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プロローグ(読み切り版)

キャラ紹介

【佐伯直哉】

元ニート/チートステータスで転生して魔法使いに/見栄っ張り


【佐伯海斗】

元消防士/素早い動きが強みの戦士/兄を尊敬してる


【イオナ・フェルディア】

異世界の住人で女武道家/口数少ない/苦手なことはあまりない天才肌


【レオノーラ・グリム(ノーラ)】

異世界の住人で治癒術師/小柄な猫の姿の魔獣/口が辛辣


「き、気を付けてください。この辺の林は最上位の魔物の住処になっていて、もしかしたらそれ以上の魔物が出現する可能性もあります。」

馬車を繋ぐ馬に跨った御者の不安げな言葉を、俺は横で歩きながら軽く受け流すように答えた。

「大丈夫ですよ。

俺たちがついてます。

うちはランク5相当のクエストもいくつかこなしてますし、前衛には武道家と戦士、後ろには治癒術師と、バランスも悪くありません。

俺も、そこそこではありますが攻撃魔法は扱えます。

大船に乗ったつもりでいてください」

「そ、そうですか。分かりました…うぅ。」


そこそこ、は嘘だ。

俺は異世界転生して最強の魔法使いになった。

モンスターや武器に転生とかではなく陳腐な設定だが、転生の恩恵で俺のステータスはほぼ全て上限付近の数値だ。

999がカンストで、生命力960、体力955、魔力量985、とかそんな感じ。

魔法に関するステータスが他より若干だけ高かったので今は魔法使いをしているが、

前衛職に転職しても問題なく通用するだろう。

この世界の誰にも見劣りしないどころか、

「よほど鍛えた連中でも三倍以上の差をつけて勝てるはずだ。

だが能力を必要以上に見せびらかせば、無駄に目立ってしまう。

スカウトやら昇格やら、面倒な話も山ほど舞い込むだろう。

それは効率が悪い。

何もなければ、このまま手堅く稼ぎ続けるのが一番いい。」


先ほどから、御者は草むらがガサガサ鳴くたびに肩をびくつかせていた。

遠くで小動物の鳴き声がしただけでも、力いっぱいに手綱を握りしめる。

「確かに、林の中では視界が悪いかもしれないけど、こういう時のために魔力探知ってものがあるんだよな。

冒険者なら最初に覚えるような、ほんとに基本の基本だ。

いちいちリスの気配で止まっていたら時間ばかり食ってしまう。

…まあ、御者にそこまで求めるのは酷か。

怖いなら怖いで、その分だけ慎重に進んでくれればいい。

こっちも常に周囲は見ている。

強そうな気配を持つ魔物もちらほらいるが、数は全然少ない。

このまま順調に進めばまず鉢合わせることはないし、そもそも、俺の脅威になるようなレベルの魔物なんていない。

前後左右ともに、問題なし…だ」


ノーラが痛々しいものでも見るような目をこちらに向けてきた。

「何ぶつぶつ言ってんの、あんた。頭大丈夫?」


どうやら独り言のつもりだったが、途中から無意識に心の声が口に出ていたらしい。

俺は片手をひらひらと振り、笑って見せた。

「ああ、問題ない。ちょっと状況整理をしていただけだよ。」






御者の心配をよそに、しばらく歩くと、馬車と俺たち一行は林を抜けた。

「や、やっと抜けた。ここまで来れば、もうすぐ比較的安全なエリアに入れます。一安心ですね。」

道の右手の遠く、古びた木の柵の向こうに街の輪郭がかすかに見える。

御者が安堵の息を漏らした、その直後だった。


ドシン、ドシン—。


「なんだ!?」

巨大な足音が響いた方へ、全員の視線が一斉に向く。

左の岩陰から、いかにも凶暴そうな巨体のシルエットが覗いていた。


…どうやらドラゴン系の魔物ぽいな。


「ここにも魔物がいたのか…!?

なんて巨体だ…!」

黒鉄色の鱗で全身を覆われた竜だ。

全身を伸ばせば、さっきまで歩いてきた林の木々を見下ろせるくらいの巨体。

半開きの口から、下あごから外側へ湾曲した長い牙が二本、槍みたいに突き出している。

岩でも噛み砕いてきたのか、先端はところどころ欠けて黒く染まっていた。


物々しい気配に気づき、馬車の中から豪奢な衣装の貴族たちが出てきた。

「おい、何だこいつは…

こんな牙見たことないぞ。」

「図鑑にも登録されていない魔物でSS級以上の可能性もあります!

幸い、まだこちらには気付いていないようです。

今のうちに退きましょう!

林は抜けましたし、街まではもう少しです!

