53 甥の末路④
藍方星。
露見の泉。
甥・ブンタのストーリーは続いている。
クロスは告げる。
「ヒミコン……、
目を逸らすなァ?
最後まで見届けろォ?」
イレーズは肩をすぼめる。
「陳腐な茶番劇だね?
だけどさ?
これからが本番だよ?」
ヒミコン、
大きく息を吐く。
集中する。
露見の泉、覗き込む。
……裏陰・未來予見図、十三年後影像。
……学園は騒然としていた。
理科室実験室に警察の捜査が入った。
生徒たちは一斉下校となった。
ブンタは帰宅した。
開口一番、
母親・マコに告げる。
「今日さあ、
貧乏人・ジュン、
理科実験室で首吊り自殺したんだよ」
「ふうん? そうなの?
貧乏だから?」
「違うよ。
みんなのストレス発散だよ」
「ああっ、いつもの!
だって、それって、
担任公認でしょう?」
「まあ、そうなんだけどさあ、
今回は面倒なことになったんだよ。
パトカーが何台も来て警察沙汰になったんだ。
そしたら学園側、
真相究明するって急に騒ぎ出した。
イジメに加担した生徒……、
少なくとも停学処分になるらしい」
「ええっ!
停学、って……?
ブンタは大丈夫よね?」
「ああ、それは対策済み。
とりあえずバケツに水を汲んでさあ、
頭から被ったんだよ。
それから職員室に駆け込んで、
先生に助けを求めたんだ。
わざとびしょ濡れになって、
大げさに泣いて、被害者っぽく見せたんだ。
だから加害者候補から外れているはずだけど……」
「あらぁっ、賢いっ!
咄嗟の機転を利かせたのねっ?
さすが私の息子ねっ」
「まあ僕は天才だからね?
瞬時に色んな場面を想定したんだ。
だけどさあ……、
ジュンが乗っかっていた丸椅子……、
蹴り飛ばしたのは僕なんだ。
目撃者もいる。
どうしよう……、
ちょっとヤバいかも……」
マコは目をパチクリさせた。
「うーん……、そうねえ?
それじゃあ、こうしましょう!
正義感の強いブンタはイジメを許せなかった。
それで被害者のジュン君を庇った。
そして一緒に水をかけられた……、って!
この設定でどうかしら?」
「うん!
僕も同じこと考えてた。
それで大丈夫かな?」
「いざとなれば!
ブンタもイジメられてたってことにすればいいのよ!
とにかく言い張るの。
徹底的に被害者に成り済ますのっ」
ブンタは頷く。
安堵の笑みをこぼす。
「それにしてもあの子……、
死んじゃったのねえ?
運が悪いのね?
可哀そうねっ」
「ジュン……、
あいつ、貧乏人のくせに生意気だった。
だって……、俺より成績がいいんだよ?
ずっと前からムカついてた。
だから底辺クズが消えて清々した。
それなのに……、学校も警察も大騒ぎだよ。
一年後とは言え、
僕には大事な受験があるのにさあ、
すげー迷惑っ」
「うふふっ、安心して?
ブンタは何にも心配いらないわ!
受験勉強に集中してね?
全部全部、ママに任せて?」
……ヒミコン、絶句。
ブンタ……、
母親と同じ性格だ。
マコの本性……、
性悪すぎる!
ぶわああ~ん……、
水面の影像が揺れた。
場面が変わる。
古びた市営住宅、映し出された。




