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【7】初めての上級悪魔

 ザシュッ!!悪魔の爪から血がしたたり落ちる。悪魔のそばには動かなくなった(むくろ)が横たわっている。


「これで、このダンジョンも攻略か……」


(お疲れ~、ステータスを見てみたらどうだ?)


「そうだな」


〇---------------------------------------------------〇

 名前:苫芝(とましば) 空阿(くうあ)

 Lv:50


 [ステータス]

 HP:4500 MP:3000 力:132 身の守り:129 

 素早さ:93 魔法攻撃:106 魔法防御:101 運:10


 [スキル]

 ・悪魔召喚

 ・陞滂スゥ闖エ?ソ陷ソ?ャ陜

〇---------------------------------------------------〇


(お、ようやく50レベルに達したな)


「……」


(ん?どうした?)


 空阿は俯いて体をプルプルと震わせていた。そして、バッと顔を上げて両腕を突き上げた。


「や、やっと……やっと50レベルになったー!!」


(はいはい、おめでとう)


「……軽いなお前」


(そんなことないさ。心からお祝いしてるよ)


「こ、こいつ……」


 50レベルに上げるまでどんだけ大変だったか……。50レベルになるまで上級悪魔を召喚したらダメ、魔法を教えないとか言われて反対しようとしたけど、こいつに煽られて乗っちゃたんだよなぁ……。


 これまでのカブルとのやり取りを思い出す空阿。


 それなのに!!途中途中でやっぱり上級悪魔を使ってもいいよとか、魔法教えてやるよって言ってきやがる。まぁ、その誘いに乗ったら、負けたような気がして意地でも乗らなかったけどな。


「お前のせいで大変だったんだぞ」


(俺のせい?お前が了承したんだろ?)


「そ、それはそうだけど……」


(まぁ3ヶ月で50レベルまで上げたのはすごいんじゃないか?)


 そりゃそうだよ。レベルを上げるために睡眠時間とか削ったからな。


「で、50レベルになったから、上級悪魔を召喚してもいいし、魔法も教えてくれるんだよな?」


(あぁ、約束だからな)


「じゃあ、さっそく上級悪魔を……」


(まぁ、待て)


 ノリノリで悪魔召喚をしようと思っていた空阿はガクッと体勢を崩した。


「な、なんだよ」


(お勧めの悪魔教えてやろうか?)


「……」


 カブルの助言は怪しいなと思い、どうしようかと空阿は悩んだ。


「……一応聞いておくよ」


(はっ、素直じゃないな)


「俺は素直だよ。お前以外にはな」


(やれやれ……)


「いいから、早く」


(はいはい、まずは本を出しな)


 空阿は言われたように「悪魔召喚」を発動させて、本を出現させた。


「で?」


(62ページを開いてみな)


 言われた通り、62ページを開いてみると、今までと同じようにそこには悪魔の能力や特徴などが書かれており、63ページには魔法陣が描かれていた。


「なんで、この悪魔がお勧めなんだ?」


(そいつはお前のMPで召喚できる悪魔の中で、目的のためにはちょうどいい悪魔だからな)


「なるほど……」


 果たしてこの助言を信じていいのか……。でも、何を召喚したらいいのか分からないしな。


「分かった。この悪魔を召喚する」


 魔法陣に手をかざして魔力を込めていると、魔力が貯まったようで魔法陣が光ると、悪魔が現れた。


 目の前には青い馬に乗り、槍を持った髭の生えた白髪の老人がいた。


「ほう、お主がわしを召喚したものか」


 喋る悪魔を初めて召喚したこともあり、あっけにとられていたが、ハッとすぐに意識を取り戻した。


「あ、あぁ。俺が召喚した」


「そうか……」


 すると、老人は馬から降りて、膝をつき頭を下げた。


「え」


 老人の突然の行動に空阿は驚いていたが、老人はそのまま言葉を続けた。


「わが主よ、何なりとご命令を」


「……」


 老人の言葉に空阿は何も言えないでおり、しばらく沈黙が続いた。


(……まずは質問でもしたらどうだ?)


「……っは。そ、そうだな」


 カブルの言葉に落ち着いた空阿は気になることを質問してみることにした。


「じゃあ、まずは名前を教えてくれないか?」


 その質問に老人の体がピクッと動いた。


「……主が決めてくれだされ」


「え、でも……」


 想定外の返答に戸惑っていたが、


(悪魔は本名を知られるのを嫌うんだよ。だから、お前が決めてやれ)


「そうなのか……」


 悪魔にはそんなことがあるのだなと思いつつ、どんな名前を付けようかと頭を悩ませた。


 うーん、名前を付けるっていってもなぁ……。そうだなぁ……。


「……じゃあ。クルスハで」


「はっ!!これよりわしはクルスハと名乗ります」


「あ、あぁ、よろしくクルスハ」


「それじゃあ、質問なんだけど、クルスハってどんなことができるの?」


(おいおい、お前本読んでないのか?)