静かに進めばまず確実に逃げられます!」


御者は自分の知識の及ばない危険生物の存在に怯えていた。

雇い主である貴族を置き去りに逃げるわけにもいかず、一刻も早く退避すべきだと訴えるその口調には、あからさまな焦りがにじんでいる。

今すぐにも逃げ出したそうに前脚を鳴らす馬をなだめながら、貴族たちに退避の決断を急かしていた。


俺は鑑定スキルを使い、まずはざっと情報を引き出した。

確かに未登録個体だが、耐性と弱点までは問題なく表示される。

……炎、特効。

この外見で、炎が弱点とは拍子抜けだな。

見た目の威圧感に反して、“イメージ”していたよりもずっと処理は簡単そうだ。


「大丈夫です。

出くわしてしまったのなら仕方ない。

この岩陰を離れた場合、あの図体だと見降ろされた時に見つかるかもしれないし、このくらいの魔物なら問題ないですから。

倒してから行きましょう。」

と、俺は貴族たちに向き直って告げた。


「いや、逃げましょうよ。あいつ気付いてないのよ。」

ノーラがきょとんと小首を傾げて不思議がりながら、貴族たちの回答を待たずにそう言うので、俺は即座に反論した。

「だから、その途中で気付かれるかもしれないって話だろ? 分かる?」

「今通ってきた林に隠れながらできる所まで近づけばいいじゃない。

それに、戦うのはバレてからでも遅くないわ。」

「いや、平地の方が戦いやすいとかあるだろ。」


「あまり変わらないんじゃないかしら。

むしろ、あの巨体なら木に隠れながら攻撃できる分、林の方が有利かも。」

イオナは無表情のまま、淡々とそう喋った。


「兄さん、まずは一回依頼人を街に避難させてあげてから、もう一回ここへ戻ってきて倒すのはどう?」

海斗が隣で俺の顔色をうかがうように“次善策”を提案した。


「待てって、こいつの情報を調べたら全然問題ない。一回俺の話を…」

「一度逃げましょうよ!」

御者が、小声ながら必死な調子で言い募る。

俺は御者の方へ向き直って、丁寧な口調で反論をした。

「落ち着いてください、私の鑑定スキルで見たところ…」

「このくらいの魔物とあなたはおっしゃいましたけど、情報がない魔物ほど危険度が高い傾向があるということを知らないのですか!?」


…話を遮るなよ。


「そうだ!あいつはまだ我々に気付いてない。

戦士のそいつが言うように、まずは我々を安全な場所まで逃がすことを優先しろ!

その後、戦いたきゃ勝手に戦って死ね!」

貴族たちも口々に同調し一気にまくしたてた。

「依頼人もこう言ってるし、もう決まりね。静かに行きましょう。」

ノーラが俺を除いた皆の総意を取るかのように話をまとめた。

「あははは…」

——ピッキーン。


「すいません、ほんの少しだけ我々の間で“作戦会議”しますので…

ちょっと待ってください。

すぐ終わりますので!」

そう言うと、俺はイオナと海斗、ノーラの背中に手を添え、馬車から少し離れた路肩へと三人を移動させた。


怒りのまま両手杖を握り込み、地面へ叩きつけるように突き立てる。

言葉の調子も丁寧さを失い、短く荒い、畳みかけるような早口に変わる。

さっきまで貼り付けていた愛想笑いを引っぺがし、感情を一気に爆発させた。


「だーもう! 分かってねえな、お前ら!

せっかく、こいつと戦うための舞台が整たんだぞ。

俺に会話合わせろよ!

SS級以上ほぼ確定の魔物を、貴族どもの目の前でぶっ倒せるチャンスなんだからよ。

ここで一回派手にやっときゃ、専属パーティのフラグぐらい立つに決まってんだろ?」

三人を見回して両手を広げて説教くさく、つい口元が緩むのを隠しもしないで捲し立てた。


俺の言葉が終わった瞬間、3人ともフリーズした。

ノーラが目をぱちぱちさせたまま、確かめるように言う。

「——はあ!?もしかして、わざとこいつがいる所まで私たちを誘導したってこと!?」


さっき林の中で、このバカみたいに強そうな魔力を拾った瞬間、進む方角は決めていた。

一体くらいなら、むしろ好都合だ。

新しく手に入れたこの杖も試してみたいし、ついでに貴族どもの前で手っ取り早く実力を見せつけられる。

ここでド派手に一発決めれば、世間での俺の評価がまるで変わるかもしれない。

そんな機会を見逃すなんて、もったいなさすぎるだろ。


「さっき歩いている時、スカウトやら昇格やら面倒な話は受けたくないから、自分の力は見せびらかしたくない、みたいなこと言ってなかった?」

ノーラが腰に両手を当てて、むっとした顔で俺をにらみつけてくる。


「くそ、あれ聞いてたのかよ…

あれは一種の演技というか、テンプレ思考をしてみただけていうか、それは気にしなくていいんだよ!」

「あんた何やってんの!?

出発する前に『俺が魔力探知するからお前はしなくていいよ。温存してな』とか言って!

これのためだったってこと!?」

ノーラの表情は驚きから怒りへ完全に切り替わり、指先を尖らせて迫ってきた。


「これは護衛クエストなのよ?戦う必要はないの。

依頼者が乗っているこの馬車を目的地へ送り届ければいいだけ!

