表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
没落令嬢は護衛騎士と旅に出ます  作者: つきのくみん
第4章 ガルディア王国前編
76/295

75 デリシー

しばらくモヤモヤする展開ですが、すみません……。

 彼女は25、6歳くらいだろうか。長い艶やかな黒髪に切れ長の紺碧の瞳、真っ赤なルージュが蠱惑的な女性だった。

 さらにマリアよりも頭1つ分は背が高く、スタイルが非常に良い。長い脚や豊満なバストを惜しげもなく見せつけるような、露出の多い服装をしていた。


 その女性は一目散にルーファスに近付き、彼と腕を絡めた。ルーファスにその豊かな胸を扇情的に押し当て、マリアには意味深な微笑みを向ける。

 彼女は、あの日ルーファスからした甘い薫りを纏っていた。マリアの心は引き裂かれそうな痛みに必死に耐える。


「マリア、この女がデリシーで俺の昔からの知り合いだ。デリシー、この子がマリアだ」


 女たちの思惑をよそに、ルーファスがお互いを紹介した。


「はじめまして、マリアと申します。いつもルーファス……さんにはお世話になっています」


 マリアはルーファスの恋人かもしれない女性の前で、彼のことを馴れ馴れしく呼び捨てにすることはできなかった。

 そんなマリアの態度に、ルーファスはほんの僅かに眉間に皺を寄せた。


「こちらこそ会えてうれしいわ。よろしくね」


 デリシーが握手のために差し出した手は、予想よりも大きくてゴツゴツしていた。


「マリアちゃんの手は、重いものなんて持ったことありませんって感じね」


 デリシーはマリアの反応に気がついたのか、面白くなさそうに呟く。


 ルーファスに促され席につくと、トムが飲み物を持ってきてくれた。ルーファスとデリシーにはお酒が、マリアにはオレンジジュースが出される。

 マリアは自分だけが子どもだと宣告されたようで、2人との間に絶望的な差を感じた。


 法律的にはアストリア王国では16歳で成人を迎えるため、マリアも飲酒することは可能だが、彼女は今まで1度も飲んだことがなかった。

 だからといって初対面の人の前で初めて飲むのは不安なので、そのまま運ばれたジュースに口をつける。


 失恋の痛みによく似た、少し苦いオレンジジュースを、マリアは悲しみをこらえて飲み込んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