「いや、読んだんだけど、所々読めないところもあって、完全には把握できてないんだよ」


 ほとんど文字化けしてるのか読めないんだよなぁ……。


(そうだったのか……)


 空阿とカブルが話していると、


「……話してもよろしいでしょうか?」


 質問されたまま、回答する機会を失ったクルスハが困っていた。


「あ、ごめん!!教えてくれ」


「はっ!!私は――――」


 クルスハの説明によると、得意なことはいろいろあるのだが、スキル「悪魔召喚」を経由した召喚となるとできることが限られてくる。そのため、今の状態でできることはというと、占星術、手相学、火占術(かせんじゅつ)といった占いが得意。また、武器を持っているものの、戦いはあまり得意ではないだそうだ。


「なるほど……」


 となると、今やってもらうことは……。


「よし!!カブル何をしてもらったほうがいいか教えてくれ!!」


 カブルがため息をついた気がした。


(……まずは、これからすることを整理するぞ)


「はい!!」


(じゃあ、まずやることは何だ?)


 まずやること……。


「……領土を持つこと?」


(正解。それじゃあ、領土を持つには?」


 領土を持つには……。


「土地を確保する……?」


(まぁ、大体当りだ)


 ……これとクルスハの能力に何の関係があるんだ?


(じゃあ、どうやって土地を探すんだ?)


「どうやってて……」


 そこら辺の土地じゃあダメなのか……?人間の土地でも魔族の土地でもないところなんてあるのか?いや、多分ないよなぁ……。


「そこら辺の土地じゃあダメなのか?」


(ダメって訳じゃないが、もっと良い場所を探せるだろ?)


 もっと良い場所を探せるって……。そうか!!


「クルスハの占いの能力で土地にするのに良い場所を占ってもらうんだな?」


(そういうこと)


 なるほど……。ただ何となく場所を決めるよりも、占いの能力で決めてもらった方がいいか……。


「クルスハ」


「はっ」


「そういうわけだから、領土にするのにいい土地を占ってほしい」


「お任せください」


 そう言うと、クルスハはどこから出したのか薪を持っており、それを燃やし始めた。


 しばらくすると、薪がいい感じに燃えてきて、どこから出したのか亀の甲羅と骨、ドングリを持っており、それを火の中に入れて、その様子をじっと眺めていた。


 ……おそらく、これが火占術なんだろうけど……。これで分かるんだなぁ……。


 クルスハはなるほどなるほどと言いながら、亀の甲羅などが燃えている様子を見ること数十分。火が燃え尽きた。


 燃え尽きたけど……。分かったのかな?


 クルスハは顎髭を触りながら目をつぶり、何やらぶつぶつ唱えた後に空を見だした。いつの間にか辺りも暗くなっており、空には夜空が広がっていた。


 次は……。多分占星術かな……?てか、どれぐらい時間がかかるんだろう……。


「ねぇ、クルス……」


 空阿はクルスハにどの位時間がかかるのか尋ねようとしたが、手で制止された。


(……まぁ、気長に待ってやろうぜ)


 確かにそうだな……。せっかく占ってくれてるし、邪魔しないでおくか。


 ボーっと空を眺めながら待つこと数十分が経った。


「……じ。…るじ……。主」


「……あ、ごめんごめん。どうしたの?」


 あまりの長さにウトウトしていた空阿は目を覚ました。


「手を見せていただいてもよろしいですか?」


「あぁ、大丈夫だよ」


 そう言って、手のひらを向けると、クルスハは空阿の手相を見だしたが、先ほどの占いとは異なり、すぐに終わった。


「ふむふむ、なるほど……」


「どこがいいか分かった?」


「分かりました……が、地図をお持ちですか?」


「地図は……ちょっと持ってないなぁ」


 前に地図を手に入れようと思って人間の街と魔族の街に入ろうとしたけど、ばれて追いかけられたんだよなぁ


「そうですか……。だとすると、方角だけになりますが大丈夫ですか?」


 方角だけか……。まぁ、地図がないから仕方ないか。


「方角だけでもいいから教えてくれ」


「分かりました」


 すると、クルスハはある方向に指を指して、


「こちらの方角に2160km進んだところに目的の場所がございます!!」


 に、2160km……。


 思ったよりも距離があり、疲れそうだと思う空阿であった。

 

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