あんたのくだらない功績意識のため私たち全員が危険な目にあってるの分かってる?」

「くだらなくねえよ!

ていうか、言ってもあいつ、俺からしたら雑魚だし。

今回みたいなチャンスはそう何回も来ねえかもしれないだろ。

もういいからお前は黙って見とけ。

俺が一瞬で終わらせてやる。」


ノーラの反対を振り切り、俺は一人で牙竜の真正面へと踏み出した。

「ちょっと、ナオヤ!」

背後からノーラの制止が飛ぶのと同時に、牙竜の首がギギ、と音を立てるようにこちらを向いた。

鈍い光を帯びた瞳が、まっすぐ正面の人間を捉える。


「あー!何やってんだ、あいつ!」

馬車の方で貴族たちが一斉に騒ぎ出す。

「おい、もうあいつこちらに気付いてしまったぞ。なんとかしろ!」


「はあ。」

とノーラは肩を落とした。

「な~んか怪しいと思ってたのよね。

急に献身的なことを言い出すし…

探知もあいつに任せるんじゃなかったわ。」

加勢を求めるように、二人の方に向き直った。


「カイトとイオナもあいつになんとか言ってよ!」

「いや~、ハハハ…

そうだよね…

ごめん、兄さんが無茶するのは昔からで…」

海斗は苦笑いをしながら自分が止めきれなかったことを悔やむように、ノーラに頭を下げる。


「もうバレちゃったらしょうがないじゃない。

それに、よく考えたらドラゴン系だと、あいつも牙とかで魔力探知を持っているかもしれないわ。

この距離ならこちらが逃げようとしたときに不意打ちを食らう方が危険よ。」

イオナは無表情のまま指先を顎に添えて、起こってしまった現実をただ受け入れて淡々と状況を分析している。


「そうかもしれないけど…!

も~!あいつを甘やかすとろくなことが無いのに!」

ノーラは口をとがらせながらも、海斗たちと一緒に牙竜の前へと駆け出していった。


俺は三人を横目に、海斗の方へあごをしゃくってみせる。

「今日お前の仕事はないぜ。

俺がすぐ終わらせるからな。」

牙竜の方へ振りむこうとした一瞬。

「おい、デカブツ!今から俺がっ…!」

啖呵を切ろうとした俺の隙を突くように、牙竜がとんでもない勢いで牙を突き出してくる。


…あ、やべ。あたっちゃう。


「兄さん危ない!」

海斗は瞬きする間もなく俺を抱きかかえたまま、牙の射程から一息で抜け出した。

ヒュン!と風を切る音が空気を裂く。

海斗の動きの速さに、馬車の方で貴族たちがどよめいていた。


「大丈夫?兄さん。」

「啖呵くらい切らせろってんだ。

こいつもう許さねえ。

ってか、お前も余計な事すんな。助けたつもりか?俺は避けれたし。」


「ナオヤ油断しすぎ!

SS級以上かもしれない魔物なのよ!?

前みたいに“悲惨なこと”になったら命に関わるかもしれないんだから!

今回はちゃんとして頂戴!」

「くそ、ノーラめ。

俺がいつも頑張ってないみたいな言い方しやがって。」

正論を浴びせられ、口では毒づきながらも無意識に肩がすくんだ。


牙竜は、首を巡らせて馬車の方をぎろりと睨んだ。

「おい、こっちに来るぞ!」

貴族たちの悲鳴が上がる。

素早く動き回っている俺らより、先に足の止まっている馬車を片づけた方が楽だ、と踏んだらしい。

「やばい、やばい!おい!助けろ!」

巨大なしっぽがしなり、馬車ごと薙ぎ払おうと振り上げられる。

その軌道にサッ、とイオナが飛び込んだ。

軽やかな身のこなしながらも、可憐な見た目からは想像もつかないほどの重いハイキックを叩き込み、しっぽの勢いを正面から受け止める。


ドンッッ!

