肇の一歩
登場人物
誠…主人公
慧…主人公の親友
肇…新たな仲間
僕は一度死んでいる。誰にも言ってこなかった、僕だけの秘密だ。
こんなこと自覚してるのは、僕だけだと思っていた。自分はおかしいのかもしれない。そう思っていた。
_彼らに出会うまでは。
「俺達はこの世界が死後の世界なんじゃないかと思うんだ」
「…え?」
慧さんの言葉に思わず困惑してしまった。いけない、平常心、平常心。
「死後の世界…ですか」
「そう、死後の世界。」
慧さんはなんの躊躇いもなく言う。真っ直ぐな眼だ。とても嘘をついてるとは思えない。
まさかとは思うけど、この人達も死んでる?
代理じゃ、ない?
「…慧さんは、あ、誠さんも。もしかして、一度死んでたりします? …ああ、変なことを聞いてるのは分かってるんですけど、でも、仕事の募集内容的にもそうなんじゃないかと思って。」
慧さんと誠さんは少しの間顔を見合わせて、気まずそうに笑った。
「実は、そうなんだよ」
ああやっぱり! やっと同じ人たちに出会えた! じゃあこの人達も気づいてるかな。
…ええい一か八かだ。
「慧さん、誠さん。生者の代理がこの世界にいると言ったら、信じますか? 」
僕が聞くと、誠さんが嬉しそうにうなずいた。
「もちろんさ」
「じゃあ誠さん達も代理のことを…? 」
「ああ、今調べてる最中だよ」
「本当ですか!!」
「ああ…って肇君泣いてる? え、あ、ちょっと慧ティッシュ」
「すいません…嬉しくて…」
「そうだよな。長いこと一人で不安だったよな。よく頑張ったよ」
誠さん達は泣きじゃくる僕を暖かく慰めてくれた。
もう一人じゃないんだ…!
次回もお楽しみに。




