No.1取るまで帰れねぇっしょ的な
高校を卒業して 何もやる事が無かった俺は
家に引きこもっていた。
元はと言えば カッコつけ方が 少々歪んでいて
高校デビューに失敗し 変人扱いされ 学校を休みがちになっていた。
自頭が良く トップの成績で入学したのにも関わらず 2年生の学期末には 下から数えて 3番目の成績にまで 落ち込んだ。
2年も腐っていると努力の仕方も思い出せず
そのまま タイムリミット。ゲームオーバー。プライドの高さも相まって F欄に入るくらいならと 進学を諦めた。
親の期待を一身に背負って 大切に育てられた分
逃げてきた自分に向けられる優しさがとにかく痛い。
気付けば2年間ほぼ引きこもりの生活をしていていた。
映画やアニメ音楽お笑い ネットで見れる物を搔き集める様に見た。元々勉強は好きだし 得意だった為か
一回見始めると 止まらく 話術ってのが身に付いた。
何とか自分を変えようと自己啓発本を読み始めた。
そして哲学、心理学 徐々に自分を変える為の準備を整えた。相手の思ってる事をある程度理解出来る能力を身につけた。
何か自分に 力が付く度 自信が湧いて来る。
海音は 遂に部屋を出た。父親や母親にたくさん迷惑を掛けて来た これからは たくさん恩返しをしなきゃ。
「母さん!」
「あら、海音!どうしたの?」
いつもの優しい母さんだった。
って あれ?俺何年ぶりかに 部屋から出てきたんだよな?驚いたりしないのかな??
「ごはん 出来たわよー。そう言えば 空君が大学受かったのよ!東応ですって!後で おめでとう!って言ってあげてね!今日は お祝いだわ。」
俺は悟った。もう諦められてる。
関心はもう無いようだ。
俺の出来損ないの弟が 日本で1番の大学
かたや 親の期待を一身に背負った 俺はニート。
改めて 自分の置かれてる立場って物を理解した。
「俺出て行くね!」
「あら、早めに帰ってくるのよ。」
こうして俺はホストになった。
......??
....簡単に言うと 裸足で家出して
とりあえずって目指した場所が新宿だったのだ。
それで 2年も引きこもってるとその...
体力的な問題ってのが あってだな...。
あー!!ぶっ倒れてたの!
そしたら なんか 助けてくれたおっさんが居て...
飯奢ってくれて なんか気付いたらホストになったんだって!!!いや、これ実話な?
どうやら ホストのオーナーだったらしく
泣きながら身の上を話していたら
次の日には デビューしてたと言うか
CLUB LINK blackにて働く事になっていた。
最初の内は 吐きまくり 殴られまくりで
よく分からない金持ちのタバコを買いに行かされた時には遂に 人知れず 涙を流した。
しかし 母親のあの近所の人と井戸端会議でもするのかよ!ってくらいの興味の無い笑顔を思い出すと
もう 自分には 行く場所なんて無いと 唇から血を流すまで 歯を食いしばった。
それから1年。僕は遂にトップを狙える位置まで辿り着いた。とにかく 俺は 有利だった。家も無く 身寄りも無い俺は オーナーに毎日の様に 風俗やキャバクラやBARに 連れてってもらった。その度に営業をかけまくった。アニメや音楽 映画 お笑いで身につけた話術 心理学や哲学で身につけた 人心掌握術 自己啓発で身につけた とにかく前進する為の活力。尚且つ 整形までしたら もう 精神は乖離していて 恥や恐怖なんて物は もう存在しなくなっていた。もう俺は あの日に死んでいた。あるのは地位への異様なまで執着心だけだった。
一位 売り上げの差が 一桁万円に迫る。
今日は 1番のエース アリサがやって来る。締め日。
遠征までして 風俗で稼いだ金を 今日全て使うらしい。遂に 俺は No.1の座手に入れる。
バッテイングセンターを超え ペパリーゼを口にした。その瞬間 大きな衝撃と共に 世界が消えた。
俺は どうやら 死んだらしい。