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34.ルードルフ side レオナード

 3人目、最後に側近候補としたルードルフ。


 僕より2つ年上の彼は、中々の不細工だったが、厚みのある身体が辛うじて救いになっていた。これが筋肉でなく脂肪だったなら、より良かっただろうに。


 そんな感想を内心で抱く僕に、ルードルフは青い目で僕を見つめると。


「俺にアンタのことを守らせて欲しい!」


 感動した。嘘のない澄んだ瞳で真っ直ぐ告げられるその言葉に。

 礼儀も何もあったものじゃない、王族に対する無礼ともとれるその態度も気にならないくらいには、心震わされた。


 ルードルフの前に呼んだ、側近候補に募った人間に悲鳴を上げられたりしたことだとか、既に選んだ側近候補の2人が知識欲の権化と不法侵入者というマトモなのがいなかったせいもあるかも知れないが、とにかくルードルフの好感度は僕の中で高い。


「何故、僕を守りたいと?」


「俺、あ、違ぇ、わたくし?は、その、えっと……」


「話しにくいのなら、普段の言葉遣いで構わない、許可する」


「すまねぇ、あ、いや、すみません?」


「ここには私とお前の2人だけだ。慣れない敬語で話が聞にくいよりかは、いつもの調子で話してもらった方が、私としても助かる。話せ」


「……分かった。俺は、この通りの見た目だから、ちっせぇガキの頃に捨てられて、ずっとドブみてぇなとこで生きてきた。良かったのか悪かったのかは知らねぇが、喧嘩は強かったから、いつの間にか俺の周りには同じようなブッサイクな奴らばっかが集まってきた。だが、いくら喧嘩が強えって言っても、生活はちっとも楽になりゃしねぇ。いや、楽にならない所じゃねぇ、段々生活は酷くなった」


「何故だ?」


「ブッサイクなガキどもの数が減らねぇからだ。ひでぇと、へその緒ついたまんまのガキすら捨てられちまってる。地獄だよ、ホント」


 ルードルフは、グッと唇を噛み締めると。


「【月の王子】って呼ばれてるアンタの事は、前から知ってた。月って呼ばれるくらい、ブサイクなんだろうともな。そんなアンタがツレが欲しいってのを聞いて、俺はそれに賭けた。同じブサイク同士、なんとか救っちゃくれねぇかなって。俺は、アイツらを守りたい。アンタを守ることがアイツらを守ることに繋がるなら、俺の命なんざいくらでもくれてやる。俺がアンタを守るから、アンタもアイツらを守ってくれ。…俺らの大将になってくれ」


「王族相手に交換条件を持ちかけるとはな」


 側近候補に名乗りを上げる理由もマトモなルードルフに止まらない好感度。

 僕はなんだか少し悔しくなって、意趣返しとばかりに少し意地悪を言ってみた。自分の発言が不敬だと気が付いたのか、青ざめるルードルフ。


「側近候補としてお前を歓迎するよ、ルードルフ」


 しかしすぐに、大人気ないとやめた。謝罪の意味を込め、他の2人には言わなかった、歓迎という言葉を使う。


「ありがとう、ありがとう大将!」


 おいおいと男泣きをするルードルフに、だが僕は冷静に告げる。


「側近候補になるからには、礼儀は学んでもらうぞ」

お読み下さりありがとうございます。

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