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没落令嬢は護衛騎士と旅に出ます  作者: つきのくみん
第3章 アストリア王国編
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39 不意打ち

 2人の目の前で尻尾をパタパタとふる黒い子犬を見て、マリアはルーファスを祈るような気持ちで見つめる。


「ルーファス……」

「………」

「ルーファス……ルーファス……ねぇ?」

「………」


 マリアがルーファスの服の袖を掴み、懸命に呼び掛けても彼は黙ったままだった。彼女は彼の腕を両手で包み、顔を覗き込んだ。


「マリアはそうやって、行く先々でかわいそうな子犬を拾うつもりか?」


 冷静にマリアを(たしな)めるルーファスに、彼女の中で絶望的な気持ちが生まれる。


「今回だけよ。お世話も私がするわ。だから……」


 絶対に「ダメ」と言われると思ったマリアは、必死に言葉を紡いでいく。そのとき、ルーファスが彼女の頭に優しく手をのせた。


「今回だけだからな」

「……え? いいの?」


 ルーファスの予想外の返事に、マリアは驚いて目を丸くした。そんな彼女の頭を、ルーファスはそのままゆっくりと撫でる。

「ただし、弱っていたみたいだし、次のカヌレかどこかで早めに獣医に見せるからな」


「ありがとう、ルーファス! 本当に大好き!」


 マリアはうれしさのあまり精一杯背伸びをして、彼の顔を引き寄せ、キスをした。


「……!」


 そのまま甘えるように抱きつくマリアを抱きしめながら、ルーファスは柄にもなく、自分の顔が赤くなるのを感じた。


「不意打ちはずるいだろ……」


 彼は小さく一人ごちて、今度マリアをどうやって啼かせてやろうか考えるのだった。

溺愛なので「啼く」です。……R15なので。





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