開く地獄の門。
俺は目を覚ました。ほんのり首が痛い。
「いてててて。」
床の冷たさを感じる。少しスモッグが焚かれている様に煙たい。
あれ?俺 酔って店で寝てたかな??
シャンパンコールをする時に 店ではスモッグを焚くため
ここが店だと思い始める。
あ!今日の売り上げ!!!!!!!!
海音は身を起こした。
「よう。」
一人のバンギャの様な女の子がそこには居た。
「え?ちょっと君何してるの??」
閉店時間に無許可で女を残してるとなれば
後で罰金が発生するかもしれない。
早く追い出さなければと バンギャの元へ
「あんたを殺しちゃった。」
訳が分からない事を言い始めた。
まぁここは新宿だ。酔っ払ってるのだろう。
「ごめんね。」
「まぁ ホント死んだわ〜。酔いすぎて何も覚えてないし。あ〜ありさに連絡しなきゃ。」
女は首を傾げる。何かを理解したのか 呪文を唱えた。
「ウィング。」
頰を通り抜ける様な風が吹くと 空間を包んでいたスモッグが消えて
そこは店では無いと理解した。
「あ〜本当の方の死んだか。マジか〜。まぁ仕方無いか。」
No.1に固執していたが 死んでしまったならもうどうだっていい。
不思議と悪い気分ではなく むしろ清々しく思えた。
「え??死を受け入れるの早くね?かなり無慈悲だったと思うけど。」
「俺はずっと死んでるんだよ。」
負け続けてた人生に 自尊心が高い分だけうんざりしていた。
「そうか。いや せめて巻き添いさせちゃった分 違う世界に飛ばしてあげようかなと思ってさ。」
不思議なことを言う女だ。
「何言ってるんだよ。お前にそんな力なんてないだろ??」
あからさまに普通の女にそんな力があってたまるものか。
「いや、私 神様でさ。日本が担当だったんだけどさ
割と平和じゃん??だからキリがいいから ノストラダムスだけ仕事して
しばらくは 力封印して 人間界来てた楽しんでた訳よ。」
あまりにも突拍子がなさ過ぎて何の返しも出来ない。
「はあ。」
「そしたらさ 何故か早めに自殺してしまったわ!!って
いやさ 何百万年もさ 神の力?ってものに頼りきってたからさ
なんも使えない事がストレス過ぎてさ〜。」
創作話もここまでくれば凄い。
地下アイドルかコンセプトガールズバーの店員が
ホストにハマり 仕事をし過ぎて
人生に疲れてしまい 自殺してしまったんだと思うと可哀想に思えて来た。
「大変だったんだね。うんうん。」
女が指を弾くと 急に体を刺す様な冷気が襲う。
「さんむっ!!!!」
不服そうに女はこっちを見る。
「お前全く信じてねぇだろ。」
流石にさっきの風といいこの冷気といい
信じるしかないかなと思った。
「分かった分かった信じますよ 神〜様。」
満足そうな顔すると 神様(?)は話を続けた。
「でも神として死んだから 日本じゃもう 私は神として権限がないの。」
言葉とは裏腹に 何故か嬉しそうである。
「いやいや!お前神でしょ?死ぬとかあるの?てか、なんか楽しそうだし。」
嬉しそうな事がばれたくないのか 急に真顔に戻るバンギャ神。
「んぐっ(咳払い)で、でね、しばらく別の世界行かないと
神に戻れない訳なんさ。力もある程度制限されるてるし。だから・・・」
急に似合いもしない もじもじをかますバンギャ。
「だから 何なんですか???」
トイレを我慢している幼女の様な顔つきになった 自称神は口を開く
「一緒に 別世界に来てくれないかなあ〜なんて!!!!!!」
予想通りすぎる返答に 思わず笑ってしまう。
「ちょっと!何笑ってるの!!!」
慌てふてめくメンヘラGODと虎と魚たち。
「あ〜ごめんごめん。神といえど 女の子なんだなと思うと面白くてさ!全然いいよ!行こうよ!」
言い終わってからもニヤニヤが止まらない。
「何ニヤニヤしてるの!!!だからね!私は一生懸命!!・・・って え?いいの??」
キョトンとした顔で 見つめるロリ神
「あ?いいよ。だってどうせ暇だし 楽しそうじゃん。」
どうせこのまま死んで 天国と言っても イメージ的に液体になって 日向ぼっこして
なんの浮き沈みの無いニートみたいな人生が続くだけだ。
あそこには ネットもラジオも車もそれほど止まってねぇ!どころじゃなく
何も無い世界だ。 知識欲すら満たせない クソみたいな世界なんて考えてみたら嫌だ。
「わぁ!よかった!!一人だったら また自殺するかもしれないし
神としてこれ以上死んだら ミジンコ以下に転生させられちゃうからさ。」
この破壊神みたいな奴が日本に居たせいで 災害が尽きなかったのか?と
疑心するレベルでバカな事を言っている。
こいつが居なくなる日本はさぞかし平和で安全な国になるだろうと
子供もまだ居ないが 何故だか安心した。
「いや、俺 お前の自殺キーパーじゃねぇし。無料電話相談室かなんかと勘違いしてないか?」
傲慢そうな顔して 地雷神は続ける。
「我、神ぞ?一般人間風情の奉公は当然の義務ぞ?下級民よ!」
酷い神である。権力の上に長年 胡座をかきたく無いものだ。
現世で覚えて言葉を余す事なく使う 某大学生アホったらーみたいな発言をする
力の持ち腐れ感は 逆ギャップ萌えってやつだ。もはや残念だ。
「って事で一緒に行こうね!彼ピッピ〜!!」
そういうと呪文を唱え始めた。
神々しく光り始め 周りには螺旋状に唱えた言葉が
消化されていく。この時ばかりは 少し見惚れてしまう程だ。
「行く先は 地獄」
耳を疑った?
「ん?地獄」
ニッコリと破壊と創世の神は続ける。
「私は シヴァ。よろしくね!!!!」
床に出来た魔法陣の中心に手を引かれる。
「ちょっと!!地獄って何いいいいいいいいい!!!!」
人を信じてはいけないと思った。
ましてはこいつに関しては神だ。来世では手に職をつけて
出来るだけ人と関わらずに生きよう。そう心に深く刻んだ瞬間である。