表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/21

【6】ダンジョン探索

 ダンジョン内に入った空阿は悪魔を先行させて後を付いていった。するとさっそく、前方に魔物を見つけたため、悪魔に命令を出してスライム1体を倒した。


 よしよし、これなら……。


 順調に魔物を狩れたことに喜んだ空阿であったが、ふと1つの疑問が浮かんだ。


 いや、待てよ……。悪魔で倒しても、自分で倒してもレベルの上がり方は同じなのか……?


「カブル。俺が倒しても、悪魔が倒しても得る経験値は同じなのか?」


(……)


「おい」


(……)


 こいつ……。手助けしないからって……これぐらい教えてくれてもいいじゃないか。


 無視されことにムスッとしながらも洞窟の奥へ進んで行くと、再びスライムを発見した。


 俺の今のレベルは……1か。さっき1体倒したばかりだから、何体でレベルが上がるか調べるか。


 スライムを見つけては悪魔で倒して、というのを繰り返すこと2体倒したところで、レベルが2に上がった。


 なるほど、1から2に上げるためには、悪魔でスライム3体倒せばいいのか……。じゃあ、次は俺だな。


 今度は、スライムを見つけては悪魔に拘束してもらい、武器もなければ魔法も使えないので、スライムを殴って倒すというのを繰り返した。


 こ、効率が悪すぎる……1体倒すのに1分近くかかった。けど、2から3にはスライム2体で上がったということは、悪魔で倒すよりも本人が倒す方が効率がいいということか。


 疑問も解消されて洞窟内を歩いていると、再び疑問が浮かんで足を止めた。


 待てよ……。俺が倒したって判定はどこからなんだ?止めさえ刺せればいいんじゃないか?


 再び浮かんだ疑問を解消するため、ある実験を行うことにした。実験内容とは、スライムのHPギリギリまで悪魔に攻撃してもらって、空阿が止めを差す際の経験値とHPギリギリまで空阿が攻撃をして、悪魔が止めを刺す際の経験値ではどちらの方が多いのか調べることにした。


 それから、スライムを探して悪魔で止めを刺すのを繰り返すこと十数分。その後、スライムを探して空阿が止めを刺すのを繰り返すこと三十分弱ほどの時間が経った。


「えーと、3から4に上げるのに5体で、4から5に上げるのに4体だったてことは、俺さえ止めを刺すことができればいいのか……。これはいいことを知れたな」


 その後も悪魔で弱らせて、スライムを殴りつけるというのを何度も繰り返していたが、とうとうスライム以外の魔物に出会った。


 あいつは……。コボルトか……?この世界の魔物については知らないけど、多分そうだよな。さすがにあいつに止めだけを刺すっていうのは無理か……?


 ウロウロとしている二足歩行のオオカミのような魔物。スライムよりも格上なのは分かっているため、どのように攻撃を仕掛けようか悩んでいた。


 ……まずは、悪魔だけに任せてみるか……。


 悪魔にコボルトを倒すように命令を下すと、一気にコボルトの元まで間合いを詰めていった。こちらの存在に気が付いたコボルトは、洞窟中に響くような遠吠えをして身構えた。


 しばらく攻防が続いたが、悪魔の拳がコボルトの腹を貫くと、コボルトは口から血を吐きその場に倒れた。


「さすがにスライムよりかは強かったか……。けど、まぁコボルト一匹程度だったら悪魔で大丈夫か」


 んー、でも止めだけを刺すっていうのは無理かなぁ。


「ん?何だこの音……」


 どうやら音は洞窟の奥の方から聞こえてくるようで、そちらの方に注意を向けて目を凝らして見ると何かが動いているのが見えた。しかし、手元の松明だけではあまり奥の方まではっきり見えない。


「あれは……コボルト!?」


 奥の方でうごめいていた何かが近づいてくると、だんだんその姿がはっきりしてきて、それらはこちらに向かって走ってくる大量のコボルトだった。


「さ、さすがにあの量はまずい!!」


 ど、どうする!?逃げようにも、絶対に足の速さで間に合わない。どうする、どうすれば……。


 状況を打開する策が思い浮かばず、その場を動けないでいた。周りを見ようにも、見渡す限りの岩しかなく使えそうな物が無い。


 どうする……。……そうか!!


