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「ねートミター。お茶淹れておくれー」
メガネを掛けた女が机の上に顎を乗っけぐたんとしている、名を林原。あだ名はハヤシー。
「自分でやりんしゃい。わしは今忙しいんじゃけえ」
と携帯ゲームカチャカチャしている男、名は富田。あだ名はトミタ。
これは付き合ってるわけでもない(タイミングを逃してしまった)ただのルームシェアしているゆるい2人のお話。
「えー。トミタ暇そうじゃん」
プク顔の林原。
「おめーは見てわからんのか。大変忙しくて死にそうじゃろがー!」
ガチャガチャガチャガチャーと携帯ゲーム機から悲鳴が漏れる。
「流石にそこまではわからんよー」
「あちゃー負けた」
「やったーお茶淹れてー」
「しゃーなしな」
「ついでにお菓子持って来てー」
「ほいほい」
富田は頭を掻きながら台所に立ちお湯を沸かす。
「おちゃおちゃ。んーハヤシー何茶にするー?」
「緑茶で頼むー」
「おけおけー。お茶請けのお菓子は?」
「せんべい」
「渋いなー」
「やっぱ俺は日本人ですたい。緑茶にはー和っぽいお菓子っしょー」
「せやねー」
ボコボコとお湯が湧きコタツに戻ってくる富田。
「しょっと。どーぞ」
「どもども、あざーます。ズズズ…うまま。この一服の為にあたしは産まれてきたんよ」
「ははは大袈裟やそれは。今日はハヤシー何のゲームやりたい?」
バリバリバリと林原。
「んー激しくない奴。ゆるっとしとるのがいい」
「んーじゃあ何しよっかねえ。せんべい片手に出来るゲーム…桃鉄しよっか!」
「桃鉄? おっけい。あれはなかなか楽しい」
「10年ぐらいでやろっか。大体三時間かな」
「ええよ。ちょっとまって、じゃあ先お風呂はいってくるわ」
「お茶冷めるで?」
「もう飲んでん」
「はやっ。それやったら入ってきー。Wiiつけとくから」
「ありがとうねー」
「出てきたぜ」
ビシッとキメポーズ林原。
「早いぜ」
「さすがあたしぜ」
「そこはぜいらないぜ」
「了解ぜ」
ぜが多いぜ。
「じゃ、やろかー」
「トミタは風呂入らんの?」
「終わってからにするわ」
「なーる」
ほど。
「名前どうしよっかなー」
「ハヤシー社長じゃだめなん?」
「やっぱり、こう捻りが欲しいんすよね〜」
「捻りとかっアホがなんか言うとるっ」
大笑い富田。
「じゃあ俺先決めるで」
「うん」
「とみたけ社長で」
「なんでなん?」
「わしはフラッシュさん好きやねん」
「えぇ…それやったら赤坂の方が良いわ。あたしは」
「ほんまわかっとらんわー。ハヤシーわかっとらんわー」
「なにーそこまで言うやったらあたしいりえ社長にするわ」
「なんでそこでいりえやねんっ」
大笑い富田。流石にもう古いネタですぞ。
「今回NPCの強さどうする?」
「そら2人とも1番強いのを頼む」
「おーきーどーきー」
「じゃあ始めよか」
「最初の目的地はー」
ハワイ
「草」
「草」
草。
「まじかー、初っ端からハワイかー笑遠いな」
「嘘でしょ? どんな確率よ! なんでおかしい笑」
「まぁ、しゃーないよ。飛行機乗って行こかー」
「よっしゃ! わいのターンや、そら」
1
「幸先悪すぎぃ…」
「ほんまやね。じゃあ、あたしのターンやね」
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「なかなかやねー。でもここらは物件高いから、カードマスにしときます」
「ふむ。cpuの番やな」
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「生意気ぃ! 」
「まぁまぁ」
「あ、俺チョコ取って来るわ」
「ほいよー。冷蔵庫にマカデミアナッツ入っとるよ」
「いやー。種嫌いなんよねー」
「種って笑。種って笑。いや種だけども
「そんな笑う? えー? そんなおもしろいかな?」
「あははははは」
「変なとこでツボにはまる奴だなー」
「おもしろいよー。チョコあざす。じゃあ、トミタの番やね」
「ういー」
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「何故だ…俺が何したってんだ」
「可哀想にほんとトミタは運ないなー。ほい。」
4
「やったぜ」
「何だその無難of無難な出目はー。先が思いやられる」
といった具合で、3時間でゲームが終わるはずもなく夜が更けていくのであった。