4.おばあ様を知る男。
毎週土曜日21時更新いたします。
亀も驚くのろのろ更新となること必須ですが、よろしくお願いいたします。
「おばあ様のこと知っていらっしゃるんですか!?」
思わず大声をだして詰め寄ってしまった私。
気迫に押されたのか黒衣の男は数歩後ずさる。
「あ・・・・・・・ああ。君の祖母だったのか。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ん?そ・・・・・ぼ・・・・・・・・?」
なぜかまたもや目を見開く男。
「君の祖母というのは・・・・・今、おいくつなのだろうか・・・?」
「そうですねぇ・・・亡くなって8年になります。お知り合いだったのですか?」
私は両親を知らない。
物心ついた時からおばあ様と2人で暮らしていたのだ。
両親について尋ねたこともあったが、その度にいつもにこやかなおばあ様が、むずかしい顔をして口を閉ざすものだから、子どもながらに、これは触れてはいけない話なのだと思い、話題を変えていた。
界境の番人の仕事も元々はおばあ様が行っていたもので、私はその仕事を引き継いでいるというわけだ。
「・・・・・・・・・・・・・8年。」
「えぇ。おばあ様のことを知っている方とお会いするのは久しぶりです。亡くなってすぐのころは、ご友人だという方が数人いらしてくださったものですが・・・。」
おばあ様も私と同じ年頃から界境の番人の仕事に就いていると言っていた。
ずっとこの森に住んでいる私たちは、自然と、知り合いが少なくなってしまう。
私も、友人どころか、名前を知っている程度の知り合いも、今までの依頼人以外にいない。
あ・・・たまに買い物に行く村の八百屋のおじさんとその息子は色々と良くしてもらっているため、私も森で採れた珍しいきのこなんかを差し入れに持っていく程度の交流をしている。
名前は知らないが。
「そうか・・・・・・。」
男はおばあ様とどういう関係だったのだろうか、しぐさや声、歩き方からはそんなにお年をめしている感じはしないけど…と思う。
昔来てくれたおばあ様の友人だという人たちは、なかなかによぼよぼのおじいさんだったなと思い出す。
私に会いに来てくれたのは嬉しかったものだが、帰り道は心配になり、結局おうちまで送ってあげた記憶がある。
「実は昔、彼女に助けてもらったことがあるのだ。色々と忙しく今まで訪れられなかったが、やっと時間に余裕が出来たため、感謝の意を伝えようと思い来たのだが・・・。そうか・・・それだけ時間がたっていたのだな・・・・・・・。」
男は少し目を伏せ、静かに紅茶を口にした。
おばあ様とどういった関係だったかはわからないが、悪い人ではない気がする。