52 甥の末路③
藍方星。
露見の泉。
甥・ブンタのストーリーは続いている。
魔導師・クロス、
裏陰咒を唱える。
シュッ、
水面を指さした。
ぶわああ~ん……、
裏陰・未來予見図……、
事件の真相、映し出された。
……あの日の理科実験室。
ジュンはクラスメイトに囲まれている。
バシャンッ!
バケツで冷水、浴びせかけられる。
あざけりの笑い声、響いている。
ドゴッ、ボゴッ、
殴る蹴る、踏みつける……、
集団リンチの餌食になっている。
ワイシャツがはだける。
首から下……、
内出血の痕がある。
痣だらけだ。
ジュンは立ち上がる。
ふらふら……、
意識朦朧だ。
実行犯たち、
ブンタの顔色を窺う。
次なる指示を仰ぐ。
半裸のジュン、
丸椅子の上に立たされた。
高所の金具に括られたビニル紐……、
その先、輪っかになっている。
……これはまさか?
自殺の強要?
ジュンの目の前に、
輪っかが垂れさがる。
首を通せ! 首を通せ! 首を通せ……!
周囲が囃し立てる。
ニヤニヤ、
ブンタは愉快気に笑っている。
ジュンは観念した。
おずおず、頭を通す。
その姿……、
死刑執行さながらだ。
クラスメイトは爆笑する。
スマホをかざして動画撮影する。
ブンタはご機嫌だ。
明らかに調子づいている。
高らかに声を上げる。
「撮影終了っ、撮影終了っ!
よっしゃ、面白くなってきた。
これからが本番だ!
極秘・ショータイムだっ」
ガシャーンッ!
あろうことか……!
ブンタは丸椅子を蹴り飛ばした。
ぶらんっ、
ジュンは宙吊りになる。
天井からぶら下がる。
ビニル紐、首に食い込む。
ジタバタ、
藻掻いて暴れ出す。
顔は暗赤色に変色した。
ヴヴッ……、
苦し気に喘いだ。
ブンタはジュンを指さす。
腹を抱えて笑う。
クラスメイトは同調する。
大笑いする。
ダラン……、
腕が垂れ落ちた。
ぐったり、脱力している。
ジュンは動かなくなった。
………………?
もしや?
死んだ、か……?
サアッ……!
ブンタは血の気が引いて青ざめた。
きょろきょろ、
辺りを見回す。
床にバケツが転がっている。
素早い動きで水を汲む。
バシャンッ!
なぜか、バケツの水を頭からかぶった。
ガラリッ、
理科実験室を飛び出す。
びしょ濡れのまま廊下を全力疾走する。
駆け込んだのは職員室だ。
ブンタは叫ぶ。
涙ながらに助けを乞う。
「大変ですっ!
理科実験室でジュン君が首を吊っています!
先生、助けてっ!
ジュン君を助けてあげてくださいっ」
……プツンッ、
映像が切れた。
未來予見図、終了した。
ヒミコンは唇を噛みしめる。
ポタリ、ポタリ…、
無言のまま、涙を落とす。
真実は残酷だった。
……被害者生徒・ジュン。
彼は自殺ではない。
殺されていた!
……その犯人、
甥のブンタだ。




