55 姪の末路①
藍方星。
露見の泉。
ぼそり、
イレーズは吐露する。
「ああ最悪、ほんと気分悪い……。
じゃあ次、
姪っ子の十三年後だよ……」
ぶわああ~ん……、
露見の泉の水面が揺らぐ。
成長した姪っ子の影像、浮かび上がる。
……裏陰・未來予見図、十三年後影像。
姪・チカ……、
女子中学生だ。
その容貌……、
母親・マコにそっくりだ。
声や仕草までよく似ている。
表の顔……、ニコニコ笑顔だ。
愛嬌ある人気者、
成績優秀、明るく快活、生徒会・副会長だ。
大人からの受け、バツグンだ。
徹底的に良い子を演じている。
周囲の人間、味方につけている。
その一方、
裏の顔……、抜け目ない。
自分優位な環境を作り上げている。
邪魔者は陥れる。
綺語と虚言を駆使して輪を乱す。
友人関係に亀裂を生じさせている。
チカは女王気質だ。
輪の中心でいたい。
チヤホヤされたい。
周囲が思い通りに動くこと、快感だ。
彼氏らしき男、複数人……?
男友達、取り巻きにしている。
チカにはライバルがいる。
名はカレン、
スタイル抜群の美少女だ。
彼女は成績トップ、
陸上部・短距離走のエースだ。
まさに羨望の的、学園のマドンナ的存在だ。
しかしカレンは今……、
不登校である。
数か月前、
カレンに対する悪い噂が広がった。
……カレン、ふしだらな悪女らしい。
パパ活をして大金を稼いでいるらしい。
複数人の男性と売春契約しているらしい……。
カレンは困惑する。
すべて事実無根だ。
まったくもって身に覚えがない。
全力で否定する。
しかしトドメを刺される。
カレンの裸体写真、ばら撒かれた。
SNSを介して盛大に拡散されてしまった。
当然それはフェイク……、
加工されたものだ。
しかし周囲は半信半疑、
不信の目を向け始めた。
思春期とは非情で残酷だ。
自ずとイジメに発展してしまった。
女子生徒……、露骨に態度を変えた。
カレンを無視する。
聞こえよがしに陰口を叩く。
完全な仲間外れだ。
あっという間に孤立してしまった。
男子生徒……、便乗する。
カレンの顔面にゴミを投げつける。
足を引っかけ、転ばせる。
ビッチ、淫乱、尻軽女……、
笑いながら揶揄した。
それだけではない。
学校での嫌がらせ行為、エスカレートした。
教科書やノート、破られる。
トイレ中、ホースで水をかけられる。
ジャージ、上履き、通学鞄……、
ゴミ箱に捨てられていた。
拡散された加工写真の影響だろうか?
カレンのSNS、荒れに荒れた。
悪意こもる誹謗中傷、あふれかえる。
カレンは片っ端からブロックする。
しかしそれだけでは終わらない。
街を歩けば、他校の男子生徒に絡まれる。
卑猥な言葉、浴びせかけられる。
帰宅途中、見知らぬ男に待ち伏せされる。
付きまとわれ、援助交際を申し込まれる。
腕を掴まれ、車に引きずり込まれそうになった。
そして遂に……、
集団レイプ未遂事件、起こってしまった。
ある日の放課後、
カレンは後ろから羽交い締めにされた。
口を塞がれ体育用具室に閉じ込められた。
男子生徒数人、カレンを取り囲む。
ニタニタ、厭らしい笑みを浮かべる。
カレンに襲い掛かった。
偶然……、
校庭を掃除していた用務員が物音に気付いた。
異変を感じる。
倉庫のドアを叩く。
「おいっ?
そこに誰かいるのか?」
ドンッ!
用務員は突き飛ばされた。
地面に倒され尻もちをついた。
数人の男子生徒が飛び出てきた。
蜘蛛の子を散らすように走り去った。
カレンは救出された。
しかし過呼吸状態だ。
涙を流し、震えている。
制服は無残に切り裂かれ下着が露出している。
白い肌には内出血の痕があった。
迎えに来た母親と帰宅する。
その途端、カレンは発狂した。
ついに心は悲鳴を上げた。
心的トラウマ・PTSDを発症した。
カレンは自室に引きこもる。
不登校になってしまった。
カレンは過呼吸発作を繰り返す。
眠れずに薬に頼る。
夢でも魘される。
ときに発狂する。
精神は限界を迎え崩壊してしまった。
もしや?
意図的罠に嵌められた……?




