安がまだ残っていました。
そんな不安を抱えながら12月28日を迎えました。いつもより一日早い餅つきです。
「びっくりした」
「うん、私もびっくりしちゃった」
餅つきをしようとして調理場まで材料の貯蔵庫から持って来ました。すると、調理場の半分くらいが材料で埋まってしまいました。『こんなにいっぱいなんだ』と二匹は驚いてしまいました。けれどその驚きが、二匹の不安をかき消し。
「「よし、がんばろう!」」
二匹にやる気を与えました。
そして今、二匹で頑張って餅つきをしていました。
ぺったんぺったんぺったん・・・・・
モモがうすの中の餅をこねて、りんごがきねで餅をつく。いつもの分担作業です。出来上がったら、鏡餅の上と下の大きさを考えてりんごが切り分けて、モモが丸めて重ねていきます。
切り分けるのを終わったりんごは完成したお餅を箱に入れていきます。そして一回目の餅づくりが終わり、何個できたか数えます。いつも作る時よりも多く作りましたが、注文表を見てみると・・・
「全然足りないね」
「そう・・だね」
二匹そろってかなり驚いてしまいました。多く作ったつもりでも、今回の注文の数を考えるとまったくと言えるほど足りませんでした。けれどモモは『まだまだあきらめないもん!』と逆境に燃え、りんごはその言葉に励まされ、『もちろん!』と改めて自分自身に気合を入れました。その後、何個も何個も作っていき、あっという間にたくさんあった材料の半分を使い切りました。
「そろそろ休憩入れようか」
「は~い」
区切りの良くて、体力的にも少し辛くなってきたので、りんごとモモは休憩をすることにしました。するとりんごは箱に入れずに置いておいたお餅をお皿に乗せて、リビングに持っていきました。味見もかねて休憩のおやつです。
「「うん、おいしい!」」
疲れているのもあるのか、今まで以上においしく感じらえました。ゆったりとした休憩で一息をつくことができて、十分な休憩をとる事ができました。そのあと、餅つきを再開して、運んできた材料がなくなった頃には外が真っ暗になっていました。
「お疲れさ~ま!」
「うん、お疲れさま」
作り終わってすぐ、モモが『疲れを癒すにはまずお風呂』と言ってくれたので、最初にお風呂に入ることにしました。お湯につかっているとモモがりんごに寄り添って、『明日も頑張ろうね』と言ってくれて、りんごは一言『うん、頑張る』と返しました。少し長く湯船につかっていると、モモが眠ってしまいそうになるので、お風呂から上がって夕食を食べて、明日に備えて早く眠ることにしました。しかし、りんごは明日のお仕事の事を考えて、なかなか寝付けませんでした。
「明日も頑張ろうね」
横から聞こえたのはモモの寝言でした。けれどその言葉に安心したのか、りんごも眠りました。
12月29日。今日も朝から餅つきをしています。昨日よりも材料の量が少し多くなっていました。大変ですが、りんごとモモは力を合わせて頑張っていました。しかし、前日の疲れが抜けきってないのか、二匹とも少しペースが落ちてきています。
「モモ、休憩入れよう」
「うん」
だいぶ疲れているのか、モモは静かに頷きました。少し早いですが、お昼ご飯を作っていると、インターホンが鳴ったので、玄関へ向かいました。扉を開けるとそこには、近くのアパートに住んでいる猫のたまと、犬のはちがいました。
「久しぶりにあそびにきたよぉ~」
りんごとモモとは仲が良いのですが、仕事が忙しいということで、しばらく会いに来ていなかったので、久しぶりに会う事が出来ました。リビングに通してたまはモモとこたつでのんびりしていて、はちはりんごと一緒にお昼ご飯の準備をしました。
「どうだい、今年の仕事は」
一瞬、りんごは固まってしまいました。そしてりんごは今年の注文の数を話すと、はちも固まってしまいました。そのあとに一言『本当?』と聞かれたので、りんごも一言『本当?』と返しました。そのあとみんなでお昼ご飯を食べました。食べ終わったところで、たまとはちが何か話をして、りんごとモモにある提案をしました。
「僕たち仕事を手伝おうか?」
今まで仕事を手伝うと言われたことがなかったので、どう反応していいものかりんごとモモは考えていました。そしてりんごはいろいろ説明した後に『お願いします』と一言いいました。するとたまも『よろしく~』と返しました。
「よし、頑張ろう!」
さっきまで疲れ切った顔をしていたモモが、たまとお話して気分転換になったのか、一番張り切っていました。
という訳で、はちとたまを加え、四匹で餅つきを始めました。りんごとモモは餅をついて、はちはできた餅を大きさに切り分けて、たまは丸めて、丸め終わってものをはちとたまで箱に入れる。四匹になって、餅つきのスピードがあがり、運んできた材料がどんどん無くなり、夕方には作り終わりました。作り終わってたまが『いつもこんな仕事しているの?』と言われました。そのあとみんなで夕食を食べて、疲れ切った感じではちとたまは帰って行きました。モモもうつらうつらしていたので、りんごが『早めに休もう』というと、モモは頷いてすぐにベッドに入りました。
