56 姪の末路②
藍方星。
露見の泉。
姪・チカのストーリーは続いている。
ぶわああ~ん……、
場面が変わった。
姪・チカ、
下校途中の姿が映る。
インターホン、押している。
それは不登校のクラスメイト、
カレンの自宅だ。
カチャリ……、
ドアが開いた。
カレンの母親が出てきた。
玄関先、ふたりは笑顔で会話する。
「こんにちはぁっ!
はいこれっ……、
今週分の授業ノートとプリントです」
「ああっ、チカちゃん……、
今週も来てくれたのね?
だけどごめんなさい。
カレン……、部屋に籠もりきりなの。
まだチカちゃんに会える状態じゃなくて……」
「いえいえっ、
気にしないでくださいっ。
早く元気になって学校に来てね!
待ってるからねっ、って……、
それだけ伝えてください」
「この間は修学旅行のお土産……、
それから可愛いメッセージカード……、
とっても嬉しかった。
どうもありがとう……」
「うふふっ、
親友のためなので当たり前です。
来週はバレンタインデーなので!
友チョコ、届けますねっ。
私はカレンちゃんが大好きっ!
いつだってカレンちゃんの味方ですっ」
母親は目頭が熱くなる。
そして心から感謝する。
……娘は今、好奇の目に晒されている。
親身になってくれる人など居ない……。
それなのに、チカちゃんだけは違った。
わざわざ遠回りして……、
何度も何度も足を運んで来てくれた。
優しい心遣い……、身に染みる。
ぶわああ~ん……、
露見の泉、水面が揺れる。
場面が変わった。
……自宅の影像。
チカが帰宅した。
「ただいまっ、
カレンのところに寄って来たよ?」
母親・マコは問いかける。
「お疲れさまっ!
カレンちゃん……、
元気だった?」
「ううん。
まだ部屋に引きこもってるって言ってたよ?」
「あらぁっ、そうなのっ?
それじゃあ良かったっ!
これで成績トップはチカね!
もちろん人気も一番ねっ」
「うんっ、お陰さまでっ」
「うふふっ、
あの加工写真……、
よくできていたでしょう?
作るのに苦労したんだから!
SNSの拡散……、
チカの彼氏たちの協力で捗ったわ。
みんな、すっごく頑張ったのよ?」
「うんっ、ありがとっ」
マコはご満悦だ。
チカの頬を撫でる。
「レイプは……、
未遂になっちゃって残念だったけど?
チカの男友達……、
もっとうまくやってくれないとね?」
「あいつら……、
使えないよね?」
「だ・け・ど!
カレンちゃんは不登校になったし……、
結果オーライねっ」
「うんっ!
目の前の邪魔者、
消えて嬉しかった」
「うふふっ、ママはね?
チカのためなら何だってしてあげる。
やっぱりチカが一番!
あなたは世界一かわいくて、いい子なの。
だって私の娘ですもの…………」
藍方星。
露見の泉。
ブクンッ、ブクンッ……、
赤黒い水面、泡立って音を立てる。
裏陰未來予見図……、
弾けて消えた。
ヒミコン……、
無言で泣き続けていた。
マコの家族……、最悪だった。
おぞましい実態……、
克明に見せつけられた。
クロスは言明する。
「わかったかァ?
放置すれば被害者は際限なく増えていく。
しかし未來は変わるんだゼ?
裏陰のピストルオイラー行使によって!
救われる者が大勢いるんだヨ」
イレーズは肩をすぼめる。
「俺たちはさ?
未來王の弟子だよ?
正しき選択……、
正しき魔術の行使……、
常に求められているんだ。
その意味……、分かるよね?」
「だ……、諾……」
ヒミコンは首肯する。
しかし同時に思い知る。
……私はなんて愚盲なのか!
まだ躊躇いが残っている!
甥と姪の悲惨な未來を知った。
末路を見せつけられた。
それなのに!
ブンタとチカを案じてしまう。
この煮え切らない迷い……、
愚かしさと汚さだ。
粗悪な情……、
まだ片隅に残っている!
ヒミコン、
悄然と天を仰いだ。




