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没落令嬢は護衛騎士と旅に出ます  作者: つきのくみん
第4章 ガルディア王国前編
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97 唯一できること

 翌朝、マリアはルーファスに言われ、いつもは馬車の中で抱っこしているブラックを外に出した。「フェンリル」という生物はもともと森林を棲み処としているため、今後予想される戦いにおいて、何か役に立つかもしれないとのことだった。


「これからはルールのない命を懸けた戦いだ。マリアは俺がいいと言うまで、何があっても絶対に外に出るな。声も出すな。いいか、約束は必ず守れ。自分の身を守ることだけに専念しろ」


 マリアは出発前にルーファスから何度も念を押された。それはむしろ懇願に近く、あまりに真剣なルーファスの様子に、マリアは首ふり人形のようにひたすら頷くしかなかった。


「ルーファスに迷いが出たらさすがの彼でも危ないわ。そして彼が倒れたときは、私たちが終わるときよ。マリアちゃんは本当に気配を消して隠れてなさい。これは私からもお願いよ」


 デリシーからもそう言われ、マリアは決意を込めて約束した。


「はい! 言われたことは絶対に守ります……!」


 無力なマリアに唯一できることは、馬車の中で息を潜めてじっとしていることだった。マリアはこれ以上、ルーファスとデリシーの足手まといになりたくなかった。

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