爆発みたいな衝撃音が周囲に響く。


馬車など軽く吹き飛ばすどころか、小さな砦なら土台ごと叩き折りかねない威力だ。

「重い……!」

イオナは数歩分押し込まれながらも、その一撃をかろうじて受け止めていた。

「ひーっ!」

貴族たちは恐怖でいっぱいになり、身を寄せ合って縮こまっている。


スウウウウッ——。

牙竜はそのまま大きく息を吸い込んだ。

今度は氷の息吹だ。

噛みしめた牙を介して吐き出されるそのブレスには、氷に加えて紫色の竜属性が付加されている。

ノーラがすぐ前に出て、周辺に半球状の防御結界を広げた。

吐き出された息は結界にぶつかり、左右へと裂けて流れていく。

流れた先では、周囲の岩や草も一瞬で白く凍りつき、ひび割れながらボロボロと崩れ落ちていた。

「へ~、こんなのもあるのね。なかなかやるわ。」

ノーラは口調こそ余裕ぶっているが、その結界も長くはもたなそうだった。

結界の表面には細かいひびが走り、氷の息がじわじわと染み込んでいく。

ブレスが結界にぶつかるたび、軋むような耳障りな音が、やつに見つかる前に逃げるべきだった、という後悔の念をさらに強くした。

「やばい、やばい!」

「俺たちここで死ぬ…のか?」

貴族たちの青ざめた声が次々と漏れる。

逃げ場を失った馬はぶるぶると怯えている。

ノーラも疲労を隠しきれていない表情だ。


一度は何とかしのげたが、息つく暇など与えないと言わんばかりに、牙竜は再び大きく息を吸い込んだ。


「——行くよ、兄さん!」

張りつめたこの空気を断ち切るように、海斗が俺の方へニコッと笑った。

そのまま牙竜の懐へ飛び込む。

目にも止まらない速さで竜の間合いをかすめるたび、ヒュン、ヒュンと風を切る音が耳に刺さる。

牙竜は視線も牙も、完全に海斗ひとりへ引き寄せられていた。

腹から足へと繰り出す一撃一撃は、大したダメージにはなっていないようだが、動きに追いつけない牙竜はあからさまに苛立っている。

「目で追えねえ、これが人間の動きか?」

貴族たちは目が点になったまま立ち尽くしている。


『今よ!ナオヤ!』

ノーラとイオナが同時に叫んだ。

「分かってる!」


「——燐灯」


杖をぐるんと回し、一言そう唱えた瞬間、目の前に青白い火球が膨れ上がった。

メラメラと燃え上がる、直径三メートルはあろうかという火球。

その熱量にあおられて周囲の風がざわつくように吹き荒れる。


貴族たちは瞬きもせず、理解が追いついていない目つきで俺を見つめていた。

そのうちの一人が口をあんぐり開けたまま、かすれた声を漏らす。

「バカな!たかが燐灯でこの大きさ……!そんな魔力、存在するはずが……!」


—————————

「うおおおおっ!」

俺は牙竜の方へ向き直り、前へ体ごと踏み込みながら杖を振り炎を解き放った。

放たれた火球が風を裂きながら、一直線に牙竜へ迫っていく。

海斗を追い切れず苛立っていた牙竜は視界いっぱいに膨れ上がった炎を前に、わずかに動きを止めた。

「うおおっ、すげえ!いけぇ!」


轟音の中、馬車の方から届くそんな歓声とは違う声がかすかに聞こえた。

「…オヤ、危ない!」

「え?」


牙竜に火球が当たる直前に両手に違和感を感じた。

杖の芯が熱を持って、握った手のひらがじりっとしていた。




————————————————————————————————————————————


「マスター!キングズ・ハイボールのゴールドリーフトッピングで!」

「はいよぉ!」

景気よく返事したのは、胸板のぶ厚いゴリラみたいなマスターだ。


ここは俺らのホームタウンにある酒場。

今夜は四人で派手な打ち上げをしに来たってわけだ。


俺は今、とても気分がいい!

なぜなら!貴族共が今回の件を早速、今日の新聞に載せてくれるという話らしい!

SS級超のモンスターを仕留めた俺への感謝と敬意をこめてという意味だろう。

俺単独での一撃が決定打なったことが活きた。

やっとこれで俺の実力が世間に知れ渡るな。


…いや、もちろん本音を言えば世の中に俺の力がバレるのは避けたい。

むしろ、本来フラグとしては最悪に近い。

俺クラスになると変に期待されたり、余計な依頼を押し付けられたり、ろくなことがないのは目に見えてる。

例えば、まずギルドが「あんたがいてくれないと困るんだよ」とか言い出して、面倒な依頼を真っ先に回してくるだろうな。

貴族の屋敷に呼ばれて、晩餐会だのワインだの高級料理だのをこれでもかと食わせられるのも迷惑だ。

ギルドの受付嬢や女冒険者に「ナオヤさんって実はすごいんですよね?」なんて目を輝かされても、単純に気疲れする。


だが、もう今回みたいなケースは仕方ないだろう。

派手にやってしまったのは事実だし、勝手に記事にされる分には止めようがない。

うん、しょうがなかった。

…いや~、しょうがない!


「あんたちょっと期待しすぎじゃない?

ニヤつき過ぎ。

ナオヤいつもこのパターンじゃない。」

ノーラが冷たく口を挟む。

「フフ。嫉妬か?俺が今まで評価されなかったのがおかしかったんだ。」

「はあ。バカみたい。

ていうか本当に覚えてないの?」

「覚えてるさ。俺が軽く呪文を放っただけで、SS級超の牙竜が骨も残さず消し飛んだことぐらいな。」

俺は調子に乗って続けて喋った。

「今日は俺のおごりだからな、派手に祝ってくれ。

ついに最強の魔法使いの実力が異世界中に知れ渡るぞ!