モモが完全に眠ったころ、りんごは保存室に行きました。何箱あるか数えて、注文書と照らし合わせていました。するとりんごはどうしようという顔をしました。なぜなら注文の半分ほどしかできていなかったからです。明日からは配達もしなくてはならないので、餅つきをする時間があまりありません。明日は少し早く起きようと考え、寝室に戻ったけれど、モモの寝顔をしばらく眺めていました。不安な気持ちがいっぱいな時はモモの無邪気な寝顔を見て気分転換をしてからりんごは眠ります。
12月30日。モモが起きる少し前、昨日より早く起きたりんごはもち米を炊いていました。炊き終わった頃、モモが慌てた顔で起きて来ました。
「寝坊しちゃった?」
「私が早く起きただけだから大丈夫」
モモが準備するのを待ちながらりんごは餅つきの準備をしました。モモが準備を終えて調理場に来たところで、餅つきを始めました。
ぺったんぺったんぺったん・・・・・
お昼からは配達を始めるので、少し急ぎ気味に餅つきをしていきます。けれど、スピードはあまり変わりません。それでもがんばって餅つきしていると、インターホンが鳴りました。ちょうど箱に入れるところなので、モモにそれを任せて、りんごは玄関に向かいました。扉を開けるとそこにはたまとはち、他にも何匹かいました。
「りんご、今日も手伝いに来たよ~」
「友達も何匹か連れてきた」
よく見るとそこには、近くの神社の神主さんで、キツネのいなり。配達屋さんでよく材料の配達を頼んでいる、カラスのクロ。引越し屋さんで、力持ちの、お猿さんのきっきがいました。
みんなはちやたまの話を聞いて、友達の助けるために、かけつけてくれたそうです。それを聞いたりんごはちょっぴり泣きながら『ありがとう』と言いました。
「友達が困っているときは助け合う。ボクは普通の事をしているだけだよ」
その言葉に、りんごは泣いてしまいました。そして後からきてりんごのうしろで聞いていたモモも泣いてしまいました。りんごとモモはたまになだめられて、はちはいなりたちに『な~かした』とからかわれていました。
りんごとモモが泣き止んで、餅つきを再開しました。きっきが『おいらは力持ちだから餅をつくよ』と言い、たまは『私こねる~』と言って、二匹はもう一つ調理場に置いてある、うすときねを使って餅つきをして、クロは配達の準備をいて、いなりは昨日はちがしていたお仕事を、たまと分担していました。すると、お昼までの間に、今日作る分のお餅をつくり終わってしまいました。
「こんなに早く終わるとは思わなかった」
「うん」
あまりにも早く終わったので、りんごとモモはかなりびっくりしていました。さらにクロが配達の準備もしていて、午後からすぐに配達を始めることができるようになっていました。こんなにも順調にお仕事ができることがあまりなかったので、改めてみんなにお礼を言いました。
「「みんな、ありがとう」」
みんなで昼食を食べて、配達を始めました。台車が3つとかごが1つあり、りんごとモモ、はちとたま、きっきといなり、クロに別れて配ります。台車には地図が置いてあって、場所と道順が書かれていて、配る場所と順番が、無駄なく配れるような道順になっていました。クロは『運べる量は少ないけど、ボクは遠い場所から配達するよ』といって、いち早く配りに行きました。りんごたちも地図を見ながら配って回りました。
「こんにちは、鏡餅の配達に来ました」
「あら、今年もありがとう。いつもおいしく食べさせてもらってます」
お餅をつくるのは大変だけれど、毎年この一言を聞くとうれしくて、来年もそのまた来年もと頑張ることができます。配り終わって、家に戻ると、ちょうどよくみんなも配り終わってみたいで、玄関の前でみんなそろいました。そのあともクロが作った地図の通りに配っていると、夕方には今日の配る分が配り終わっていました。
「「今日はお疲れ様でした」」
配達を終わらせて、みんなで集まったときに、りんごとモモが最初に出てきた言葉はこれでした。その言葉にはちは『仕事が終わるのは明日だろう。お礼を言うのはまだだよ』と返しました。
「「え?」」
「ここまで来たら、最後まで付き合うよ~」
また少し泣きそうになってしまったけれど、頑張ってこらえました。たま以外のみんなは『明日の朝、また来るよ』といって、帰って行きました。いなりは『明日は仕事があるから来れないな。ごめん』といわれて、りんごは『大晦日だから仕方ないよ。初詣行くからね』といいました。たまがなんで残っているかというと、『帰るのが面倒くさいからお泊りさせて』と頼まれたので、たまはお泊りすることになりました。
