忘れていた過去
「蒼矢…?」
僕はいつの間にか忘れていた過去を完全に思い出した。
「紅葉…」僕は口パクでその名前を呼んだ。
「なんでなんも言ってくれないの?」
そうか、僕が声が出なくなってすぐに紅葉は引っ越したから僕が声が出ないということを忘れているのか。
鞄から紙を出してこう書いた「久しぶり、幼稚園の時ぶりだね。こっちに戻ってきてるならいってくれればよかったのに」
「蒼矢を驚かせたくて! そっか声が出ないんだったね… でもせっかく同じクラスだからこれからもよろしくね」
少し不安だった気持ちが少しだけ楽になった。
一通り自己紹介なども終わり、もうすでにグループが出来上がっていた。陰キャの僕はもちろん独りぼっちだった。生まれた時から内気だったわけではない。声が出なくなってから自分に自信がなくなってしまったのだ。机の上で一人スマホを見ていると紅葉が話しかけてきた。
「今一人? 久しぶりに話さない?」
それから僕たちは、過去のことをたっぷり話した。もちろん僕は紙で、会えなかったことが嘘みたいに…
話しながらやっぱり思った。僕はこの人のことが好きなんだと。白い肌、大きい目、サラサラの髪…
好きなところを話したらきりがない。紅葉は僕のことをどう思っているのかはわからない、しかしこの気持ちをいつかは紅葉に伝えたい、そう思った。
ただのラブコメ好きの高校生がアイデアのままに書いているだけですが、応援よろしくお願いします。