ハハハハ。」

まあ、確かに調子こいていたからかクエストの最後の方は正直あまり覚えていない。

だがあいつを倒したことには変わりない。


…さっきから周りの客共がチラチラとこちらを見ているようだ。

視線を感じる。

どうやら、俺が“俺”だと気付かれてしまったかな。

いや、参ったな。(絶頂)

そんなに見つめられたら困っちゃうよ。


ノーラは椅子の上で、床に届く気配のない足先をぶらぶら揺らしながら、心底あきれた顔でそっぽを向いている。

やがて椅子の上に立ち上がると、前足をぐっと伸ばして、四人掛けのテーブルに肉球をちょこんと乗せ、顔だけひょいっと出した。

尻尾をくいっと振って机の隅のメニューを引き寄せ、ぱらぱら眺めたのちにオーダーを告げた。

「マスター!黒ビール2つで!」

「お前、ネコが酒なんて飲むなよ。しかも2杯も?」

「違うわよ。

1つは海斗のだし、私ネコじゃないから。

魔獣だって何回も言ってるでしょ。」

「強がったっていいことないぞ。」

「うっさいわね。いい加減にしないと怒るわよ?」

「は?何怒っちゃってんの。

ちょっと冗談言っただけなんだからマジになるなよ?

器小さいなあ。」

「はあ?」


「私は花蜜リキュール。

とりあえず三杯分、先に作っておいて。」

…イオナ、それ一人で飲むの?

花蜜リキュールといえば、アルコール度数が30%は超えている酒だ。

端喧嘩している俺らを尻目にイオナがさらっと注文した内容に、二人ともすっかりあっけにとられてしまった。


「へいお待ち!」

「おう!」

4人分のドリンクが席に届いて俺はキングズ・ハイボールを一口、喉へ流し込んだ。

「プハー、いや、美味いわ。仕事終わりは格別だね。」

「ナオヤ。まだカイトが来てないわよ。」

イオナが静かにたしなめた。

「ごめんごめん、ついね。」


ほどなくして、街で買ってきたであろう夕刊を片手に、海斗が遅れて席にやってきた。

「兄さん買ってきたけど、本当に読むの?やめた方がいいんじゃ…」

「お、待ってました!じゃあ改めて乾杯しますか。」

ノーラは、なんでこいつが仕切ってんのよ、と言いたげな顔をしている。

俺は椅子の上に勢いよく立って大きく深呼吸した。


スー、はあ。

ゴホン、と咳払い。


「えー本日はお忙しい中、皆様お集まり頂きありがとうございます。

今回のクエストも色々ありましたが、無事に完了することができてなによりです。

えー、例によって長い話は省略いたしまして、今日は俺の奢りなのでね。

各自好きなだけ食べて、好きなだけ飲んじゃってください。」

俺は腑抜けた顔で、“それっぽい乾杯の前置き”を雑に並べた。


「それでは皆さん、乾杯~」

——と、ここまで言ってから、へらへらした声を引っ込める。

わざと間を置き、真っ直ぐな声で言い直した。

「……じゃなくて!」

「乾杯。って、え、乾杯じゃないの?」

一人、先走ってしまったイオナが戸惑いの表情でこちらを見た。


「違うだろ!

今回のクエストの成功はそんな適当な乾杯じゃ済まされない、大事なことだろっ!

思い返してみてくれ。

これまでの俺たちパーティの不遇の歴史を!

俺が“運悪く” 地図を上下逆に読んだり、魔力残量を確認せずに大技を撃ったり、“昼なら安全”と根拠なく信じたり、魔法の距離感を読み違えて庶民を巻き込んだり、といった偶然の不幸に見舞われてきたせいで、クエストも上手くいかず、いつまでたっても俺たちのパーティランクは上がらなかった。」


「…思い当たる節が確かにあるわね。」

「どれもこれも全部あんたが勝手にトラブル起こしただけじゃないの。」

イオナが頷き、ノーラは切り捨てるように言った。


「だが、それらのトラブルというか、失敗は俺らの実力不足ではなかった。

世間が俺らの実力を不当に認知しないからだ。そういう不平等な条件、環境の中で戦ってきたのだ。

きっと、俺らの実力を恐れたギルド長の陰謀があるに違いない。

自分の身内に『女神の祝福』を授けたくて将来有望なチームの印象を操作しているんだ!」


「完全に被害妄想ね。」

ノーラは眉ひとつ動かさない。

「ハハハ…」

海斗は苦笑いで受け流したが、わずかにため息が漏れている。


「しかし、そういった逆境の中でも今回、ついに大金星を挙げることができた。

素晴らしい。エクセレント!

