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没落令嬢は護衛騎士と旅に出ます  作者: つきのくみん
第3章 アストリア王国編
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67 教えて

R15ですが、そういうシーンはありません。

 しばらくして顔を上げたルーファスは、いつもの様子に戻っていた。


「マリア……本当に大丈夫か?」


 本気で心配してくれている彼のために、マリアは自分の身に起きたことを、ありのまま話すことにした。


「ブラックにえさをあげていたら、変な薬で気を失わされて、気がついたときにはあのお屋敷にいたの。そこに侯爵が現れて、私と侯爵はすでに婚約が成立しているのに、ルーファスと夫婦として旅をしていたなんて、不貞行為があったんじゃないかって……」


 ここまで話して、マリアは言い淀んだ。なんだか言いづらい。


「その……ルーファスにつけられた痕が、私の身体のいろんなとこに残っていたのを、着替えさせられたときに見られてしまったみたいで……。私が何もないって言ってもとても信じられないから、私の身体に確かめるって……」

「どこまでされた? 答えられる範囲でいいが……」

「どこまで? えっと……髪の毛や背中を撫でられたり、あとは太腿とかを触られて……。でも、それ以上のことをされる前にあなたが助けてくれたから、大丈夫よ?」


 そういえば、クルーガー侯爵は既成事実をつくることに焦っていたのか、唇も奪われていなかった。マリアは家族同士がするような親愛の挨拶代わりの軽いキスはもちろんしたことはあるが、大人のキスはしたことがない。


 恋人がいないから当然のことなのだが、初めての大人のキスの相手がクルーガー侯爵ではなくて、本当に良かったとマリアは思った。

 絶望的な状況の中で、彼女はルーファスへの気持ちに気づいてしまったから……。


 ルーファスになら何をされても構わない。彼に()でられて女になりたい。大人への階段は、彼に手を引いてもらって上がりたかった。マリアの本能はなぜか今、切ないまでに彼を求めていた。


「……教えてほしいの」


 マリアがルーファスの服をぎゅっと握りしめ、小さな声で呟いた。その言葉が聞き取れず、ルーファスは彼女を訝しげに覗きこむ。

 そして次のマリアの言葉に息を飲んだ。


「……ルーファス、私に大人のキスから教えてほしいの……」

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