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没落令嬢は護衛騎士と旅に出ます  作者: つきのくみん
第4章 ガルディア王国前編
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72 ガルディア王国

 ガルディア王国は、アストリア王国と直接東に接しているが、その面積はアストリア王国の4倍以上あった。国土の中央には、海のように広い湖があり、広大な土地にはいくつもの民族が住んでいる。繁栄した国である一方、貧富の差も激しく、治安が良くない地域も多いため、平和なアストリア王国よりも注意の必要な国だった。


 その中で今2人がいるザクセンは、アストリア王国との国境に近いこともあり、比較的安全な街だとされている。マリアたちはほどなくしてザクセンの中心街にある宿に入った。ここはルーファスの知り合いが経営している宿らしいが、中心街の表通りから2本裏に入っていてわかりにくい場所にあった。「トムズ・イン」と書かれた古ぼけた看板は若干傾いていて、建物も手入れはされているが年季が入っている。


「やぁ、ルーファス、無事について良かったな」


 宿のカウンターの奥から、だんご鼻の立派な顎ひげをたくわえた男性が話しかけてきた。


「あぁ、こっちのお嬢さんがマリアちゃんか。よろしくな、俺はこの宿のオーナーのトムだ」


 マリアは丁寧にお辞儀をする。事前にルーファスが連絡していたようだ。


「こちらこそ、お世話になります」


 ルーファスは頷き、トムが2人に部屋の鍵を渡す。


「……私とルーファス、別の部屋なの?」

「知り合いの宿でまで、夫婦のふりをする必要はないだろう」

「それはそうだけど……」


 マリアはなんだかさみしく思う。ルーファスはそんな彼女の様子は気にもとめていないようだった。


「マリアの夕食は部屋まで運んでやってくれ。俺は外で食べるから」

「わかった。デリシーに会いに行くんだな。彼女、お前に会えたら喜ぶだろうな」


 トムの言葉にルーファスは頷く。


「ああ、久しぶりだからな」


(デリシー……さん、って誰……?)


 そして、初めて聞く女性の名前に、マリアはどうしようもなく胸がもやもやするのを感じた。

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