冬の朝
今日は金曜 『金曜 女のドラマシリーズ』です。
大掛かりなゴミ出しの波が過ぎると、ゴミ袋はあっけないくらい軽くなった。
考えてみれば和也は……ゴミ出しすらしてくれなかったな。
今までの習慣で、週に2回の収集日にはゴミ袋を提げて部屋を出たけれど、冬場は週に1回でいいかもしれない。
独りになったのだから、何事も節約だ。
部屋の家賃に管理費、水道光熱費……そう言えば火災保険の更新もある。
今までは半分こだったけど、また全額負担。
食費だって割高になるのだろう。
それに
女一人に戻ったのだから……
いざという時の不安もある。
そう、不審者とかの……
だから和也が忘れて行った下着も……このゴミ袋へ突っ込もうとしたけれど、止めてベランダへ吊るしておこうかと考えている。
こうした諸々の事が重しとなって“一歩踏み出す”事がずっとできないで居たのだけど……踏み出してしまえば、まあ、何とかやって行けている。
ゴミ袋を“檻”の中へ入れ
アスファルトをコツコツ叩いて駅へと向かう。
いつも迂回して通り過ぎる
お正月前からあった
誰かが“吐き戻した”後も
何回か降った雨に流されてだいぶ薄くなった。
その有様が
なんだか私の胸の内の
涙の所作を現している様で……
私はそれをひと粒、霜に変えて
少しばかり笑った。
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