表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/63

21 イレーズのレクチャー①

 藍方星(らんぽうせい)

 露見の泉のほとり。


 赤い作務衣(さむえ)のヒミコン。

 ギンギロリッ、

 水面を(にら)みつける。

 鬼の形相で水中を覗き込む。

 それはもはや。

 お馴染みの光景である。


 …………?


 どうやら今日は。

 いつもと少し様子が違う。

 なぜか。

 ヒミコン、百面相だ。


 険しい顔をした。

 ……かと思えば。

 デレ~ッ、表情が緩む。

 ニヤ~ッ、笑う。

 不審である。

 

 ……スッ、

 

 イレーズが現れた。


 「あのさ……? 

 さっきから何なの?

 そのだらしない顔……、

 思い出し笑い?

 (いや)らしいね?」


 「…………!」

 (うぎゃ、ヤバい)


 スチャッ!

 ヒミコンは慌てる。

 即座に姿勢を正す。


 「すっ、すみません! 

 先日の裏陰(りいん)魔術……、

 思い出してしまって!

 鬼神と霊獣……、

 素敵すぎて!

 ぐふっ、ぐふふふっ…………

 あっ! なにかご用命ですか?」


 「あ、ああ……、

 気味悪くて忘れるところだった。

 あのさ?

 物凄ーく、不本意なんだけど……、

 シップの命令だからさ?

 仕方なく来たんだよ」


 「はあ……?

 それで? 何でしょうか?」


 「だから、さ?

 あんたの指導に来たんだよ。

 レクチャーしてやれって……。

 (シップがやればいいのにさ)

 とりあえず何か質問ある? 

 無いよね? 

 無ければすぐに戻るからさ。

 じゃあ…………」


 ぱあぁっ!

 ヒミコンは瞳を輝かす。

 嬉々(きき)として返答する。


 「うあぁっ、待ってくださいっ! 

 ありますっ! 

 質問、山ほどありますっ!

 それも!

 極等級・魔導師のレクチャーなんて……、

 (最強かよっ)

 大歓迎ですっ」


 ゲンナリ……、

 イレーズは意気消沈する。

 一方。

 ヒミコンは満面の笑顔だ。


 ……宇宙一の天才からのレクチャー!

 イエーイ!

 最高すぎる。


 ……あらら?

 イレーズの眉間、

 深~いしわが寄ってますね?

 ですが。

 申し訳ございません!

 見なかったことにいたします。

 あらら?

 あからさまにガッカリしてますね?

 さすがに心情お察しします!

 ですが。

 華麗にスルーいたします。


 このチャンス……、

 逃すわけには参りません!


 「イレーズ先生!

 (できればたっぷり)

 ご指導、お願いしますっ」


 「ふう……、(仕方ない)

 それじゃあ講義(レクチャー)、始めるよ?」

 

 ……まずは基礎から。


 天の組織図・六世界。

 天界(ヘヴン)三世界、冥界(インフェルノ)三世界。

 併せて六世界と呼称する。

 六世界は遊星の集合体。

 各界層ごとに細分化されたものが集まって組成されている。

 

 天界三世界とは。

 元素(エレメント)神界(ゴッド)人間界(ヒューマン)

 

 冥界三世界とは。

 黄泉界(ターニング)魔界(ソーサリー)霊界(ヘル)


 ここ兜率天は。

 元素(エレメント)神界(ゴッド)狭間(はざま)に位置する。


 未來王時代。

 六世界は繋がっている。

 くるり、

 ひとつの球体になっている。

 つまり、境界(ボーダー)がない。

 天界の神霊獣、魔界の幻妖霊獣……。

 縦横無尽に飛び回っている。


 天界の神々と魔界の神々……。

 そのすべては。

 選ばれし者・『チョーズン』だ。

 ちなみに。

 未來王と魔王は親友だ。


 新時代・未來王時代は。

 すべてが数値化されている。

 死没後は。

 算出された最終数値に基づいて自動転送される。

 それは黄泉界(ターニング)

 もしくは霊界(ヘル)だ。

 現今。

 天界・冥界は協力関係にある……。


 ヒミコンは感嘆する。


 Ⓗ

 「わわっ、

 未來王時代、凄すぎっ!

 天界の未來王。魔界の魔王。

 神々と魔神。神霊獣と魔獣。

 対極が相まみえているなんて……!」


 Ⓔ

 「ま、未來王時代だからね? 

 だけどさ?

 もしもこの時代が終わったらさ?

 すべてはジ・エンド。

 もしも未來王が大宇宙(コスモ)から消え去ったらさ?

 エンドレス地獄の始まりだよ」


 ゾゾゾッ……、

 ヒミコンは戦慄する。

 ブルルッ……、

 悪寒が走った。


 ……続いて。


 天地開闢(かいびゃく)から神々の起源。

 神道的役割、八百万の神々。

 四大文明、世界の神話。

 司教、福音、秘跡(ひせき)、異端。

 無神論、偶像崇拝、末法思想。

 儒教、孔子、孟子。

 仏教、阿羅漢(あらかん)、法門、転生。

 陀羅尼(だらに)陰陽道(おんみょうどう)

 眷属(けんぞく)の役割。


 などなど!


 淡々、端的。且つ、合理的。

 一縷(いちる)の隙すら無い講義(レクチャー)だ。


 ヒミコンは感激しきりだ。


 Ⓗ

 「すごいっ、わかりやすいっ! 

 さすが宇宙一!

 超天才(スーパージーニアス)! 

 ブラボーッ」


 Ⓔ

 「うるさい黙れ。

 じゃあ次は、

 呪詛(じゅそ)の危険性。

 死没後のジャッジメントについて」


 そうして。

 まさかのノンストップ!

 三百分(さんびゃっぷん)が経過した。


 イレーズは肩をすくめる。

 大げさにため息をつく。

 気だるげに天を仰いだ。


 「ああ、もう限界……。 

 喋りすぎた。

 低レベルの相手、疲れた……」


 ヒミコンは深々、頭を下げる。

 精一杯の礼を伝える。


 「もうっ、最高過ぎましたっ!

 感謝感激雨あられですっ!

 ありがとうございましたっ」


 …………。

 (数秒の沈黙)


 Ⓔ

 「あのさ?

 できれば三年位……、

 あんたとは喋りたくない。 

 ……じゃあね」


 すうっ……、


 イレーズは消え去った。


 イエスッ!

 ヒミコンは大満足だ。

 力いっぱいガッツポーズする。


 ……ああっ、サイコーッ!

 合間の雑談までも面白かった! 

 ウシシシシッ……、

 魔導師四人衆の裏話、

 少しだけど、聞くことができた。


 その雑談の内容は次回……、

 おたのしみに!



 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