そのあと三匹でご飯を食べて、お風呂に入りました。お風呂から上がって、ベッドに横になると、たまがりんごとモモにマッサージをしてあげました。昨日までの不安な気持ちはなくなっていたのもあってか、マッサージを始めて10分くらいでりんごは眠ってしまい、モモはする前に眠ってしました。
「ありゃりゃ、眠っちゃった。私も眠っちゃおうかな」
久しぶりに安心して眠っているりんごとモモを見て、たまも眠くなってすぐに眠ってしまいました。
「今日で最後。みんな、がんばろう!」
「「「お~!」」」
モモが『気合の入る一言をいって』と言われたので、りんごがみんなで気合の入る一言をいって、みんながその言葉に合わせてくれました。餅つきを始めて、昨日と同じように分担でお仕事をしました。すると昼前には餅つきが終わりました。そのあとお昼ご飯を食べて、配達を始めました。近くの配達はすぐに終わりましたが、遠くの配達はクロだけしか配達していなかったので、徒歩では家から配達に行くまでの時間がかかってしまうため、配る時間が足りなくなり、まだ少し残っていますが、日差しが傾いてきました。
「もう時間がないし、大変だな」
「うん、時間がかかりすぎるよ~」
「でも、あきらめずに頑張ろう!」
みんな大分疲れてきたころ、クロが駆け込んできました。
「みんな、助っ人をつれてきたよ」
外に行くとそこには大きいそりを引いた馬のけいと、けいの道案内役でりすのクルミがいました。
「クロから話は聞いたよ。ボクのそりなら一回で配達できるよ。」
「だから早くつむつむ!」
みんなで手分けをして、そりに残りのお餅を全部積みました。なかなかの量のため、けいに『乗れるのは二匹までかな』といわれました。
「りんご、モモ、行ってきな」
「うん、みんなで待っているよ~」
はちたちに後押しされて、二匹でお餅を配達に行きました。一度に残りの配達を済ませることができました。配達を終えて、すぐに家に戻りました。
「ボクらは自分の仕事が残っているから帰るね」
「またね」
りんごとモモは見えなくなるまでけいたちを見送っていました。そのあと、家に入ると部屋は真っ暗で、すごく静かでした。みんな疲れていたので、帰ったのと考え、少しさびしく思いました。そんな気持ちを抱えながら、リビングに行きましたすると・・・
パン、パパン!
クラッカーの音がして、驚いて立ち尽くしていると、明かりがついて、そこ身はみんながいました。
「「「お疲れ様!」」」
テーブルにはおそばやお料理がおいてあり、パーティーようのゲームなどもおいてありました。けれどりんごとモモはまったく状況が理解できていませんでした。
「「ど、どういうこと?」」
「お疲れ様パーティーなんだよ~」
たまに言われてようやく状況が飲み込めました。りんごたちが配達に言っている間に、はちやたまたちはこのパーティーの準備をしていたのです。
そのあとテーブルの前につれられて、ジュースの入ったコップを渡されて、「乾杯の一言は今日の主役にお願いします」とはちにいわれて、りんごとモモは何を言えばいいのか少し考えました。
「今回の注文は去年の倍くらいあって、私とモモでは配達まで完璧に行うことができるかわかりませんでした」
「でも、みんなが手伝ってくれて、モモとおねえちゃんはお仕事を完璧にこなすことができました」
「「だからみんなにありがとうの気持ちを込めて。かんぱい!」」
「「「かんぱーーーい!」」」
乾杯をして、みんなで年越しそばやお料理を食べて、みんなでゲームして。楽しい時間は早いもので、気がつくと来年まであと1分でした。
「もうそんな時間なんだ」
「よし、カウントするっき」
29、28・・・・・
あと少しで今年も終わる。
あの忙しさがうそのようだとりんごは感じました。
19、18・・・・・
来年はどうなるのかな?
そんなことをモモは考えいました。
10、9・・・
モモやみんながいれば・・・
4・・・
おねちゃんやみんながいれば・・・
2、1・・・
これから先も怖くない!
0!
「「「ハッピーニューイヤー!」」」
新しい年を迎えました。みんなで初日の出を見ようということで、みんながんばっておきていました。けれどモモが最初に寝てしまったのを始めとして、次々にみんな眠ってしまい、最後にはたまとりんごだけが起きていました。
「みんな寝ちゃったね~」
「うん・・・」
りんごも限界が近いのか、うつらうつらしていると、陽が上り始めました。
「そろそろだよ~」
「う~ん・・・」
たまのその声を聞いて、りんごに寄り添って眠っていたモモが目を覚ましました。ゆっくり上る太陽を眺めながら、三匹はひとつのお願いをしました。
「「「みんなが幸せいっぱいで、今年も過ごせますように」」」と
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