雪道
ピーッ ピーッ
ガソリンメーターの横に、氷の結晶マークが点いた。
速度を落とし、融雪剤が撒かれた高速道路を慎重に走る。
現在時刻は23時41分。
「にしても、あのシーンほんと良かったなァ——」
映画館帰りの独り言。
助手席には、2つのぬいぐるみが並んで座っている。さっき見てきたアニメ映画の主人公たちがクレーンゲームの景品になっていたので、視聴後のノリで取ってきたのだ。
孤独な感想会が開かれる陽気な車内に対して、車外は扉を閉じた冷凍庫の中みたいな様相だ。
片側一車線の峠道をひた走る。
道幅が広くなって、対向車もいないのでハイビーム。
照らし出した前方に……
縦長の黒い影が写った。
落下防止のコンクリ壁よりも大きい、ちょうど今乗っている軽自動車と同じ高さだろうか。
目の端で捉えつつ、車の速度で近づいていくと、すぐにその正体に気づいた。
……人? なんで……?
さながら一般道の縁石で保護された歩道を歩くように、白線の外側を歩いている人影。
迫るにつれ、その人影が女性で、リュックサックを背負っているのだと分かる。
……学生か? 高速だと分からずに迷い込んだのか?
今なお雪の降り積もる高速道路。
彼女の筋肉を削ぎ落としたような細い足では、今にも車道に躍り出てきそうだ。
履き物はローファー、タイツ、スカート……雪国を舐めてるどころか、冬の南国から瞬間移動してきたとしか考えられない格好だった。
凍死するんじゃないか?
見るからに異常事態。
助けたいとは思うがしかし……
ハンドルをわずかに右に切って、膨らむようにして追い越しにかかる。
救助したいとは思う。しかしながら、僕は男だ。
成人男性が知り合いでもない未成年の女子を自動車に乗せるというのは……危ない。
当然、下心は無いのだが、「心の中のことなんていくらでも言い訳できるぞ」と僕のなかの世間が声高に叫んでいるのだ。
仮に一旦、世間の声は無視するとしても、あの子がどう受け取るかは熟考しなくてはならない。
……否。
埒が明かない。
そもそも判断材料が少ないゆえに思考は堂々巡りだ。
もし警察に通報されたりバッシングを受けたりしたら、その時は寒さに凍える迷子の女の子なんて世界のどこにもいなかったんだと、肩の荷を下そう。
そんな投げやりなヒロイック精神に則り、ブレーキを踏んで路肩に停車する。
降りるのも憚られたのでウィンドウを開けて、冷気の待つ世界へ顔だけ出す。
「だいじょうぶー?」
うつむきがちに歩いていた彼女は、顔をあげ、立ち止まる。
こちらをうかがう態度が、完全に不審者に対するそれだ。
無理もない。初対面の男が行手を阻むような位置から声をかけて来たのだから。
「あのー、一応、ここ高速道路なんです。徒歩厳禁なんですよ。なにより事故ったら危ないですし……」
あまりにも向けられた眼差しが氷の如く冷ややかで心が折れたので、敬語にシフトチェンジ。
すると、いくらか信用してもらえたのか、後退りしかけていた足が止まる。
うん、多少なりとも聞く耳を持ってくれればそれで良い。別にむりやり乗せようとは思ってないから。
「一回、親かだれかに電話して迎えに来てもらうことってできますか?」
横向きに出した頭部の右耳へと、雪の粒子が乗る。
つめたくて、くすぐったい。
「……おや……」
濡れた耳に、彼女の言葉が浸透する。
「……」
僕が次の言葉を待っていると、彼女は半歩ほど前に出て、小さな口をさらに小さく動かす。
「……スマホの充電、切れてて……」
……なんとも運の悪い。
「……あぁ、じゃあ、僕のスマホ貸しましょうか」
スマホスタンドからスマホを取り外し、寒空の下に掲げると、テールランプの赤色を反射する丸い瞳孔が、軽自動車とぼくを行ったり来たりしていた。
「……いえ、両親の番号、覚えていないので……」
いまいち信用しきれていない声音と目線。
それらに晒されて、かき氷機にセットされた氷塊よろしく、魂か何かがゴリゴリと音を立てて削れていく感覚に陥る。
致し方ない、するべき忠告はしたしこれ以上は僕が耐えられない。
「そっか。えっと、出口見つけたら早めに下道に戻ったほうが良いですよ。警察に捕まるかもしれないし。ワンチャン凍え死ぬかもしれないんで。それじゃあ、お気をつけて」
我ながら、死ぬかもしれない人を置いていくなんて、ろくでもないやつだ。
恥ずかしさすら覚えて、そそくさと頭を引っ込める——と、ヒヤリとした空気が車内になだれ込んで来た。
「——え、あの、乗れって言わないんですか」
「え?」
聞き間違いかと思ってサイドミラー越しに目を合わせようとするも、雪に覆われていてできない。
もう一度、頭を出せば、彼女は先ほどよりも車に近寄っていて、分かりやすいほど苦悶の表情を浮かべていた。
乗りたい……のか?
