3.想いで
「はぁ...。」
「どした、希色? ため息なんかついちゃって。」
「日菜ちゃんさぁー、わたしの恋は終わっちゃったのかなぁ?」
「なにあんた、ひょっとして神田に惚れてたの?今日のあんたの視線は、ずっとあの二人に向いていたから、ひょっとしたらと思っていたのよ!」
「まぁ、あんたが神田のこと好きなことは知ってたけどね。」
「えっ!!」
「気付くわよ、あんた!!ほんと、わかりやすいんだから。」
そうなんだ...。私って自分の気持ちが顔に出やすいタイプなのかな?結構そういうの気にしてたんだけどなぁ...。神田くんに私の気持ちもバレちゃってるのかな...。
「あの二人はさ、幼なじみらしいのよ。」
「へぇー、そうなんだ。なんかお似合いだもんね、あの二人。」
「なんてネガティブなのよ、あんた!がんばんなさいよ。」
「そうだね...。」
『はぁ...。』2年になったらもっと希色ちゃんと話そうと思っていたのに、初日からとんだ番狂わせだよ。
「だだいまー。」
「だだいまー。」
「お帰りなさい。どうだった?はんなちゃん?学校には、なじめた?」
「母さん、まだ一日目だよ。」
「わかってるわよ、そんなこと。こういうのはね、初日でわかるものなのよ。」
「そんなもんかねー。」
「そーよ、そんなものなのよ。」
「しかし、あんたたち。こうやって二人でいると幼い頃を思い出すわね。」
『俺がずっとはんなちゃんを守ってあげるからね。だから、ずっと一緒にいようね。』
『うん。』
『大きくなったら、結婚しようね』
こんな小さい頃の約束、覚えてるのかな?たっくん...。