7 いつも一緒だよ。
いつも一緒だよ。
「どうかしたの、美山さん。突然、とても大切なお話がありますって、なんの話?」
いつものようににこにこした笑顔で、春山古風先生は乙女のいる席の前にあるもう一つの椅子に座った。
二人のいる、二人だけの教室の外では、雪が降っている。
朝からずっと降り続いている雪。
乙女は自分の小指の包帯にそっと指で触れる。(小指の傷は思っていたよりもずっと、ずっと深かった)
教室の中には隅っこに設置されているストーブの音がしている。
時刻は放課後の時間。
外はもう暗くなり始めている。
「とても大切な話なんです」
乙女は言う。
「進路について、の話だったよね」と古風先生は言う。
それは嘘ではない。
結婚だって、進路の一つには違いなのだから、と乙女はそんなことを(自分に言い聞かせるようにして)思う。
「美山さんの進路は大学進学でいいんだよね?」と古風先生は言う。
「はい。そうです」乙女は言う。
もっと緊張するかと思った。(もちろん、緊張はしているんだけど)
でも、意外と冷静でいられる。
私は思っていたよりも、こういう危機的な場面には、強い性格をしているのかもしれない、と乙女は思う。(開き直り、あるいは後先を考えない、めんどくさい性格をしている、ともいうのかもしれないけれど……)