短編小説 「孤性」
私は恋を求めているのか。それとも友情を守ろうとしているのか。
#短編小説 #創作
ごめんなさい。別れましょう。
その言葉は何度も聞いてきた。
その言葉は、いつも私を孤独に変えた。
私には想いを寄せる相手がいる。だが、その想いを伝えることはできない。タイミングがないわけではない。ただ、自信がないのだ。告白すれば振られる未来しか思い浮かばない。何より怖いのは、そのことで関係が崩れてしまうことだった。
私は恋を求めているのか。それとも友情を守ろうとしているのか。自分でも分からない。だが、好きなのは事実だった。
皆が恋をして幸せそうにしている姿を見ると、どこか羨ましく思う。私も決してモテないわけではない。仲の良い相手から付き合ってほしいと言われることもある。
本来なら断るべきなのだろう。私には意中の相手がいるのだから。だが私は残酷だ。断ってしまえば関係が気まずくなるかもしれない。仲の良い友人たちからも距離を置かれるかもしれない。そう考えてしまう。
好かれること自体は嫌ではない。むしろ嬉しい。
だから私は流されるように、付き合うことを選んでしまう。
軽い人間だと言われても仕方がないだろう。
だが不思議なことに、付き合っている間は相手のことを気にかけるようになる。自然と好意も芽生えるし、別れるときにはちゃんと辛い。
それでも、意中の相手を見ると分かる。
その想いだけは、まったく別のものなのだと。
私はきっと、人を好きになることに向いていない。
今日、私は勇気を出して想いを伝えた。
だが返ってきた言葉は、静かなものだった。
「親友としか見られない」
それだけだった。
少し時間をかけすぎたらしい。
出会った頃に告白してくれていれば、付き合っていたかもしれないと言われた。
くだらない躊躇のせいで、私は自分で希望を失った。
これからまた誰かを好きになれるのだろうか。
そう思いながら、私は帰り道を歩いた。
日はゆっくりと沈んでいく。
明日になれば、また同じ一日が始まるのだろう。
駅前の信号が赤に変わる。人々は立ち止まり、やがてまた歩き出す。
だが私は、まだ同じ場所に立っている気がした。
自信のなさから、本当に好きな相手に想いを伝えられない主人公。変わろうとしても、変われない人間がいる。
その孤独が、やがてその人の「性」になっていく。
短編小説「孤性」を書きました。
よかったら読んでみてください