ランク5の緊急クエストを文句なく成功した。

これでギルドも俺らのことを再評価せざるを得ない。

ついに、俺らの苦労が報われる瞬間が来たのだ。」


胸を張って言い切ると、俺はそのまま気分よく“解説モード”に入った。


「俺と海斗が元いた世界には『ガシンナメタン』という言葉があってだな。

この言葉の意味は、『目的の達成のために、苦労や困難を我慢して耐えること』なんだ。単なる努力じゃなく、『つらい思いを抱えたままでも、目標を見据えてじっと我慢する』といった強い『意志』を感じさせる言葉だ。」


俺はどや顔で言い切った。


「『ガシンナメタン』…なんだか少し語呂の悪い言葉ね。」

イオナが首を傾げた。


「…兄さん、多分、それを言うなら臥薪嘗胆だと思うよ。

『臥薪』は『たきぎの上に寝ること』、『嘗胆』は『苦い肝をなめること』を意味していて、どちらも、わざと不快な思いをして、自分に『忘れるな』と言い聞かせるような行動なんだ。つまり、苦しみを自ら体に刻むことで、強い決意を保つとか、そういうニュアンスの言葉。」

「あ~、なるほどね。」

ノーラも小さく相槌を打った。


振り向くと、しかめっ面した俺を察知した海斗は小さく手を立てて「ごめん」の合図をした。


「と、とにかくだ!

いいか、今日の成功は“たまたま”じゃない。

俺たちがここまで積み上げてきた分が、やっと形になっただけだ!

これからは同じことを、もっと大きく、もっと派手にやる!

今夜はその最初の祝杯だ。」


ここまで畳みかけるように喋ってきたのに、俺は次に言うセリフを考えると、さっきまでの勢いが切れ、照れ隠しみたいに視線を彷徨わせた。

「あと、これは言う予定はなかったんだが、その、なんだ、これまで済まなかった。」


「何が?」

ノーラは真顔のまま、きょとんと問い返した。

「“みな”まで言わせるなよ!

俺がすこーしだけドジしてお前らに迷惑をかけてきたことだ。」

「自覚あったんだ。」

「おい!言っとくが、俺はみんなのためを思ってやったことがほとんどなんだぞ!」

「なるほどねェ。」

「はい、もう謝った。これでいいだろ!

もう、トラブル続きの旅はこれで終わり。

これからは単純だ!

パーティランクを上げる!

女神の祝福を受ける!

魔王を倒す!

そして、俺は勇者になる!

お前らがあの直哉のパーティにいたメンバーなんだ、と誇らしくなれるような、そういうチームにして見せる!

だから…!」


勢いで押し切った直後、急に歯切れが悪くなり小声でこう言った。

「だから、俺とこれからも一緒に冒険してくれないか。頼む。」

つい本音が出てしまい、さっきまでの熱が引っ込んでしまった。


俺の言葉が宙に浮いたように、沈黙が流れた。


…やべ、これは本当に言うつもりじゃなかったのに。

もっと論理的に、合理的に今回のクエストで成功した後の方が謝りやすいと思ったから、今までの俺へのヘイトを軽くするために謝りたかっただけなのに!

取り合えず、謝った事実だけ作ってその後はノリよく乾杯にしようって俺の作戦が…。

めちゃくちゃ気まずい空間に…


—スッ


静寂を破る様にイオナは無言で、かつ、迷いのない動きでグラスを持ち上げた。

グラスを掲げたその高さが、意思の強さを表しているのだろうか。

その所作だけで「当然でしょ」と言われた気がした。

「イ、イオナ…。」

「全くしょうがないんだから、」

とノーラも遅れてグラスを上げた。

魔法でふわりと浮き、イオナのグラスへ自分のグラスを寄せた。

「もちろんだよ、兄さん!」

海斗も迷わず頷き、グラスを掲げた。


…まじかよ、こいつら…いいやつだな。


胸の奥がふっと緩んで、俺は思わず笑みを漏らした。

「よーし、ここに宣言するぞ!

俺は必ず2代目の勇者になる!

これからのパーティの未来、新しい一歩に乾杯!」

『乾杯!』


カンッ!

乾杯の甲高い音が店内に響いた。

俺はグラスを一口あおると、テーブルの新聞を両手でバーンと広げた。

皆の視線が、一斉にその見出しへと吸い寄せられる。


「ウププ、ニャハハハハハハ!!」

ノーラは堪えきれず、顔を歪めて下品に笑いだす。

俺は思わず叫んだ。

「な…なんじゃこりゃ~!!!」


—————————————————————————————————————————————


『100年ぶり!

魔法による自爆!

勘違いの勇気で自爆!

自爆して依頼人の荷物を燃やした魔法使いナオヤ氏にギルド長も前代未聞!』


『アエリス街道で貴族アルマン殿一行の護衛にあたっていたギルド所属ナオヤ一行が、図鑑未登録個体のドラゴン系高位魔物(牙竜)を確認した。退避も可能だったとみられるが、同パーティは交戦。魔法使い直哉が新調した杖に過剰な魔力を込めて詠唱した結果、魔法が暴発し自ら負傷、さらに護衛対象の馬車と積み荷の大半を焼失させた。牙竜は他メンバーの支援で撃退され、依頼人側に死者は出ていない。ギルドは経緯を調査中。ナオヤ氏は交戦直前、“実力を見せる好機”などと語っていたという。』

(...本文が続く。)


—————————————————————————————————————————————


「ニャハハハ!堂々と表紙一面じゃない!」

ノーラはテーブルを叩いて大爆笑だ。


俺の顔は耳まで真っ赤になってしまっている。

「ま、魔物は俺が倒したんじゃねえのか!?」

「えっと…魔物は僕たちが倒したよ」

海斗が、気まずそうにグラスの中身を見つめながら答える。

まるで意味が分からず口をぱくぱくさせている俺に、イオナがさらりと言葉を足した。「あなたが暴発でやられた所をノーラが傷を治してあげてたの。覚えてないの?」

「これは傑作だわ!100年間これまで現れなかったレベルとは御見それいりました。ニャハハハハ」


…はあ!?自爆ってそんな、俺は絶対にそんなことしてないぞ!

