壁
登場人物
誠…主人公
慧…主人公の親友
肇…新たな仲間
「おい誠、こっち片付けろよ」
「ちょい待ち、今服片しとるから」
今日は肇君が家に来る日だ。挨拶もかねて、お茶会を開く。
我が家には嫁がいるため、慧の家でやることになった。こんなきったねえ場所にそのまま客を上げるわけにはいかず、現在大掃除中である。
「到着しました! これってインターホン鳴らした方が良いですか? 」
まずい。肇君からメッセージが来た。
「おい慧! 肇君着いたってよ」
「マジか。とりま玄関で時間稼げ! その間にここ片す」
「おうよ」
その場を慧に任せ、玄関に向かう。
「おまたせ、いらっしゃい肇君」
俺が言葉を発したと同時に、向こうで何かが割れる音がした。「うおお!!」という野太い叫び声と共に。
「こんにちは! …まだ準備中でしたか? 」
「う、うん。ごめんね、遅くて」
あのバカ! こんな時に皿割りやがって。
「いえ、大丈夫ですよ。でも、まだ上がらない方が良さそうですね」
肇君は少し気まずそうに笑う。
…………。
…デジャヴだ! 面接の時と同じ雰囲気が漂っている!
ここは俺がなんとかせねば。
「肇君はラノベとか好き? 」 「おーい準備できたぞ! 」
俺の言葉と慧の声は同時だった。
もうちょっと時間かけて準備してくれても良かったじゃん。
「いやーいらっしゃい肇君。汚い部屋でごめんね」
「とんでもないです! むしろ手間をかけさせてしまって申し訳ない」
「そんなことないよ。さ、これも食べて。遠慮しなくて良いからね」
「ありがとうございます!」
やっぱり良い子だなー。慧と肇君のやり取りを見て思う。俺がこれくらいの時、こんなまともに受け答えできなかったぞ。
「そういえば、慧さんも誠さんも、どうしてあの内容で人材募集してたんですか? 」
表では微笑みを浮かべつつも、内心ドキッとする。
慧とアイコンタクトを取り、俺が答えた。
「その、変に思われるかもしれないんだけど、俺達はこの世界が死後の世界なんじゃないかと思うんだ」
次回もお楽しみに。




