プロローグ
そこには不思議な光景が広がっていた。
湿っているカーペットに黄色く不気味な光を漂わす蛍光灯、そして近くにいる謎の生命体。全て、ここにある体験が全て初めてのはずなのに妙に既視感があった。
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平日の朝、それは色々と忙しい時間帯だ。道は学生やサラリーマンで賑わい、または必死な顔をして走っているものも居る。傍から見ると中々滑稽に見える。かくいう俺も学校に遅刻しそうなわけで……
「はぁ…はぁ…まずい寝過ごしちまった!くそ、母さんめ!何故起こしてくれなかったんだ!」
現在俺はその滑稽な集団の1人であった。
俺は名は崎山 聡、普通の高校2年生だ。
趣味はゲームやアニメ、体型も普通、性格も普通でよく言えば真面目、悪く言えば特徴のない、ちょっとだけ背の高く、ヲタク気質なごく普通の高校生だ。
「なんでこんな時に限って1限目小テストがあんだよ!放課後残ってやんなきゃいけねぇじゃん」
今の季節は夏、とてつもなく暑い。そんな汗をかきながら走っている俺の横に1人の男の影が見えた。
「よぉ聡、今日は随分とお急ぎみたいだな」
コイツは西崎 健二。
顔はイケメンの部類であり、気配り上手な俺の幼馴染だ、学年上位常連であり、身長も高くがっちりとした筋肉も付いており、正しく文武両道と言わざるおえない人物である。だがコイツにはある欠点があり
「なんだよ健二、お前も寝坊か?」
「いやぁよぉ、昨日夜中までエロゲしちまってな、おかげでこのザマだよ」
「自業自得じゃねぇか!このバカがよ!」
とスペックの高さを無に返すような事を言ってのけた。
聞いての通りこいつはとてつもなくエロスの塊でよく俺にアダルティなものを昔から勧めてくる。
「おめぇ、幼馴染にそれはねぇだろ!」
「てめぇが女だったら夜更かししたことに心配してやるが、残念ながらお前は男だ!しかもしょうもない事で夜更かししやがって!優しくされたかったら女にでもなって来やがれ!」
「フッ、そんなにひでぇ事を言うやつには呪いをかけてやる!」
「呪い?一体どんな呪いをかけるつもりなんだよ」
「お前が自動販売機で冷たい飲み物を買う時、微妙に温くなる呪いだ!」
「くっ…こいつ、的確にめんどくせぇ呪いかけやがる」
そんなくだらないことを言いながら走り続けていた最中だった。突然頭の中に鈍い痛みがきた。
「ッ!痛ってぇ!」
「お?どうしたんだ?」
「頭痛だよ…走りながら話してるから軽く酸欠になってるんだと思う」
「でもよぉ、お前昔っからよくそういう頭痛起きるよな」
しかし今回の頭痛は昔から起きている頭痛ではなかった。
さっき、景色が歪んで……
「うーん、ただの酸欠だといいんだが…」
「でも大抵お前が頭痛起きた時って…」
俺と健二が止まって話している最中だった。
俺たちが渡ろうとした横断歩道に爆走した車が急カーブしてきた、誰がどう見てもスピード違反していた車にパトカーが追跡していた
「ほらやっぱり、お前のその急な頭痛には危険を事前に察知してるとしか思えねぇんだよなぁ」
「流石にアニメの見すぎだろ、確かにここ数年は頭痛がしたら何度かハプニングが回避出来てたけど、数える程だろ?」
「それでもよ、なんか事前に危険を回避できるとかなんかカッコよくね?」
「まぁ…確かにそれが本当ならかっこいいだろうがよ…」
やはりただの頭痛か?そんな心配をしている時、突然事態はやってくる
「あぁそうだよ、やっぱりカッコイ…聡…?おい!聡!お前体…!?」
健二がいきなり突拍子の無いことを言い出した。
「お?なんだっ…てえぇ!?なんか沈んでいってる!てか健二!お前もなんだか沈んでねぇか!?」
面倒くさげに見た俺は自分の下半身が既にコンクリート製の道に埋まっていただけでなく、その報告をした健二までもが地面に呑まれていた。
「なぁ!なんだよコレェ!」
「俺にも訳わかんねぇよ!誰が助けてくれぇ!」
周りに人がいるのに誰一人俺らに見向きもしなかった。
「誰かぁ!助けてぇ!」
「誰か!たすけ…」
そうして俺と健二は地面に呑み込まれていた。
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