『ピピ!称号「100年越しのバカ」を獲得しました!』

ギルドから支給された紋章石がポケット内でキラッと光り、店中に響き渡るような大音量で称号獲得のアナウンスを垂れ流した。

周りの客が一斉にこちらを向く。

ざわざわと、小声のひそひそ話があちこちから聞こえてきた。


「おい!なんでこんなでかいボリュームで喋るんだよ!

いつも勝手に実績を読み上げやがって。

そもそもなんでこれボリューム調整できないんだ!?」

俺はポケットから紋章石を取り出し、出来ないとほぼ分かっていながらボリュームを下げる方法を必死に探った。

「ハハハハハッ!…やばい息できない…(笑)」


『ピピ!不名誉な称号を100個手に入れたので「不名誉称号ハンター」の称号を獲得しました。』

『珍しい称号です。ネームタグ称号に設定しますか?』

「いや、しねーよ!」

『かしこまりました。現在のネームタグ「万年ランク1のくせに口はSS級」は変更しません。』

「元々のそれもおかしいだろが!」

「…よ、よじれる…お腹が…苦しい(笑)」


やっとの思いで笑いを収めたノーラがテーブルの上に座りなおした。

「はあ~。笑い過ぎて喉乾いたわ。

へいマスター、『キングズ・ハイボール』くださーい!

…あ、『ゴールドリーフトッピング』で!…ハハハハハ!」

「てめえ~!!こけにしやがって!」


俺はイオナの方へ向き直り、すがるような声で問いかけた。

「イオナ!イオナは俺が頑張ってるところ見てたよね!?俺の魔法すごかったよね?」

「そうね…いや、ごめんなさい、今回は正直だめだったかも…クス」

イオナは口元に手を当てて、必死に笑いをこらえている。

「さっきの乾杯の時は一番にグラス掲げてくれたじゃん!あれは今回の俺の活躍を認めてくれてたってことじゃないの?」

「えと、それは早くお酒が飲みたくて…」

と苦笑いした。

…そんな、イオナまで……ガーン。


「兄さん、次は頑張ろうよ。僕も協力するし!」

うなだれている俺に、追い打ちのように、海斗が明るい声でガッツポーズを決める。

「お前はうるせぇ!黙ってろ!」


その時、ガラッと店の扉が開く音が店内に響いた。

「あ、姐さんいるじゃん!」

振り向くと、店の入り口の所に肩幅の広い背の高いイケメンが、軍服じみた服を着てドヤ顔で立っていた。

背後には、ゴリラじみたむさくるしいおっさんと、治癒術師風のローブ姿の女性たち、他にも十人ほどの面子を連れてぞろぞろと店に入ってくる。


「新聞見たよ。見出しにはなんかずいぶんな書かかれ方してててウケたけど。

SS級超のドラゴンを倒すなんてやるじゃん。

流石姉さん。」

「まあね。私たちにかかれば、こいつも大したことなかったわよ。

ていうか、あなた達こんなところで油売っていていいの?