「……すみません、今呼び止めました?」
眉根を寄せる彼女の眼球は、しかしながら泳ぐことなく真っ直ぐこちらを見据えてくる。
何かを訴えているか、あるいは真意を見透かそうとしているかのように窺える。
しばらくして、彼女のほうから話しだした。
「……えっと……く、車……の、乗りますか……?」
ん……?
乗ってやっても良いよ、ワタクシほどの者がね。
みたいなことか?
どこの傲岸不遜お嬢様だ?
けれどこの解釈なら、露骨なまでの剣呑な雰囲気にも説明がつく。
いかに己が困っていようと下々に頼るなんてみっともない、お嬢様失格もやむなし。
故にこそ、苦虫を噛み潰して舌の上で転がしたような顔つきにもなろう。
……歳上の者としてスルーすべき、か。
「乗っていきますか?」
僕の質問返しに、こくり。
されど、未だ値踏みするような視線。
「……どうぞ」ガチャリ
開錠音が鳴ると、彼女はためらいつつもゆっくりと車の左側へ回って、意外にも助手席のドアを開けた。
「え、そこは荷物があるから後部座席に」
それだけ訝しんでるもんだから、てっきり後部座席に行くとばかり思っていた。
車内に顔を覗かせたお嬢さんは、死んだ魚のような目でアニメキャラのぬいぐるみを見つめ、一体だけ手に取る。
そこまでして助手席に座りたいのか……
ちぐはぐな言動に対して湧いてきた「不思議な子だなぁ」という感想を胸中に秘めて、咄嗟にバッグとぬいぐるみをひっ掴んで後ろに置く。
何もなくなったシートに、彼女がリュックとぬいぐるみをだき抱えて座ると、助手席はぎゅうぎゅうの鮨詰め状態になった。
……
…………高鳴っていく心臓の音がする
うーん、これ、犯罪かもしれない。
なにも知らない第三者から見たらそんな気がする。
倫理的に許されない緊張感と、本能に準拠した高揚感。
それらが交互に鼓動を打ってくる。
たとえこの愛車がひっくり返ろうとも、未成年に触れることは決してない。ないが……
さりとて、この状況は心臓に悪い。とてつもなく。
サイドミラーの雪を素手で拭い、ウィンドウを閉めつつ暖房の温度を上げる。
「家に帰るところだったんだよね?」
平静を装うあまり、敬語ではなくなってしまった。
だがまぁいい。年下相手にいつまでも敬語を使ってるほうが不審者だろう。
「……はい」
シートベルトを装着する彼女。
閉め切った車内にただよう霙の香り。
それをエアコンから噴き出す暖気が押し流し、循環させる。
「家はどの辺? 住所わかるなら近くまで送るけど」
「……分からないです」
「具体的じゃなくても、市町村名とか。最寄りのコンビニで降ろせるから」
「……xxxx町」
ナビアプリで検索をかけると、県を4つ5つ跨いだ場所が出てきた。交通手段を徒歩に指定すると、踏破にかかる時間は、5日と17時間。
流石にそんな遠方から歩いてきたってことはないだろう。
「ごめん、僕この辺の人じゃないから聞いても分かんなかった。ナビでもヒットしないし……スマホあげるから降ろして欲しいところ入力してくれない?」
なかば押しつけるようにスマホを預けて、ハザードランプを消す。
液晶をスワイプ……タップ……している彼女を乗せて、雪道に戻る。
「今は学校帰り?」
「……はい」
「随分と遅くまで……部活で?」
「……はい。」
「何部なの?」
「……バレー部」
「室内の運動部は遅くまでやってるよね。僕のとこもそうだった。親御さん迎えに来たりしないの?」
「……遅番でした」
でした……?
