露
掲載日:2026/05/26
露が落ちた。
窓の外は、朝から雨が降っている。
キッチンに立って珈琲を淹れる。
焦げた匂いに、胸が騒ぐ。
ドリッパーが泡立ち、またお湯をかけていく。
上澄みは、私だった。
「まだ、続けるの?」
友の声が、頭に過ぎる。
分かってくれると思っていた。
「もう、私たち、おばさんだよ。」
そう言う友は可笑しそうに笑った。
その瞬間だけ、首の皺が気になった。
それだけが、本当だった。
私は黙っていた。
友は、泣いた。
もう、戻れなかった。
先週のことだった。
部屋の隅でギターが立っている。
それを撫でる気もなかった。
珈琲に口をつける。
覚めてくれるのか。
窓の外、露が伝っている。
その行く末は、知らない。
了
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