 空阿は悪魔の召喚を解除するとステータスボードを開いた。


〇---------------------------------------------------〇

 名前:苫芝空阿

 Lv:13


 [ステータス]

 HP:700 MP:500 力:62 身の守り:60 

 素早さ:56 魔法攻撃:60 魔法防御:58 運:10


 [スキル]

 ・悪魔召喚

 ・陞滂スゥ闖エ?ソ陷ソ?ャ陜

〇---------------------------------------------------〇


「よし!!これなら、悪魔召喚!!」


 空阿は手元に現れた本をめくっていく、そして、目的のページを見つけた。


「今なら、こいつが最高か……。よし」


 魔法陣に魔力を込めていく、コボルトがこちらに近づいてくるが、それにも気を散らさずにひたすら魔力を込めていく。


 コボルトが後数mで空阿の元にたどり着くといったところで、魔法陣が光った。


「間に合った……」


 空阿の目の前には先ほど召喚した悪魔よりも3倍ほど大きい、2m弱ほどの山羊の頭をした悪魔が立っていた。


「目の前のコボルトを全て倒せ!!」


 命令が下された悪魔はコボルトたちに襲い掛かった。その姿は残虐そのもので、コボルトの体を引き裂き、コボルトの死体をバットのように振り回し、逃げていくコボルトたちを追いかけ殺戮の限りを尽くしていく。


「……俺が命令したんだけど、凄まじいな……」


 コボルトを倒し終えると、山羊頭の悪魔は戻ってきた。……血だらけで。


「お、お疲れー……」


 悪魔は空阿の前に立つとうなだれて動かなくなってしまった。


「……ふぅ。なんとかなったか……」


(お疲れ~)


「おい……」


(ん?なんだ?)


「言ってた通り、手助けしてくれなかったな……」


(あったりまえじゃないか。最初に言っただろ?手助けしないって)


 こ、こいつ……。……我慢だ、我慢!!こいつはこっちの反応を見て楽しんでやがるからな。


 怒りで肩を震わせながらも、何度も深呼吸をして何とか心を落ち着かせた。


「で、何で急に話しかけたんだよ」


(んー?何となくさ、ある程度強くなったみたいだしね)


「そうかい……」


 まるで暖簾(のれん)のようにこちらの発言を受け流すカブルの様子に気が抜けてしまった。


(あー、それと、ステータスボード見てみて)


 空阿は言われた通りステータスボードを表示した。


〇---------------------------------------------------〇

 名前:苫芝空阿

 Lv:17


 [ステータス]

 HP:870 MP:540 力:66 身の守り:63 

 素早さ:57 魔法攻撃:60 魔法防御:60 運:10


 [スキル]

 ・悪魔召喚

 ・陞滂スゥ闖エ?ソ陷ソ?ャ陜

〇---------------------------------------------------〇


「これがどうしたんだ?」


(レベルは20までものすごくレベルが上がるが、20より上から上がりにくいから頑張れよ)


「そうなのか、わざわざありがとう」


(どういたしまして)


 空阿はステータスボードを閉じた。


(それにしても、ピンチになったていうのに、助けを求めなかったな)


「……まぁな。お前が助けないって言ってたし、お前の力を借りたくなかったからな」


(ひっどいなー。もっと頼ってくれればいいのに)


「はいはい」


 カブルを軽くあしらいながらも、薄暗い洞窟の中を進んで行く。


(じゃあ、ダンジョン探索続けようか)


「はぁ……。分かったよ」


 空阿はダンジョン探索に戻った。


 そうして、いくつものダンジョンを探索し続けて3か月の月日が経った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