今日は迎えに来れないってことに後から気づいたのか。
「学校から家は近いの?」
「……そこそこ」
まるで年端も行かない子供のような返答をするお嬢様が、スマホをスタンドへと返す。
画面の表示によると、しばらく道なり。
到着時刻は01時15分……
本当にどこから来たんだこの子は。
「流石にこの時間まで帰ってこないと心配してるんじゃない?」
「……かもしれないです」
「いつも何時くらいに帰ってくるの?」
「……お母さんですか?」
「お父さんでも良いけど」
「……お母さんは、遅くてもこの時間には家にいます……お父さんは、朝方が多いです」
「兄弟はいるの?」
静かに何かがつぶやかれるが、暖房の排気音と車の走行音で霞んでしまう。
何となく否定のニュアンスを感じ取って、曖昧な相槌をつ。
続く、ぼく主催の一問一答。
言葉のキャッチボールをしていないと、うっかりこのまま自宅アパートに直帰してしまいそうなのだ。
トークを必死に繋ぎ止めつつ、運転はゆとりを持って慎重に。
すると、初めて彼女のほうから話題を振って来た。
くぐもった声で。
「……あの、こういう状況って、普通、男の人は襲ってくるものなんじゃないんですか?」
至極、当然の不安だ。
とはいえ、直に聞かれるとは思ってもみなかったが。
不安を解消するために即刻、口を開けたが、それはそれで逆に怪しさが増すだけでは?と思い直して、一旦、お嬢様の疑念を受け入れる。
「えっと……普通なら、そうなのかもしれない。けど、僕は……そうだな。されて嫌なことはしたくないんだ」
誰もが幼少のみぎりに習う、教養の一つ。
「人に襲われたらって想像するだけで、身の毛もよだつ。
自分が容易に想像できる嫌な感情を、他人に抱かせたくない。
だから僕は、君が心配するようなことはしない」
「……つまり、普通の人はされて嫌なこともするような人ってことですか?」
あげ足をとられた。
「うん、そうかも。僕は変わり者だから普通の人の考えは分からないけど」
「……」
こんな暴論を語っていて返事が無いと、濃霧の中を彷徨っているような不安に駆られる。
安心してくれていると良いんだけど……
しばらくの沈黙の後。
「……私も同じ……変わり者かも」
「そうなの……?」
「……たぶん」
……
適当な返答を探し、答えあぐねていたら、生じた空白。
「……あの、このぬいぐるみってニッケですか?」
空白を埋めた声音は、なんだか人生で初めて雪というものを見た時の、あの歓声に似ていた。
「そうだよ。さっき映画の帰りに取ってきたんだ」
「……続編、そういえばこの時期でした……」
「うん、ちょうど今日からだよ。好きなの? ニッケ」
「……はい。ニヒルな感じを醸し出しておいて誰よりも熱いところが」
「良いよね、1でジュリィのために後先考えず駆け出すとことか」
「……はい。ニッケの鼻で笑った後に本音をつぶやく癖、めっちゃ好きなんですよ」
会話に花が咲いている。
そう胸をなで下ろした矢先、
「……すみません、サービスエリア寄って欲しいです」
いわゆる“花摘み”を申し込まれた。
「一番近いのパーキングなんだけど、そこでも良い?」
「……はい」
ちょうど数十メートル先に案内標識が立ってあったので、それに従い、パーキングエリア内へ。
照明用のポールが照らす薄暗い駐車場は、雪がすでに止み、うっすらと残雪に覆われていた。
白線が隠され、他の車もないので、走行そのまま微調整せずに、建物の真正面に停車する。
「はい、着いたよ」
車のロックを解除するや否や、助手席のドアが開く。
雪を踏み締めて建物の出入り口へ、まっすぐ歩む彼女の右手には、ニッケぬいぐるみが。
流石に置いてって欲しかったな……
そう思ってから30分。
降雪はなく、変わらぬ景色に待ちくたびれてきた。
