求人広告を巡って
登場人物
誠…主人公
慧…親友
あれから俺と慧は、会うと度々この世界の謎について話し合った。
「なぜ死後の世界がこんなに現実世界に似せて作られているのか? 」
「戦争が起こる必要はあったか? 」
「なぜこんなに現実世界と似ているのに若干のズレがでているのか? 」
「ここは天国か地獄か、それともそのどちらでもないのか? 」
だが、いくら話し合っても疲れるだけで、答えは出なかった。
帰れば家には嫁がいる。
この嫁も代理なんかなぁ。
見た目も、声も、毒舌っぷりも、全部現実そのものだけど、何か違和感を感じる。
少し不気味だ。
何もかもが現実世界と似ているのに何かが違って気持ち悪い。
この違和感の謎を一刻も早く突き止めて見せ…たいんだけどなぁ。
俺達だけでは限界がある。
誰か頭の良い同志を探さなければ。
もう死んでいて、頭が良くて、日本語が通じて、ここら辺に住んでいる人間。
……。
って居るかよそんな適格すぎる人材!!!
っんだぁもう腹立ってきたわ!!
こうなったらもうヤケクソだぁ!! 求人サイトで募集してやる。
「募集内容:共にこの世界の謎を解き明かしてくれる人材
応募資格:一度死んだことがある方
時給:千円
補足:交通費全額負担します。自身の頭の良さに自信のある方で一度死ん でいる方は誰でもご連絡ください。」
これでよし、と。
うん、何度読んでも頭の悪さとカオスさが隠しきれない良い求人広告だ。
怪しい宗教団体だと思われてもおかしくないな。
俺にはセンスや文才というものが欠けている。
よし、慧に作り直してもらおう。
「お前っ、ここまで怪しく求人広告作れるってっ、もはや才能の域だろ」
慧は俺が作った求人広告を見てゲラゲラ笑っている。
「仕方ねぇだろ。俺理系なんだから」
「いやっ、理系でもこれはっ、ないわぁ~」
「うるっせぇ」
「いやぁ~。すまんすまん。はぁぁ笑った笑った」
ぶっ飛ばすぞ。
「で? 俺にこのクソ怪しい広告を作り直せってか? 」
「そ。早いとこやってくれ。お前こういうの得意だろ」
「わーったよ。一週間くれ。そのうちファイル送るから待っとけ」
「へいへい。」
別れ際、慧は言った。
「お前、詐欺師の才能あるわ」
お前、その内その染めすぎてなくなりかけている髪の毛を一本残らず生きたまま引っこ抜いてやろうか。
次回もお楽しみに。