私がいなくなったからと言って、サボってたらだめよ?」

ノーラはパーティ加入以前は、アグニアの軍隊組織の元部隊長だった。

連中は元同僚で、新聞を見て脱退後のノーラの活躍を喜んでくれている。


少し後、今度はイオナのお母さんが店に来て、旅の現状報告を海斗含む3人で色々雑談しているようだ。

いつも無表情気味のイオナが微笑みながら会話している。

俺らパーティと一緒に旅に出て、しばらくぶりの帰郷なのでお互いの再会が嬉しそうだ。

俺と異なり、海斗は異世界ではこの村がふるさと、第一の村なので面識はあり、一緒に仲良く話している印象だ。


「え、あれ、カイトさんじゃない?」

「あ、どうも。」

「キャー!本物のカイトさんよ!ほら、こっちこっち!」

「え、どれどれ!?」

「実物はこんなにかっこいいのね~。」

海斗はあっという間に女性ファンに囲まれた。

ここは俺らパーティのホームタウンということで、海斗の容姿とあのスピード全振りの戦い方に惚れ込んだファンがやたら多い。

一度身バレすると、あいつは毎回のように追いかけ回されて、全力で逃走コースだ。

今回も店の外まで追いかけれている。

本人は人見知りなので、少ししんどいと言っていた。


一方、俺は気付けば店の端っこで寂しく酒を飲んでいた。

…くそ、面白くない。


先ほどまで店に来ていた連中が引き上げ、ようやくひと息ついた頃、今度は入れ替わるようにギルドの職員が姿を見せた。

「おい、ナオヤはいるか。」

「なんだ!俺は今不機嫌なんだ。」

「一緒に来い。お前にギルドから招集命令がかかっている。」

「行かねーよ!絶対嫌なことじゃん。

なんでこんなに辛い目にあった後に、また辛くならなきゃいけねーんだよ。」

「口答えするな!これはギルドに所属している以上、強制の招集だ。」

渋々、ギルド職員に背中を追って外に出た。


「行ってらっしゃーい。」

ノーラの気の抜けた声で、ひらひらと手を振った。

「…大丈夫かしら」

イオナは不安そうにぽつりと言った。

「ほっときゃいいわよ、あんなバカ。

いつになったら学習するのか。

ていうかおもしろくて馬鹿笑いしちゃったけど、これってだいぶまずいわよね。

ギルドの得意客を怒らせちゃったし、私たちにも制裁とかあるのかしら。」

キングズハイボール(ゴールドリーフトッピング)入りのグラスを煽りながら、ノーラはそう言った。


「この記事、後ろの方よく見るとナオヤだけじゃなくて私やノーラ、カイトもだいぶひどい書かれ方されているわね。

私のことは無口、無表情で怖い、魔物が人に化けてるんじゃないか、

海斗はあの爽やかな笑顔が逆に怖い、“人を安心させて油断させるタイプ”

ノーラは性格悪い凶暴ネコとか。ひどいわね。」

「…あなたも眉一つ動かさずよく淡々と自分らへの悪口を読めるわね。」

「所詮、私たちのことを良く知らない他人が付けた評価じゃない。」

「憂さ晴らしはする相手はナオヤだけにしときなさいよね~全く。」


少しの沈黙が流れた後、イオナは直哉が飲んでいたグラスの方を見て思い出し笑いをして、少し微笑んで話し始めた。

「でも、私、ここに入れて良かったわ。毎日楽しいもの。ノーラは違うの?」

「あいつがいつもバカしてるだけじゃない。世話するこっちの立場も考えてほしいわ。」

「でもさっきもすごい笑ってたじゃない。」

「これくらい当然だわ。アグニアの部隊、辞めて来たんだもの。退屈なものだったら許さないわ。これからも私を楽しませ続けてもらわないとね。」

ノーラは偉そうに両手を腰に当ててふんぞり返ってそう言った。

「なにそれ(笑)」

ノーラの偉そうな言い分が可笑しくて、イオナは堪えきれず口元を綻ばせた。

釣られるように、ノーラも小さく鼻で笑った。


少しした後、海斗が息を切らせながら、店の入口へ戻ってきた。

どうやらファンをまいて戻ってきたようだ。

「あれ、兄さんはどこに?」

店内を見回すように、二人へ聞く。

「ギルドの職員へ連れてかれたわよ。」

「え、兄さんが?」

外へ兄を追おうとして店の入り口まで駆け足で行った海斗の前へ、ギルド職員が外から戻ってきた。


「パーティでそろっているのか、お前らも来い」

「なんで?」

「お前らパーティの存続に関わるランク降格の話だからだ。」

『ええ!?』


初めて投稿します。感想あればお待ちしてます。

本文には書ききれないので詳細なキャラ紹介は下記に。


【佐伯直哉】

現実世界では40歳の引きこもりニートだったが、電車のホームに転落し、そのまま轢かれて転生、異世界では17歳の少年として目覚めた。

黒髪で体格は平均、街着をそれらしく着崩している。

性格は基本的に愚か。

失敗ばかりの人生だったが、チートステータスで転生したことにより異世界に敵はいない…はず。


【佐伯海斗】

現実世界では37歳、妻子持ちの消防士。直哉の弟で、同様に電車に轢かれて少年に転生した。

身長は平均より少し低めだが、服の上からでも分かる細マッチョで金髪。

モテるけど、人見知り。

でも身内にはお喋り。

世間的にはクズな兄を尊敬している唯一の人物。

異世界では戦士として活躍しており、兄と違い飛びぬけたチート能力はないが、素早さが強み。


【イオナ・フェルディア】

異世界の住人。武道家。

魔王に恨みを持っており、討伐のため旅に出た。

現在は直哉のパーティに加入している。

年齢は20歳で身長は平均より少し大きめ。

スタイルが良く、顔も綺麗。

言葉数は多くなく、無表情のことも多いが、芯が強く、決めたら迷わない。

何事もすぐに覚える天才肌だが、それゆえの奇人でもある。


【レオノーラ・グリム(ノーラ)】

異世界の住人。治癒術師。

黒い毛並みと緑の目をした、小柄な猫の姿の魔獣。

人語を話し、治癒系の術を扱う。

口は辛辣で容赦がないが、礼節そのものは守るし、いざという時は誰より現実的に動く。

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