少しの心配が、ウィンドウに反射した半透明の自分の顔から見てとれた。
1人になってから1時間が経った。
さすがに心配が行動に移る。
戻ってこなかったらどう動こうか、というのは30分前からずっと考えていた。
トイレへ向かい、男女に別れる通路の二股から声を張り上げる。
僕らの他には誰もいない。
「おーい、大丈夫ー? 聞こえてたら返事してー。返事が無理なら壁を叩くでもいいから」
僕の声が反射して聞こえる。
それ以外は、なにも返ってこない。
聞こえなかったのか、と過ったが、この狭い建物で木霊するほどの声で叫んだのだから、そんなはずがない。
聞こえた上で無視された……(壁を叩くなども含めて)返事ができる状態にないのか。
もしくは……音は届いているが聞こえる状態にないのか。
いやいや、腹痛がひどすぎて返事どころでは無いのかもしれない。
しかし、痛みで意識が朦朧とし、気絶するという話もネットで見たことがある。場合によっては気絶では済まないことも……
いやでも、そもそも普通にトイレに寄っただけだ。最後に見た後ろ姿も、さほど辛そうには見えなかった。
もう少しだけ待ってみよう。そのうち他の車が来て女の人が乗っていれば、中を見てきてもらうよう頼めるし。
どのくらい待とうかと、スマホを取り出す。
その指先が、かじかんでいたので一度、車へ。
ガチャリ
運転席に腰を下ろして、暖をとる。
戻ってこない彼女が座っていた助手席に目をやっ……
て仰天した。
彼女が持っていったはずのニッケが鎮座していたから。
いつ? どうやって?
ここには建物が一つ。僕は車と出入り口を往復しただけなので、すれ違わないわけがない。乗車中は出入り口をじぃっと監視していたわけじゃないが、流石にドアが開けば分かる。
そして、どこへ?
帰ってきたのはニッケのでっかいぬいぐるみだけ。
彼女はいない。
ニッケが帰ってきた以上、彼女が一度ここに戻ってきていることは分かるが……再び迷子になった……?
そんな馬鹿な。
トイレに持ち込むほど気に入っていたニッケのぬいぐるみを置いて、ここからどこへ行こうというのか。
正直、あのままあげても良いとすら思っていた。
ひとまず、トイレの中で倒れている、という事態ではなかったらしい。ほっと、ひと安心。
しかし、元気で出てきたのなら、なぜここにいないのか。
……イタズラ、か?
そこまで仲良くなった覚えはないが、心の距離が縮まると茶目っ気を見せる子なのかもしれない。
もしや車の陰に隠れて驚かそうと企んでいるのかな、なんて微笑ましい気持ちで、車の外を左回りにチェックする。
薄く積もった雪をかいて、車の下まで覗き込む。
さながら、路駐したトラックドライバーが猫や子供を誤って轢かないようにトラック周囲を、入念に安全確認するが如く——
——そうして気づいてしまったことが、ひとつ。
足跡が、ひとつ。
たった、ひとつ。
僕のだけ。
雪の上に刻まれているはずの靴底の痕跡は、
ひとつとして見つからなかった。
❄︎
「誘拐事件。」
友人に先日の不思議体験を話したら、こう言われた。
「いやだから僕はそんなつもりじゃ」
「ああ、それは分かってる。xx峠だろ? その高速道路が通ってるのって」
「そうだよ」
「あそこ、ある誘拐事件の被害者が見つかって以来、有名なスポットだから」
「あ、そう……」
「確定で霊だろうな。……だからか、さいきん元気なかったのは。
気になるなら、お祓いとか行ってみたら?」
「うーん……そうするわ……」
てな感じの友人との会話がきっかけになって、いろいろ気になった僕はそれから数日間、調べ物をした。
(この時の友人との会話が無ければ、僕は調べることもせず、彼女のことを忘れていたに違いない。)
畢竟、神社へ行くことに決めた。お祓いをしに。
ただし、その前に寄っておこうと思った、あのPAに。
❄︎
駐車場に車を停め、荷物を持って運転席から降りる。
平日とはいえ昼間。片手で足りる数の大型トラックと自動車が建物になるべく近い位置に駐車しており、以前と同じ真正面に停めることは叶わなかったが、まぁ良い。
持参したのは、あの日クレーンで取ったニッケぬいぐるみ。
勿論、供えるためだ。
彼女は高速道路上で姿を現し、このPAで忽然と姿を消した。あんなに気に入っていたニッケを手放して。
だったら、僕にできる供養はひとつしかないだろう。
白い四角い建物の裏手に行き、フェンスの向こうに聳える山を見上げる。
——
彼女にまつわるオンラインの記事をまとめると、『彼女は都市郊外の学校から、田舎道を歩いて帰宅している道中のどこかで攫われ、3日後、東北の山で遺体となって見つかった』ということらしい。
ここからは僕の推測になる。
誘拐を目的とした誘拐犯はいない。
金銭目的なら脅しの電話が鳴るし、人身売買が目的なら遺体は見つかるはずがない。
誘拐の目的がなんだったのか。
なぜ遺体となって発見されたのか。
連れ込まれた車内で、彼女の身に何があったのかは想像に難くない。
両親のインタビューには、『一刻も早く犯人には捕まって裁かれてほしい』と、悔しさが載っていた。
——
彼女の言葉を、頭のなかで反復する。
「……あの、こういう状況って、普通、男の人は襲ってくるものなんじゃないんですか?」
彼女は、自身の過去を肯定したかったのだろうか。
何度もトラウマを再現することで、壮絶な体験を人生単位で薄めて、楽になりたかったのだろうか。
その為に、現世に囚われてしまったのだろうか。
これは僕の脳内で考えた、彼女の心情の可能性に過ぎない。
けれども、無礼にも同情した自分に気づいた。
だから、せめてもの行動に出た。
もし僕に怨念の残滓でも取り憑いているのなら、お祓いをして、その思いを返してあげたい。
もしあの時の会話で新たに未練を生んでしまったのなら、最後にニッケのぬいぐるみを渡してあげたい。
見上げた山は、果てしない。
されど山間、風は申し分ない。
底抜けに青い、春の空に目がけて、力いっぱいニッケを投擲する。
それを季節外れの猛吹雪が持ち上げていった。
ここまでお読みくださり、ありがとう存じます。
何かしらありましたら、何かしらお願いいたします。
以下、登場人物の名前と映画の設定です(ノイズになるかも)。
・主人公の名前は藤齊くんで、
女子高生の名前は北々藤さんです。
・藤齊くんが見てきて、北々藤さんが見たかった映画は『ヌートリア2』。
シリーズ第2作目となる本作は、前作『ヌートリア』の興行が大成功してから約9年の制作期間を経てようやく公開された、ファン待望の一作。
遠い未来、火星にも人類が居住している時代、地球によく似た自然環境を有した未発見の惑星に宇宙船が不時着するところから物語は始まる。降り立った乗組員が調査を進めるうちに、そこは、火星移住の黎明期、人為的な大事故によってポシャった“ノアの方舟”計画の動物たちが漂着した場所だと明かされる。
そんな新たな土地に適応し、動物たちの頂点に立ったのが、知性を獲得したヌートリア。
探索と称してヌートリアの文明を破壊する人類と、蹂躙されまいと抵抗する擬人化ヌートリアの構図は、多くの観客に人類の発展の是非について考えさせた。
さらに、齧歯類でありながら人類に率先して立ち向かう2匹の主人公ジュリィ&ニッケの凸凹コンビは全ての観客に勇気を与えた。
ヌートリア擬人化系SFアニメ。
無印では人間vsヌートリアの対立を描き切り、2では激化した戦争と、両陣営の歩み寄りが描かれた。
余談だが、2のCパートにて、ヌートリアと人類のハーフのようなシルエットが映し出されたことで、続編と和解への期待が高まっている。




